ERCトークン20採用で高い実用性、取引の平等性を実現する「JPYC(ジェーピーワイコイン)」。取引の無形化、多様化が進み「Web3」時代が到来した現代、JPYCは人々に求められる通貨といえる。まだまだ不平等性が残る日本経済に対し「問題の根っこに斧を当てなければならない」と語るJPYC社代表取締役岡部典孝氏。JPYC事業に対する一貫した信念を持つ岡部氏に、創業の経緯やJPYC社の今後の展望、さらにJPYCのおすすめの購入方法をうかがった。

(取材・構成・編集=川島彩子、藤倉理子)

ERC20で標準化、1円の価値を維持するように設計されたJPYC(ジェーピーワイコイン)

─ JPYC(ジェーピーワイコイン)はどのような通貨なのでしょうか?

JPYCは、プリペイド型の「ステーブルコイン」です。ビットコインなどの暗号資産は、ドルや円といった法定通貨と比較すると価格変動が激しく、その実用性に課題があると一般的にいわれていますが、ステーブルコインは価値が安定するように設計されています。

JPYCはデパートの商品券やAmazonギフト券などと同じでして、それを電子化し、イーサリアムのトークン規格「ERC-20」に準拠して規格化した点が1番の特徴です。

ERCトークン20とは各トークンの機能を標準化したもので、この規格に則って作られたすべてのトークンは互いに互換性があります。Amazonギフトを代表とした今までの電子的な商品券は専用規格でつくられて、例えばAmazonのサーバーなどで管理されています。一方JPYCはブロックチェーンの技術を使うことでERC20という、みんなが使える標準規格を制定し、価値を構築・維持することに成功しています。

─ JPYCの価値が維持される仕組みとはどのようなものでしょうか?

JPYCは商品と交換することによって価値を維持しています。1ポイント1円の商品と交換できることを弊社が保証しているのです。ただし1ポイント1円の商品といってもみなさんが欲しい商品を弊社が準備できるとは限らないので。そこで今使っているのがVプリカギフトというVisaのプリペイドです。

JPYCを送信して、Vプリカギフトを受け取る、という仕組みです。事実上JPYCで購入したVisaのプリペイドは日本円の1円と等価交換できます。ですからJPYCは、消費者の方に1円としての価値を感じていただきやすいでしょう。弊社による法務局への供託や、売却などにより価格が1円に近いところを維持するように、JPYCは設計されています。

JPYCのマネタイズポイントは手数料負担減と取引の平等化による流通拡大

─ 会計上1JPYC=1円で計算できるプリペイド型のJPYC事業について、マネタイズポイントはどこにあるのでしょうか

マネタイズに関しては今はまだスタートアップで、赤字の状況です。しかしJPYCを通じての商品売買において仕入れと販売額の差で利益をとれます。また将来的には効率的な決済システムが作れると考えています。現状クレジットカード決済を導入すると、業種によりますが、企業には3%前後の加盟店手数料がかかるわけです。しかしJPYCであれば決済手数料が1%未満になります。手数料の面でもメリットが大きいJPYCがいろいろなお店に普及・拡大したら収益化のポイントになると考えており、そこにかけているわけです。

- 今消費行動が複雑化してきていろいろなパターンが出てきていると思います。単に買っていただけの人がスマホのアプリでコロッと売る側に回っていたなど、取引の多様化が進む未来、固形物である通貨やプリペイドカードなどで対応できるか懸念があります。そこでステーブルコイン用の法律が整備されていて、流通していたらよりスピード感あふれ、より平等な経済情勢を実現できるのではと感じます。

おっしゃるとおりで、経済の取引が平等なのがすごく大事なポイントだと思っています。JPYCは極めて汎用的なERC20という標準的な規格を使っているので、オープンソースのプログラムを送り込んで、場合によってはQRコード1つ送れば誰でも自由に決済できるようになります。イノベーションの起爆剤になるような決済システムを作れればと考えています。

UST価格下落から見る、プリペイド型JPYCの安定性

ー「ステーブルコイン」という言葉は人々に流通していると考えられますか?そもそも、言葉の定義は明確になっているのでしょうか?

