出身地:大阪府
趣味:ゴルフ、ソフトボール、ディズニーランド
経歴:1998年:関西学院大学卒
1998年:蝶理株式会社入社
2005年:畑鉄工株式会社入社
2015年:畑鉄工株式会社代表取締役就任
2017年:株式会社ケーブレイジングを設立
2022年:新社屋を建設し、本社を移転
2022年:畑鉄工株式会社と株式会社ケーブレイジングを合併し、株式会社ハタメタルワークスを設立
特に多品種、少ロットを得意としており、主に鉄道車両部品、産業用電池部品、配電盤や制御盤の部品を製造しています。
創業からこれまでの事業変遷
― まず事業の変遷について簡単に説明いただけますでしょうか。
畑 当社は私の祖父が創業したことが始まりでした。近畿日本鉄道という電鉄会社の部品をブローカーとして取り扱うことからスタートして、その後父が引き継ぎました。そして、電池メーカーの仕事をもらうことになり、仕事が増えていきました。それが会社設立の始まりで、工場としての運営を始めました。
― お父さまから事業を継がれるときには、会社を辞めるタイミングだったり悩みもあったということですが、そのあたりもう少し詳しくお聞かせいただけますか?
畑 そうですね。父がやり始めて、工場として下請けとして仕事をもらっていたのですが、当時ほとんどの仕事をいただいていたユアサ電池がGSという会社と合併されるときがあり、そのときに仕事が半分以下になるという状況になりました。その頃、父が病気になり、私が次に継ぐことになったんですが、そのときは本当に悩みました。
― その中で具体的に承継をされたときの社内の状況や、後継社長としての苦労についてもう少し詳しくお聞かせいただけますか?
畑 よく聞く話で、創業者がカリスマ的で継ぐのがやりにくいという話がありますが、うちではまったくそういうことはありませんでした。父は早くやめたいという形で、好きにやってくれという本当に丸投げみたいな形でした。ただ、社内的に変化が必要だと感じ、古い人間には多少反発がありましたが、それぐらいですね。
代替わりの際に苦労された点
― では、引き継ぎなどで特に苦労はなかったのでしょうか?
畑 引き継ぎ自体は問題なかったのですが、ただ引き継ぐだけでは立ち行かない状況で、新しいことをやらないといけないと感じました。社内的にも、これまでの経験から新しいことを始めるのは難しいという意見もありました。
― 新しい事業を立ち上げる中で、社内の方々の考え方にはどのような違いがありましたか?
畑 今までの仕事は大量生産に近い安定したものでしたが、新しい事業では少ロットでスピーディーに対応しなければならない点が大きな違いでした。私は仕事のやり方を変える必要があると感じていたのですが、中には今までの経験からなかなか変われないという社員もいました。
― そういった方々とはどのようにコミュニケーションを取りましたか?
畑 話をして理解してもらうよう努めましたが、中にはそれでも辞めてしまう方もいました。ただ、新しい働き方にすぐに対応してくれる社員もいて、今でも一生懸命働いてくれています。
― 引き継いでから、新しいやり方が実現するまでにどれくらいの時間がかかりましたか?
畑 実は、結構早かったんです。最初に「このままではいけない」と感じ、営業に力を入れました。すると、少ロットでスピーディーに対応できれば受注できるという感触がすぐに得られました。そこを見つけるまでが一番の課題でした。
― 最後に、ハタメタルワークスはどのような会社ですか?
畑ハタメタルワークスは商社のような会社です。これからもお客様のご要望に応えられるよう、多品種や少ロットでスピーディーに対応していくことを目指しています。
ぶつかった壁と乗り越え方
― ハタメタルワークスの経営者になられて、これまで苦労されたことや一番難しかった点は何でしょうか?
畑 まず、やはり人の問題ですね。結局、人がやることなので、どれだけ一生懸命働いてもらうかが重要です。前職の商社の時代では、自分が若かったこともあり、自分さえ頑張ればという考えで仕事に取り組んでいましたが、経営者となった今ではどれだけ本気になってやってもらえるかというのを進めることが難しいですね。
― それを乗り越えて、やる気になってもらうためにはどういった取り組みを進めてきましたか?
畑:まずは、会社として利益を上げることが大切です。利益が上がっていることを従業員に理解してもらわないと、なかなか前に進めません。利益が上がれば、還元もできますし、人もやる気になるので、そこが一番重要だと思います。
― 今後の展望や、事業を拡大・伸長していくための戦略を教えていただけますか?
