学生投資連合USICで副代表を務める佐野快斗さん。投資を始めたのは大学生になってからと、投資家としては今、猛勉強中の最中にある。しかし、すでに海外株式、FX(外国為替証拠金取引)を経験するなど、その経験は着実に広がりを見せている。投資家としての目線は投資初心者に近く、これからの活躍が期待できる大学生でもある。
投資に対する疑念がスタートライン
佐野さんの場合、投資に対するスタートラインは、一般的な投資家とはやや異なるかもしれない。他界した父親が生前にライブドアや海外の新興株式投資で多額の損失を抱えていたことから、投資に対して当初はプラスの印象を持てず、ネガティブな印象しかなかったと振り返る。
しかし一方で、世間では個人の資産運用をすすめる風潮があり、大きなギャップを感じていた。「投資は危ないものなのか」という疑念がスタートとなって、高校生のときから投資に興味を持ち、大学生になってから本格的に投資の勉強をはじめて現在があるという。
佐野さんの投資スタイルは、数週間から数カ月の単位で持つスイング投資もしくは中期投資だ。投資判断のツールとしてはチャートを最も重視している。最初はFXから投資をスタートさせたこともチャート活用の背景につながっているようだ。チャートを見るときにはまず日足をベースとし、できるだけ時間足は見ないようにしている。時間足を見てしまうと、どうしても短期の動向に左右されてしまいがちだからだ。
「チャートは、トレンド(波)の形がきれいかどうかを重視している」という。そして、「右肩上がりのチャートが好き」だとも。上昇トレンドのチャートの好みについては、異論もありそうだが、近年の米国株の場合は結果的に、この右肩上がりのチャートが有効だった。
「米国株投資の魅力は日本株に比べて少ない資金ではじめられることです。通常1回あたり10万円以内の取引で十分に対応できます。大学生の今は、少額で多くの売買経験を積み重ねることを重要視しています」(佐野さん)
台湾セミコンダクターでひと回転
佐野さんのこれまでの投資の成功例は、世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)である台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング、通称TSMCだ。米国のニューヨーク証券取引所とナスダックの双方の市場に上場しているTSMCは、5G(第5世代移動通信システム)対応のスマートフォンやリモートワークによるノートパソコン需要、車載、ゲーム向けの引き合いも好調で2020年の売上高は過去最高を更新している。
半導体需要の高まりが報じられていた2020年の秋口辺りに投資して、上手く利益確定ができた。それまで緩やかな右肩上がりの上昇トレンドが継続していた同社のチャートだったが、2020後半あたりから急上昇し、その後も高値圏での推移が続いている。
ただし、株価が上昇していくにつれて高値警戒感を感じて上げ余地が残っていたものの、手仕舞ってしまった。含み益が出ていると、どうしても利益確定に動きたくなるのが、一般的な投資家の心情だ。どの程度で利益確定をするが効果的なのか、それを知るために探り探り経験を重ねている最中だという。
一方、佐野さんの現在の主戦場となっているのはもっぱらFXで、「米ドル/円」と「ポンド/円」に投資しているという。
「FXの場合は、上がるときは急すぎて利ザヤをうまく取れないことが多いので、下げるタイミングで利ザヤが取れるノウハウを取得中です。FXは今後、米国の金利引き上げ時期が前倒しになる可能性も報道されており、市場の変化をいかにつかむかに注目しています」(佐野さん)
DMM.com証券は、FXのチャート機能と株の検索機能が魅力
これまで株式投資とFXを行ってきた佐野さんは、DMM.com証券を利用していた。「FXのスマホアプリが見やすく使いやすかったから」という。スマホアプリでも見やすく、簡単にトレンドラインを引くことができる機能がイチ押しだ。また、株式投資の口座アプリについても、キーワード検索、テーマ検索の機能の使い勝手が良かったとしている。
「初心者にとっては、ネットニュースを見てすぐにキーワード検索で調べることができるのはうれしい機能です。株式投資は旬のテーマや材料に敏感に反応しますので、いまどのテーマが物色されているのかを知っておくことは、投資家にとってとても大切だと思います」(佐野さん)
また、佐野さんは株式投資やFXに加えて、CFD(差金決済取引)も取引しているため、株式、FX、CFDの各口座で資金移動がスムーズなDMM.com証券に大きなメリットを感じたという。現在は新しい口座にもチャレンジしてみたいとの思いから、楽天銀行に口座を開いたことをきっかけとして、楽天証券の口座を活用している。
投資を教える教育者になりたい
まだ投資をはじめて間もない佐野さんだが、「株式もFXも単なる資産運用にとどまらず、新しい知識が広がるメリットが大きい」という。また、「将来の仕事に関わってくることも多く、就職活動のときの企業分析にも役立つ。投資のノウハウの取得についてはまだまだながら、大学生の若いうちに投資を経験する意義は大きい」(佐野さん)。
佐野さんは文学部で教員資格過程を履修している。「投資の仕組みを教育現場で教えることができる教育者になりたいことが将来の希望。子供に安心して投資・運用を教えることができる教育者を目指したい」という。佐野さんが金融リテラシーの先導者として活躍する日が待ち遠しい。