ステーブルコインという言葉は定義自体は浸透していないし法令用語になっていません。

改正資金決済法を参照すると、法定通貨建てのステーブルコインは、デジタルマネー類似(電子決済手段)型と暗号資産型の2つにわけて語られますが、ステーブルコインはいずれの特性も持つ通貨です。

UST(TerraUSD)をはじめとしたアルゴリズム型ステーブルコインに関しては日本の金融庁は暗号資産型だと考えています。一方、ステーブルコインは暗号資産の一種ではありません。改正資金決済法においてはステーブルコインをどちらかというと為替の一種である電子決済手段型として日本の当局(金融庁)はとらえています。その意味でのステーブルコインで現在日本に出ているのはプリペイド型のJPYCのみという状況です。

今後、ステーブルコインの言葉の定義は変わっていったり決まっていったりするのではないでしょうか。ちなみに、JPYCも暗号資産と間違えられることがありますが異なります。ステーブルコインに関する報道を見ていてもあいまいで、理解して書いているのかわからない、と感じることがあります。USTのようなアルゴリズム型ステーブルコインと銀行預金を同じくくりで話したり。

ー USTといえば、2022年5月、価格暴落が起こりました。価格が安定しやすいといわれるステーブルコインのリスクについてお聞かせください。

ステーブルコインと一言でいってもリスクはさまざまです。USDC(USDコイン)に代表されるようなアメリカドルのステーブルコインは法定通貨に戻せるけれどUSTのようなアルゴリズム型のステーブルコインは暗号資産には戻せても法定通貨に戻すことは保証されません。

一方、前払式支払手段型のJPYCはそもそも現金などに戻すということを想定しないで、商品購入など別のものに使ってください、という価値基準です。このようにステーブルコインの取引には3つの手段があるわけですが、それぞれに異なるリスクがあります。

法定通貨に戻せるアメリカドルのステーブルコインには銀行の取り付け騒ぎなどのリスクがありますし、アルゴリズム型のステーブルコインにはプログラムのバグで流出するリスクや暗号資産の価値が暴落するリスクがあります。前払式支払手段型のJPYCの場合はその発行体が倒産してしまう、といったリスクがあります。

利用時はステーブルコインそれぞれの性質を理解することが重要です。Aというステーブルコインが安全だからと言ってBというステーブルコインが安全、ということにはならないのです。しかし、USTのような価格下落リスクに着目してみると、物との交換、というシンプルな仕組みで価値が担保されるJPYCに関しては、安定しているという評価をいただけたと自負しております。

拡大する無形のマーケットにて、求められる決済手段JPYC

ー 原始の時代から物々交換は行われているわけで本能的な決済手段を再現されているのだと感じました。これから、通貨建て資産に対するリテラシーが安定すればもっと流通するのではと感じます。

そうですね、実はその、通貨というのは人と人が取引するのに使われてきたものなんです。近年は、自動販売機のように人と機械が取引する仕組みが流通するようになった。ECもそうです。今後は機械と機械が取引するような時代がくると思うんです。プリペイドカードでさえ決済できない時代です。そんな時代で共通規格があって、決済手数料が安い決済手段は必ず求められると思います。日本円の世界においてはJPYCがその、将来求められる決済手段に1番近いと考えています。

ー 今、紙幣から仮想通貨へ、紙からWebへ、など現物がないものが拡散されていく中で形がないからこそしっかりしたルールをつくることが大事なのかもしれません。通貨取引の世界で、そこをJPYC様が1番先に実践されるのだと思います。

まさに形がないもののマーケットがどんどん大きくなっています。NFTだとか急激にマーケットが大きくなっていきました。しかしNFTを取引しようとしたとき、キャッシュカードで買おうとすると中々大変ですよね。現金で買おうと思っても売ってくれないですし今までは国家の強制通用力(法律によって支払の手段として流通しうる力)が価値の源泉であり大事なものだったんですが。

いくら国が「法廷通貨で取引しろ」といったところでNFTはお札では取引されません。その点、NFT取引と相性がいい規格であるERC20を採用したJPYCは、今後発展していくと考えます。日本円の価値からいったんJPYCにかえて、JPYCでリアルタイムでNFT取引をするという仕組みです。