畑 私たちの会社は小さいので、これからどんどんいろんなことをやっていくのは失敗する恐れもあります。しかし、今やっている特化した製品で、少ロットの要望が多いため、どれだけ対応力を他者より出して認めてもらえるかということを突き詰めていきたいと思っています。
― 対応力を上げて、理想に近づけていくための一番の課題やテーマは何でしょうか?
畑 やはり人材の問題ですね。特に若い人の採用が難しくなっています。大量生産なら機械でできますが、どれだけ人がうまくやるかというのが重要です。それを引き継いで新しい人材を育てることが今後も課題だと思います。
― 適任な人材のイメージはどのような方ですか?
畑 真面目にコツコツやるのも大事ですが、一番重要なのは自分で考えて効率よくしようという意識を持っている人です。ただ同じことを繰り返すのではなく、効率を追求するような人が重宝されます。
― しかし、そういった人材の採用が難しいということですね。どのように対応していく予定ですか?
畑 現状では人数的に困ってはいませんが、仕事が増えたり退職する人が出てきたりすると、新しい人材を採用することが厳しくなるでしょう。特に製造業に興味を持つ若い人が減っています。
若い層を採用するためにも、ブランド力や認知を向上させることが大切です。私たちも2022年に新しい工場を立てましたが、若い人に働きたいと思ってもらえるような形にしています。製造業らしくない感じにして、魅力をアピールしていきたいと思っています。
今後の経営・事業の展望
― さて、今後の成長戦略についてお伺いしたいのですが、連続的な成長や、M&Aや上場を目指して資本を調達するなど、非連続的な成長についてはどのように考えていますか?
畑 まず、連続的な成長については、若い方を積極的に採用し、営業力を増やしていくことが重要だと考えています。一方で、非連続的な成長に関しては、確かにM&Aや上場を視野に入れています。M&Aで適切な会社を見つけることが重要だと考えています。
― なるほど。では、社内の候補者を見つけるための教育や幹部育成についてはどのように取り組んでいますか?
畑 確かに幹部育成は重要ですが、現状ではまだ具体的な取り組みは行っていません。株の問題もあるため、社内の人間だけでは難しいと感じています。そこで、外部のリソースを活用することを考えています。
― 外部のリソースを活用するということですが、具体的にはどのような形で取り入れていく予定ですか?
畑 正直、外部の人が入ってうまくいくケースはあまり見たことがないのですが、それでも業界や会社の文化にマッチする人材を見つけることが重要だと考えています。特に、弊社のような短納期での仕事が多い会社では、大手企業出身の人材よりも、何度も小さな会社を立ち上げた経験のある人材の方がマッチする可能性が高いと感じています。
― では、今後の成長ドライバーとして、人材以外に重点化すべき要素は何だとお考えですか?
畑 さきほど触れたM&Aが1つの要素ですね。良い会社があれば積極的に取り入れたいと考えています。また、親和性が高い会社や、営業機能が強い会社との連携も重要だと感じています。
― M&Aや連携による非連続的な成長が進むと、IPOなどの資本市場へのアプローチも視野に入ると思いますが、そのあたりはどのようにお考えですか?
畑 IPOについては、まだ少し先の話だと思っています。ただ、スケールメリットを享受できるようになると、IPOも視野に入れるべきだと考えています。
全国の経営者へ
― 全国の経営者の皆様へ向けて、事業部の継承や会社の立て直しについて悩んでいる方々に、畑氏からのメッセージをいただければと思います。
畑 中小企業の社長にとっては、大手企業との取引が発生することがあるかと思います。大手はM&Aでどんどん成長していますが、中小企業は競争の中で少しでも安く仕事をしています。しかし、本来はお互い協力し合い、技術力を高めていくべきだと思います。
― なるほど、協力し合ってより良いものを作り出すという考え方ですね。
畑 そうです。横ばかり向いて仕事をするよりは、違う方向に目を向けて協力し合うことで、もっと素晴らしいものができると思います。
― 素晴らしいメッセージをありがとうございました。
- 氏名
- 畑 敬三(はた けいぞう)
- 社名
- 株式会社ハタメタルワークス
- 役職
- 代表取締役社長
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■取材対象者 畑 敬三 代表取締役