一般的に「ハイリスク・ハイリターン」のイメージがある「バイナリーオプション」。一定時間後に、為替レートが指定したレートを上回るか下回るかを予測する取引だが、しっかりとした資金管理を行えば、儲けるチャンスになるだけでなく、リスクヘッジにもなるという。「バイナリーオプション@Fla」(ツイッター@FX_BO_Fla)さんの「資金管理術」に迫る。

バイナリーオプション@Fla
バイナリーオプション@Fla
FX(外国為替証拠金取引)、バイナリーオプションを得意とする。本業はWEB・ゲーム制作のフリーランサー。
Twitter:@FX_BO_Fla

株からFXに転身。FX=ハイリスクは間違い

JNB,FX
(画像=PIXTA)

――@FXBOFlaさんが投資をはじめたのはいつ頃ですか?

はい、2006年ころまで会社員をしていたのですが、退職してフリーランスになり、2008年ころに200万円を元手に株式投資をはじめました。もともとは株主優待をもらいたくて、株式投資をはじめたんです。含み損になっても、「このまま優待をもらい続ければお得だからいいか」という気持ちでしたね。SBI証券は株主優待をジャンルで検索できたり、優待をもらうのに必要な金額でスクリーニングできたり、株主優待のページが充実しているのでよく使っていました。~~

投資をはじめたのは、ちょうどリーマンショックが起こった直後のことでした。当初はそれほど大きな損失にはならなかったのですが、所有していた不動産株の中で倒産した企業もあって……。優待はもらえるものの、どんどん資産が減っていくのを見て、「株は自分に向いていないな」と諦めましたね。

――それからはどのような投資をしたのでしょうか?

株主優待や長期投資で痛い思いをして、FXに乗り換えました。株は倒産したら“ゼロ”になりますよね。でも、ハイパーインフレの国の通貨は大暴落することはありますが、世界の主要通貨の価値自体が“ゼロ”になることはほとんどないですよね。

FXはレバレッジが効く分、株式投資よりも一般的にリスクが高いといわれます。企業業績などと比べて、FXのファンダメンタルズはプロでも読みにくく、上がるか下がるかのギャンブルになりがち、というのもあると思います。しかし、今にも倒産しそうな銘柄にギャンブル的に張る株式投資と、レバレッジを抑え損失を限定したFXなら、FXのほうが低リスクともいえますよね。「価値が“ゼロ”になるか」というリスクで考えると、株のほうがリスクは高い面もあると感じます。

「FXは株よりもリスクが高い」という固定観念ではなく、投資スタイルによってリスクの度合いは異なるということに気づいたのです。逆にいえば、FXも手法によっては十分リスクの低い投資が可能になり、「資金管理」や「リスク管理」を重視するようになりました。

時間限定で精神的な負担が少ないバイナリーオプション

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(画像=PIXTA)

2010年か2011年ころ、GMOクリック証券でFX口座を開いたのが、FXをはじめたきっかけです。そして2011年に「外為オプション」、いわゆる「バイナリーオプション」がはじまり、サービス開始直後からバイナリーオプションに投資しはじめました。

――バイナリーオプションは、一定時間後に為替レートが指定したレートを上回るか下回るかを予測する取引ですよね。たとえば1ドル=110.50のとき、「1時間後に上がる(円安)か、下がる(円高)か?」を予測し、上がると予想して5000円を投資し、実際に上がったら1万円が手に入る。しかし、予想に反して下がったら支払った5000円を失ってしまう。このように、バイナリーオプションは「少額から投資可能」、「最大損失額が投資額まででリスクが限定されている」、「動かない相場でもリターンが狙える」などのメリットがありますよね。バイナリーオプションに興味を持ったきっかけは何でしたか?