創業の理由は、将来の日本経済にJPYCが必要になると思ったから

ー JPYC事業創業の経緯についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

もともとは私が大学生のころ、もう20年以上前にさかのぼるのですが、ゲームをやっていて、ゲームのコインでTシャツや関連ソフトを買える世界を当時から作ってきました。

そのころから経済圏が今後急激に拡大していくだろうと考えていました。前職では歩いてもらえる「ARUKコイン」というのでお茶が飲めたりスニーカーが買えたりする世界を実現しようと考えていたのですが、企業が受け取ってくれないという課題に直面しまして。価値が安定したステーブルコインなら企業が受け取ってくれると判断しました。企業が受け取ってくれない1つの原因は会計上、税務上の問題なんです。

日本の事業者は日本円で計算して会計・納税しなければならないという現実があるため「会計や納税ができないコインは単独では普及しえない」、つまりステーブルコインが絶対に必要だと考えました。共通規格があり価値が安定したステーブルコインを誰かが作ってくれれば、今でいう「Web3(Web3.0)」の会社が共通して使えるインフラになりえるのにという思いがあり、自分がやるしかないなと思い、創業して半年くらい経ったタイミングで本格的にステーブルコインを作ったという経緯です。

資本効率アップのカギ・Web3に乗り遅れるな

ー Web3といえば、2022年1月、毎年1月にアメリカ・ラスベガスで開催される世界最大級のテックイベント「CES 2022」でさまざまな製品・サービスが展示され、企業とユーザーが直接取引できるWeb3時代が着実に到来していると話題になりました。

岡部様も2021年に「大学生・若手スタートアップ向けのWeb3を知る会」を開催されていますがWeb3の可能性についてお聞かせください。

私はブロックチェーン推進協会で理事をしておりまして、頻繁に会を開き、学生や企業向けにWeb3の可能性をお伝えしています。私が考えるWeb3のインパクトのひとつとして、資本効率が良くなることが挙げられます。Web3の取り組みのひとつにNFTを作って売る、というものがあります。これは立ち上げや入金までが早いのが特徴です。NFTの作成は、クリエイターの方なら1日ないしは数日でできてしまいます。そして作ったNFTをスピーディに、いきなり世界に売れる可能性もあるわけです。

例えば不動産物件を建てるのに、分割してNFTにして売る、料金はNFTで回収、というモデルがあります。これのすごいところは、物件を建てる段階でNFTによる資金回収が終わってしまう点です。今までは銀行さんに「貸してください」といってお金を借りて物件を建てて何年・何十年かけて回収していくという流れでしたが、Web3なら優れたコンセプトがあれば建てた段階で資金回収が終わっていて、収支がプラスになっているという状況を生み出せます。

銀行からみても今まではこの事業・技術が当たるかわからないけれどお金を貸しましょう。

というわけで、世間的信用がないとお金を借りられなかった。しかしWeb3を活用すれば、優れたアイデアさえあれば学生や若い方でも、あらゆる方がNFTを使って資金を回収できます。株式の取得により企業に対して投資を行う「エクイティ投資家」にとっても少ない投資ですごく高いリターンを得られる可能性があるわけです。今までは1億円投資しなければならなかったのが、少ない自己資金で投資できるなど高い投資対効果を期待できるんです。

Web3をうまく使った企業は、2000年代中頃以降に浸透した「Web2」のままの企業より優れた資本効率を叩き出して株式のマーケットでも評価されるだろうと思います。そうなるとやはり「Web3に乗り遅れるな」という流れがますます大きくなる、そこに私は期待しています。世界中でそういうWeb3に移行する動きが始まっているので日本も今からしっかりやればついていけるはずです。

乗り遅れて「外国だけがWeb3を活用して日本は活用できなかった」となると日本の会社だけ収益性が低く資本効率が悪くお金が集まらなくなる、ということになるわけです。

Web3にどう取り組んでいくかという問題は避けて通れないと思っていろいろな方にお話ししていますがまだ日本の全企業に伝わってるわけではありません。しかし先進的な企業からどんどん取り組んで、資本効率をアップさせている事例が出てくると確信しています。

求めるのは年齢・経験不問、自律分散的な人材

ー 急成長・即行動・フェアな関係というバリューを掲げられるJPYC様。平均年齢24歳とお若いなと感じますが今後どのような人材にジョインしてほしいと思いますか?

