「この本読まないで、投資始めちゃうんですか」と、40億円トレーダーのテスタ氏が絶賛するのは、この3月に発売された『勝ってる投資家はみんな知ってるチャート分析』。著者は、マネックス証券のテクニカルアナリストである福島理氏だ。日本株や米国株だけでなく、FXやビットコイン、さらには人生にも使えるというチャート分析について、福島氏にインタビューした。

福島理
福島理
マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ
大学卒業後、大手印刷機械メーカーに入社。ITバブル崩壊後の2000年から投資をはじめる。数々の失敗を受けて独学でテクニカル分析を学び、成績を大幅プラスにすることに成功した。2005年に証券業界に転身し、現在に至る。日本テクニカルアナリスト協会 国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)
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個人投資家がプロと同じ土俵で戦えるチャート分析

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(画像=PIXTA)

そもそもチャート分析とはどのようなものか。たとえば、株式投資であれば、銘柄の分析手法は2つに大別される。ひとつはファンダメンタルズ分析。これは、企業の財務状況や業績などのデータをもとに有望銘柄を発掘していく方法だ。もうひとつはチャート分析(テクニカル分析)と呼ばれる手法で、過去の株価の動きから将来の値動きを予想していくものだ。

「チャート分析にもさまざまな種類がありますが、基本的にはどれも過去の経験則から成り立っています。相場は繰り返すというのがチャート分析の根本の考え方で、実際にそうなることが多いのです。ファンダメンタルズ分析では、情報の量もスピードもアナリストなどのプロには太刀打ちできません。しかし、過去の株価に基づいて分析するチャート分析なら個人投資家もプロと同じ土俵に立てるわけです。しかも、チャート分析は株だけではなく、FXや暗号資産にも活用できるのです」と福島氏はいう。

一昔前であれば、チャート分析も個人投資家にとってはハードルが高かった。しかし、いまではネット証券の情報ツールが充実したおかげで一般の個人投資家も簡単に分析することができる。

「たとえば、証券会社が提供するチャートツールでは、パソコンやスマホで簡単に週足、月足といった期間の異なる株価の動きを遡って見ることができます。そこには、テクニカル分析の基本と言える『過去の高値や安値』が明確に描かれているのです。そして、株価が過去の高値を超えると、上昇の勢いが増してさらに上値をつけやすくなります。一方、株価が過去の安値を下回った場合には、下落が加速してさらに下がってしまう可能性が高くなります。これだけ聞くと、『そんな単純な考え方で勝てるの?』と思ってしまうかもしれません。しかし、この単純な方程式に中には、その銘柄を売買している投資家たちの複雑な心理も隠されているのです」(福島氏)

たとえば、株価が上場来高値を更新したケースを考えてみよう。この状態ではこの銘柄を買っているすべての人が利益を出しハッピーな状態となっている。このような状況では、「もっと上がるかもしれない」と考える人が多く、株を買う人が増えて売る人が少なくなる。さらに「高値を抜けたらエントリーしよう」と待ち構えている投資家も多く、株価の上昇に弾みがつくというわけだ。単純なチャート分析であるほど、注目している投資家が多く、株価は過去の経験則に従って動きやすくなる。

チャートにラインを引いて、相場の転換点を探る

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(画像=PIXTA)

一方、テクニカル分析の世界でも超メジャーなのが「トレンドライン」。

トレンドラインはテクニカルの達人はもちろん、テクニカル否定派の投資家もなんとなく気にしてしまう分析手法だ。株価の動きは、次の3タイプに分類される。①株価が上下の波を描きつつ上昇していく「上昇トレンド」、②株価が上下の波を描きつつ下落している「下落トレンド」、③株価が上下しつつも一定のライン内で値動きを続ける「横ばいトレンド」。

「たとえば、上昇トレンドで描かれる上下の波の安値の部分を1本の線で結んだものを「下値支持線(サポートライン)」と呼び、一時的な値下がりから再び上昇へと転換する目安になります。上昇トレンドにある銘柄が、この下値支持線に接近、もしくはタッチすると株価は反発に転じるケースが多いのです。ですので、上昇銘柄の押し目を狙う戦略では、この下値支持線あたりまで下がるのを待ってエントリーすることになります。

一方、下降トレンドのケースでは、波の高値の部分を線で結びます。これを上値抵抗線(レジスタンスライン)と呼び、株価が一時的に反発しても、この上値抵抗線に到達すると再び値下がりする可能性が高まります。

なお、下値支持線や上値抵抗線で株価が反発せずに抜けてきた場合には、これまで続いていたトレンドが転換するシグナルになります。また、レンジ相場と呼ばれる横ばいトレンドにある場合にも、上値抵抗線や下値支持線を株価が抜けてくることでトレンド転換のシグナルになります」(福島氏)

奥が深いテクニカル分析。ダマシを避けるためには?

チャート,トレンドライン
(画像=PIXTA)

ここまでチャート分析の初歩ともいえる「高値や安値」「トレンドライン」について教えてもらったが、もちろんチャート分析はこれだけではない。また、チャート分析には、時として「ダマシ」が発生することもある。ダマシとは、チャート分析で売買サインが出たにもかかわらず、そのサインとは逆の動きをしてしまうことだ。

「チャート分析は非常に奥が深いものです。たとえば、今回お話したトレンドラインなどは、相場の方向性を探るトレンド系(移動平均線、MACD、ボリンジャーバンド、一目均衡表)と呼ばれる分析手法です。一方、現在の株価が買われ過ぎなのか、それとも売られ過ぎなのかを判断するオシレータ系(RSI、ストキャスティクス、RCI、サイコロジカル)と呼ばれる分析手法も存在します。どのテクニカル分析も一長一短ですので、これらの中からいくつかのテクニカル分析を併用することで確度を高めていくわけです」(福島氏)

では、チャート分析とは対極にあるファンダメンタルズ分析について、福島氏はどう考えているのだろうか。成長性の高い企業を見つけて、投資するのが株式投資の「王道」ではないのだろうか?

「なにも企業業績などのファンダメンタルズを無視しろというわけではありません。実際の銘柄選びには、やはり企業業績やマクロ経済指標などのファンダメンタルズもチェックしておくべきだと思います。ファンダメンタルズ分析で有望な銘柄を見つけたら、チャート分析で売り場や買い場を探っていけばいいのです。逆に、チャート分析で上がりそうな銘柄を発見した場合でも、企業業績などをチェックしてから投資すべきです。いくらチャート分析で買いシグナルが出ていたとしても、企業業績の悪化などで倒産してしまったら元も子もありませんから」(福島氏)

最後に、福島氏から投資初心者にアドバイス。実は、現在はマネックス証券に勤務する福島氏も、依然は株式投資家として数々の失敗や成功を経験してきたという。

「チャート分析で大切なのは、自身の相場観をトレードに取り入れないことです。たとえば、下げ続けている銘柄を何の根拠もないまま『いい加減、反発するころだ』というように自身の相場観で手を出してしまうようなケースです。また、チャート分析ですでに下落トレンドへの転換のサインが出ているのに損切りをせず、結果、塩漬けとなってしまうというのは、個人投資家にはよくある失敗談です。せっかくチャート分析が正しいサインを出しているのに、自分の感情や根拠のない期待が邪魔をして、本来取るべきとは逆の行動を取ってしまってはもったいないと思いませんか。チャート分析に興味を持った方は、ぜひ『勝っている投資家はみんな知ってる チャート分析』を読んでみてください。ここではご説明できなかった、さまざまなチャート分析を丁寧に解説していますので」

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