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はしもとFPコンサルティングオフィス 代表 橋本絵美

福岡県出身。慶應義塾大学商学部卒。2男4女を育てるママFP。お金とモノとの付き合い方を踏まえた、お片づけプランナーとしても活動中。貯まる家計の仕組みづくりを得意とする。2級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士。二種証券外務員。片付けプランナー。
HP:はしもとFPコンサルティングオフィス

国民の資産所得倍増を目指す政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げるなか、資産形成や資産運用に取り組みたいと思いつつも何から始めればよいかわからない、という方も多いだろう。お金と上手に付き合うためにまず始めるべきことは何なのか。初心者がまず始めることは?今回はファイナンシャルプランナーの橋本絵美さんにお話を伺った。

貯まってから使う、がお金と上手く付き合う基本

― まず最初に橋本さんがファイナンシャルプランナー(以下、FP)になろうと思ったきっかけを伺ってもよろしいでしょうか。

橋本 絵美さん(以下、橋本):私は幼いころから大家族に憧れていて、子どもは10人産むと決めていたんです。なので、外で働くということがあまり現実的ではなかったということと、元々お金を貯めることやお片付けが得意だったこともあって、FPとお片付けプランナーの仕事を始めました。

― お金を貯めるのが昔から得意だったということですが、何かポイントはあったのでしょうか?

橋本:福岡県の田舎出身なので、周りにお金を使うような場所がなかったんです。コンビニまで車で10分のところに住んでいたので、お小遣いをもらっても使う場所がなく、必然的に貯まる一方でした。その中で、テレビで見てほしいなと思うものが出た時には「お金が貯まってから使う」という習慣がもう自然とできあがっていきました。

お金が貯まらない人は、貯まってから使うのではなく、お金を借りて買うという方が多いかと思いますが、そうではなく、貯まってから使うことが、自然とできる環境だったことが大きいかなと思います。

― お金を上手に使う習慣がつきやすい環境だったんですね。FPのやりがい、仕事の魅力についても教えてください。

橋本:FPの元にお金を払ってでも相談したい方は、かなりお金に困っている方が多いのですが、実は意外と改善することができたりするんです。相談に来られたその日にガラッと状況が一変する方もいて、皆さんの顔色が変わって安心しました、と言ってくださることにすごくやりがいを感じます。

資産形成の第一歩は「先取り、自動で、別の場所」

― 20代、30代の資産形成、資産運用に興味あるものの何から始めてみればいいか、第1歩として何をやるべきか悩んでいる方へアドバイスをいただけますでしょうか。

橋本:お金を貯めようと思ったら「先取り、自動で、別の場所」が基本です。お金は先に取っておかないと絶対貯まらないので、「先取り貯蓄」が基本中の基本です。

「先取り、自動で、別の場所」がお金を貯める第一歩

ただお金を貯める前に、なぜ貯めなくてはいけないのか、いくら貯めたいのかという目標を決めることが重要です。そうしなければ貯めてもすぐに使ってしまったり、モチベーションが上がらずに、途中でやめてしまったりするので。例えば、1つの目標として100万円貯めるとか、年末までに10万円貯めるとかでもいいと思います。

その上で具体的に、余ったお金を貯めるのではなく、「先取り、自動で別の場所」。つまり最初にお金を自動で普段使わない場所に移す、ということをおすすめします。

子どものためのお金は、生まれる前から貯めるくらいの気持ちで

― お金を貯めるには貯めようというモチベーションを高めながら、「先取り、自動で別の場所」を徹底することが大事なのですね。子どもが生まれると貯めたい、ではなく、将来かかる費用を考えて貯めなくてはいけなくなるかと思いますが、うまく管理するコツはありますか。

橋本:子どもが生まれたら、絶対に貯金をしないとだめです。学費が本当にかかってきますので、子どもが生まれたら今すぐに貯金を始めてください。できたら子どもが生まれたらではなく、妊娠したらすぐ貯蓄生活に入ってほしいくらいです。奥さんの収入がなくなったり、減ったりしますので。

また、子どもが生まれると、少しずつ支出が増えたりして、貯金できる額もどんどん減っていってしまうので、先を見越してとにかく早く貯蓄を始めることをおすすめします。

― 生まれる前からの意識が大切なんですね。

橋本:はい、生まれる前からの方がいいです。実際にその状況になってみないと実感は湧かないと思いますけど、子どもが生まれてからって生活が一変しますよね。

旅行に行く場合も、3歳ぐらいからお泊りとかも宿泊費がかかるようになります。小学生になったらもっと上がって、中学になったら大人料金になって、結構な金額がかかってくるんです。

小さいころはまだ余裕がありますが、そういうときって余裕があるので使ってしまいがちなんです。

特に今は幼児教育や保育が無償化なので習い事などもついつい増えていってしまうんですよね。もし中学受験をするのであれば、毎年100万単位でのお金が出ていくことになってしまいどんどんお金がかかるので、貯められる時に貯めとかないと後で大変なことになってしまいます。

資産運用は長期で。利益が出た期間と同じ期間でお金は無くなるもの

― 最近はつみたてNISAの普及などによって、投資や資産運用に興味を持つ若者も増えてきています。一方でまだ一歩踏み出せないという方も多いかと思いますが、何かアドバイスはありますか?

橋本:まずはぜひやってみてほしいですね。今でしたら、つみたてNISAの口座を作って、取り扱いのある銘柄から始めていただくのがよいのではないでしょうか。よっぽど不安でしたら、2024年から新NISAが 始まるので、それまでの間は少し勉強しておく、というのでもいいかと思います。ただ、資産というのは時間をかけてできあがっていくので早めにスタートするのがおすすめです。

― 逆に、資産を運用する上で逆にこれはやらないほうがいいというものはありますか?

橋本:短期で利益を出すようなものに手を出すのは避けたほうがいいでしょう。私は利益が出たのと同じ期間にお金はなくなると思っています。1日で儲かるようなものは1日で無くなってしまう、といったように。儲けた期間で無くなると思うので、10年かけて資産をつくって、10年かけて使っていくことで、資産を作ることができて、長持ちもすると思います。

― 短期での利益を求めてはいけないという点について、もう少し具体的に教えていただけますでしょうか。

橋本:短期で利益を出すということは、タイミングを見るものなので、「投資」ではなく、機会を見る「投機」なんですよね。やっていただきたいのは長期にわたって資産を増やしていく「投資」です。

株でも、短期で売買を繰り返すようなものはタイミングを見るものなのでNGです。その企業の成長性を考えて長期で投資をするのがいいのではないでしょうか。

初心者は経済全体に投資をする、投資信託がおすすめ

橋本:初心者には基本は投資信託で長期投資をおすすめしたいです。個別の銘柄が上がるのか下がるのか、業績が上がるのか下がるのかを、普通の人が勉強して判断するのって難しいと思うんです。でも、投資信託であれば経済全体に投資をするということなので、将来的に日本経済は良くなると思うのであれば投資をすればいいし、日本経済はもう落ちてしまうと思うのであれば貯金すればいいのかなと思います。

― 投資信託に投資をしたり、貯金する際、どのくらいのお金がいいか目安はありますか?

橋本:人によってそれぞれ違うかと思いますが、月の給与の手取りの2割ぐらいは貯蓄に回していただきたいなと思います。それがどうしても厳しいのでしたら、手取りの1割。とにかく、それを習慣にするということが大事です。

― 最後にこれから資産形成を始めていこう、という読者に一言いただけますでしょうか?

橋本:先取、自動で別の場所!これを守っていてお金が貯まらなかった人はいません。コツコツ、ぜひ頑張ってください。