年齢性別は関係なく自律的に動ける人に入ってほしいです。変化の激しい時代、自律分散的に動ける人でないとキャッチアップが追い付かないと思うんです。日進月歩で技術は進化するし状況も変わります。現場が一番情報量が多い状態です、そこで自分で判断してどう動くか判断できるような方を求めています。高校生であっても自律分散敵に動ける人はいますし、社会人経験が豊富な方であっても動けない人はいる。また、カルチャーフィットも重視して採用を進めています。会社のカルチャーも独特なので(笑)

弊社は下は17歳で上は60歳くらいと年齢層も幅広いです。17歳の社員が主軸で活躍していたときもありました。10代の下に40代50代がつくこともあります。

ー 暗号通貨の世界と現実世界をシームレスにし、誰もがイノベーションを起こせる社会を実現させたい」というミッションをうかがいました。「社会のジレンマを突破する」というミッションについてお聞かせください。

高校生や中学生にとっても暗号資産の世界は平等です。大統領であっても、役職に関係なく同じ条件で取引できます。クリプト(暗号資産)マーケットの大きな特徴ですね。勝てるかどうかはそれぞれの知識やスキルによるわけです。偉い人が有利な条件で取引できる、というのが今までの当たり前でした。例えば高校生の場合、株式投資に挑戦したくても証券口座を作るのに一苦労という状態です。しかしクリプトの世界は一部を除いては年齢に関係なく開かれています、格差を縮めるという意味でも貢献できると考えます。

ー 平等な社会には平等に取引できるコインが必要なのですね。挑戦したいとき、JPYCコインがありき、というわけですね。

効率的な決済手段を実現し、誰もが平等に取引できる世界を目指して

ー JPYC社様の今後の展望についてお聞かせください。

JPYCを使える場所を増やしていきたいと考えています。取引所さんからお話もいただいていますので取引所で使えるようになるような未来もあると思います。「第三者型」という加盟店を募集できるライセンスをとったあと、ふるさと納税事業などにも挑戦できると思います。将来的には効率的で安定的な決済手段を安く実現できると確信しております。

今後キャッシュレス決済の比率が増大したとき、0~1%のあいだで手数料をなるべく安くして決済できるようになるといいなと思います。あらゆる業種で効率的な決済を実現できるようになって各企業が儲かって、経済が発展することが目標です。3%の手数料をとらないわけにいかない大手金融機関と異なり、手数料の軽減を実現して社会貢献できる点が我々スタートアップは醍醐味だと考えています。

ただし今後、法改正により電子決済手段にJPYCはあたる可能性がでてきまして、その場合は銀行さんと提携するとか、あるいはみずから銀行をつくるなど、そういった動きも検討しなければならないと感じています。将来的には今のスタートアップの自律分散的な文化と、金融当局から認められる企業としての社会的責任をどう両立するかが課題であるとともに、非常に面白いチャレンジだと思っています。真逆なので、やりがいがあります。

ー JPYCのおすすめの買い方を教えてください。

基本的にはほとんどの方が利用されている銀行振り込みがおすすめです。銀行振り込みなら早ければ当日中にJPYCを購入できます。暗号資産が怖いという人もいますが、JPYCは暗号資産と同じ技術を使っているだけで、商品券なんです。1回商品券を買ってみてください。使い方は自由で、知り合いにJPYCで買った商品券をプレゼントするという使われ方もされているようです。最近ではTwitterでJPYCを投げ銭できるサービスもありますので、ほかの人に贈ってみるのもいいかもしれません。弊社でなく外部の方がそういった流通サービスを作ってくれているという点がすごいところだと感じます。

ー すでに暗号資産取引を実践されてて口座を持っている方や、これから暗号資産取引に挑戦したい方の場合、ウォレットがあれば送金して、JPYCを購入できるんですよね?