GMOクリック証券で新しく登場したということで、どんなものかなと試してみたのがきっかけです。株式市場は15時までですが、FXは深夜も早朝も時間の際限なくトレードができてしまいますよね。FXだと常に値動きが気になってしまいますし、また、寝ている早朝に為替が大暴落をして痛い思いをしたこともありました。対して、バイナリーオプションだと時間が決まっているため、精神的な負担が少ないのも自分に向いています。また、購入した金額以上の損が出ないというのも、やはり大きなメリットですね。

バイナリーオプション
バイナリーオプション(外為オプション)の画面。条件のレートよりも上か下かを予想し、当たったら「ペイアウト」の金額を受け取ることができる。予想が外れたら購入金額分が損失となる。(左)予想が当たれば儲けになり、損失は限定的という特徴がある。(右)

――バイナリーオプションではどこのFX業者を使っているのですか?

FXは海外のXMとFBS、バイナリーオプションはHLMI(旧ハイローオーストラリア)を使っています。海外のバイナリーオプション業者の中には「30秒後の値動きを予想」する超短期のものもありますが、それでは単なるギャンブルになってしまいます。

私は、急騰してダブルトップを付け、30分後にそのネックラインを割ってさらに安くなりそうな局面を狙うのが得意です。このトレード手法では15分だとちょっと短く、30分~1時間が理想ですね。短時間で数十万円儲けたこともあります。

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――ほかに得意なトレードの形はありますか?

最近、金(ゴールド)でうまくトレードができました。この1年、金価格は史上最高値水準にあって意外と値動きが大きく、6月17日に1860ドルあたりから1780ドルあたりまで一気に急落したんです。急落といっても、それがずっと続くことはなく、売りが出尽くせばいったんは上がるはず。そこで、急落が落ちついて横ばいになったあたりで、短時間で「上がる」ほうのバイナリーオプションで反発を取りました。

FXと併用すると、リスクヘッジの役割も

リスクヘッジ,投資
(画像=PIXTA)

――バイナリーオプションというと「ハイリスクな商品」というイメージがありますが、どうお考えですか?

バイナリーオプション単体で使うのではなく、FXと組み合わせて使うと実はリスクヘッジの手段にもなります。たとえば、「上がりそうだな」と思って買ったところ急騰し、上がりすぎたところで「さすがに上がりすぎ。一時的に押し目をつくるだろう」と、一時的な下げや調整をすることってありますよね。「でも、かなりいいところで買えたから利益確定してしまうのはもったいない」と感じるときはありませんか?

そんなときは、ロングポジションを持ったまま、短時間のバイナリーオプションで「下がる」ほうに賭ける。バイナリーオプションは「上がるか下がるか」のギャンブルのように見られますが、戦略をもって使えばリスクヘッジにも資産運用にもなるんです。

ただ、「毎日10万円稼ぎたい」といった目標をつくってしまうと、その目標を達成しようと無理な取引をしてしまいがちです。ですから、私は「目標」を持たないようにしています。また、負けが込んでしまうとアツくなって、本来手を出す必要がない場面で勝負をしてしまうこともあります。メンタルを維持しながら資金をしっかり管理するのが一番大事ですね。

――投資のメンタル面を鍛えるためにやっていることはありますか?

私はカジノのスロットが好きなのですが、カジノって胴元が有利ですよね。どんなゲームも長く続ければプレイヤーが負けてしまう。ですから、勝っているときに「いいところで逃げる」というのがカジノで勝つポイントだと考えていて、「やめる勇気を持つ」というのは投資の利益確定に通じるところがあると思います。

たとえば、勝って元手が2倍になったら、元手の分だけ現金化したり別に確保しておく。こうすれば、少なくとも元手を減らすことはないですよね。これって、投資元本は回収済みの「恩株」と同じ考えで、負けてもマイナスにならないような資金管理、リスク管理を意識するようにしています。

それと、やはり投資は増えることもあるが減ることもある。私はフリーランスとして働いていて、収入が多いときはいいのですが、常に安定しているわけではありません。投資でリスクを取りすぎると本業に支障をきたしてしまうこともあるし、投資が危ないと生活に影響が出てしまう。だからこそ資金管理が重要だし、フリーランスでもある程度の安定した収入があることが、投資にもいい結果をもたらすことになると思います。