もちろん可能ですが、手数料を抑えるなら銀行振り込みがいいと思います。また、暗号資産取引所の口座開設もなかなかハードルが高いので。商品券だからこそですが公式サイトで買うのが一番手軽だと思います。「暗号資産のことは全くわからないけどJPYC経由でやってみてNFTのクリエイターさんでデビューできた」という人もいます。

ー これから暗号資産に挑戦する若い方にメッセージをお願いいたします

いわゆるクリプトの世界は自己責任が問われる世界なのでまずは少額でなくなってもいい範囲から始めていただくのをおすすめします。銀行や証券会社などは守られた世界で、箱庭の中で遊べます。ロールプレイングゲームでいえば、銀行で実践できる金融取引は町の中で暗号資産取引は町の外という感じです。しかし恐れていたら町の中でしか暮らせないので広い世界を見たい人はクリプトの世界に踏み込んでみるといいと思います。全財産以上は取られないので(笑)荒野が広がっていて、ゴールドラッシュがあるかもしれない楽しい世界です。

ー 暗号資産取引で、リスク回避のコツをお聞かせください。

メタマスクなど自分のウォレットで管理することが大事だと思っています。例えば認可を受けている日本の取引所と異なり海外の取引所に預けている場合、そこが倒産すると取り出せなくなるリスクがあるわけです。銀行や証券会社でも同じです。絶対安全ということはないのでリスクを相対化してとらえてほしいと思います。そういった点で見ても、JPYCは自分で管理できる財産だといえます。

ー ちなみに、おすすめの通貨はなんでしょうか?

JPYC推しです(笑)ほかですと、イーサリアムには期待しています。事実上スマートコントラクトが採用されていますが、特にコストが下がっていく点に期待しています。

ー ミッションとして、社会のジレンマを突破するとホームページにも大きくありましたが、社会のジレンマとは、どういうことですか?

社会のジレンマって複雑に絡まり合っていて、無限にあると思うんですよね。何かの板挟みになって「ちょっとこれは突破できない」と絶望感のようなものを抱いていることってみなさんにあるはずです。それを全部まとめて突破する可能性がWeb3.0とかNFTとかこのあたりの業界にはあると確信していまして、突破しようと挑戦する人たちがやりやすいような後押しを弊社がすることによって、ジレンマを突破していこうじゃないかという思いを込めています。

弊社にできることは限りがあるので、JPYCの卒業生の方々と一緒にとか、JPYCユーザーさんと一緒にとか、みんなで解決していきたいと思っています。弊社からいまWeb3.0の起業家がどんどん出てきているんです。社会のジレンマを”みんなで”突破するために、弊社が決済手数料を安くするといったインフラ基盤を担うことによって、他の方々がそれぞれ抱えている社会課題を解決するお手伝いができるんだと思っています。課題が100個あるんだったら、100社で突破していく、そういう思いでやっています。

ー 岡部様の経験した具体的なジレンマというよりは、あらゆる社会のジレンマのことを指しているんですね。

そうですね。課題って一個解決しても無限にあって、正直、埒があかないと思っていて、問題の根っこをクリアしようと思った時に、「資本効率が悪い」とか「決済手数料が高い」とか、そういった全ての業界に関係してくる経理や財務の問題に突き当たったんです。つまり、全ての新規チャレンジャーがそのへんで不利を被っているわけです。スタートアップだったら資本コストが高いですし、小さな会社は決済手数料が高いわけですね。大きなところが有利で小さいところが不利っていう分野にメスを入れるのが、まとめて課題を解決するのに一番の近道じゃないかなと思っています。

ー 最後に、岡部様が考える現代経済の課題感と、それに対するアクションについてお聞かせください。

資本効率が悪い点や決済手数料が高いという点はすべての業界に関係してくることだと思います。すべての新規チャレンジャーがこの問題の被害を受けているんです。大きいところが有利で小さいところは不利という分野にメスを入れなければならないと感じています。ただしスタートアップ企業はもちろんですが政府や金融庁、銀行などいろいろな方々と対話して、問題の根っこに斧をあてることが大事だと思っています。

事業への一貫した信念と、JPYCイノベーションへの期待

戦後、高度資本主義経済を迎えがむしゃらに成長を遂げてきた日本経済では、やり取りの不平等さにみんなが目をつぶってきたところがある。現代経済に根強く残る課題を岡部氏率いるJPYC社が改革する将来は来るのだろうか。平等に取引できることや優れたアイデアさえあれば挑戦できる、と語る岡部氏。岡部氏の事業に対する信念が一貫している点は事実である。