仮想通貨に投資するにあたり、どれか一つの仮想通貨取引所を選んで口座開設しようと考えている方も多いでしょう。しかし、仮想通貨の投資経験者は、複数の仮想通貨取引所で口座開設していることが一般的。口座開設自体は無料でできる上、仮想通貨取引所によって取り扱っている銘柄や提供しているサービスが大きく異なるからです

ここでは複数の仮想通貨取引所で口座開設するメリットやデメリット、仮想通貨取引所を選ぶ時に見るべきポイントを分かりやすく解説します。初心者におすすめの取引所も厳選して紹介するので、ぜひ参考にしてください。

複数の仮想通貨取引所を使うメリット

(画像=PIXTA)
 

まず、複数の仮想通貨取引所で口座開設するメリットを6つ紹介します。

リスク分散ができる

仮想通貨は株式等と比べると比較的新しい投資対象で、法律や規制が十分に整理されているとはいえません。仮想通貨取引所が破たんした場合、必ずしも資産が守られるとは限らないのです。また、仮想通貨取引所が悪意あるハッカーの攻撃を受けて、仮想通貨が流出するリスクもあります。

複数の仮想通貨取引所で口座開設し、分散して投資することで、リスクを抑えて投資できるのがメリットの一つといえるでしょう。

取引所の独自サービスが受けられる

仮想通貨取引所は、レンディングやステーキングなどさまざまなサービスを提供しています。中には、その仮想通貨取引所でしか利用できない個性的なサービスが提供されているケースも。複数の仮想通貨取引所で口座開設することで、サービスの「いいとこどり」ができるのがメリットです。

色んな仮想通貨に投資できる

仮想通貨は世界中に数千種類あるといわれていますが、日本国内の仮想通貨取引所が取り扱っているのは、多くとも17種類ぐらいです。つまり仮想通貨取引所によって、取り扱っている銘柄は大きく異なります。

一つの仮想通貨取引所だけ利用し、限られた選択肢から投資先を選んでいると、投資チャンスを逃すことになりかねません。複数の仮想通貨取引所を利用することで、関心のある仮想通貨に幅広く投資できます。

裁定取引(アービトラージ)が可能

裁定取引(アービトラージ)とは、仮想通貨取引所ごとの価格差を利用してリターンを狙う投資手法。取引所によって、売値や買値の設定は異なるので、ある仮想通貨取引所で買ってすぐに別の仮想通貨取引所で売りに出すだけで、リターンを得られることもあります。

初心者には難易度の高い投資手法ですが、複数の仮想通貨取引所で口座開設し、売値や買値の差を把握しておけば、いずれ裁定取引をする際にタイミングを見極めやすくなるでしょう。

分岐コインがもらえる機会がある

仮想通貨がハードフォーク(分岐)し、新しい仮想通貨が登場することがあります。ビットコインのハードフォークによってビットコインキャッシュが生まれたのが有名な事例です。ハードフォーク前に仮想通貨を保有していると、同量の分岐コインが付与されることがあります。

ハードフォークはなかなか起きませんが、チャンスは多いに越したことはありません。

通信トラブルなどによる機会損失を減らせる

仮想通貨は値動きが激しい資産として知られています。万一、通信トラブルやシステムメンテナンスのせいで、売り時・買い時を逃してしまうことがあれば、後悔してもしきれません。複数の仮想通貨取引所で口座開設しておくことで、急な値動きにも柔軟に対応し、タイミングを逃さず投資できます。

仮想通貨取引所を選ぶ際に見るべきポイント

仮想通貨取引所を複数口座開設するとしても、それぞれの特徴を押さえ、賢く使い分けることが重要です。続いては、仮想通貨取引所を選ぶ時に見るべきポイントを分かりやすく解説します。

取扱通貨数

仮想通貨取引所を選ぶ時は、取り扱っている仮想通貨の銘柄数を確認しましょう。また、特定の仮想通貨取引所でしか取り扱いがない仮想通貨もあります。各取引所の銘柄数に加えて、取引できる仮想通貨の種類を確認し、自分が投資したい仮想通貨に投資できるよう複数の仮想通貨取引所を組み合わせて口座開設しましょう。

手数料と取引所スプレッド

仮想通貨取引所では、口座開設手数料は無料であることがほとんど。しかし、取引や入出金等で手数料がかかることが一般的です。手数料も比較して仮想通貨取引所を選びましょう。

また、「見えないコスト」と呼ばれるスプレッドにも注意が必要です。スプレッドとは、売値と買値の差のことで、実質的な手数料といわれています。手数料が無料であっても、スプレッドの影響で、実際には手数料の負担が発生します。

スプレッドは仮想通貨取引所や仮想通貨によって変化します。そのうえ変動するものなので、口座開設後に取引しながら見比べていくことが大切です。

販売所と取引所

仮想通貨取引所には、「販売所」と「取引所」という2つの機能があります。販売所では、ユーザーと仮想通貨取引所の間で売買が成立します。一方、取引所では、ユーザー同士で売買が成立します。

販売所は取引が成立しやすく操作も簡単ですが、スプレッドが広く手数料が高くなる傾向があります。反対に取引所は操作が難しいものの、スプレッドが狭く手数料が安くなる傾向があります。

仮想通貨取引所の中には、どちらか一方の機能しか持たないところもあります。また、同じ仮想通貨取引所でも、販売所と取引所で取り扱い銘柄が異なるケースも。それぞれの機能があるかどうか、まは取り扱い銘柄はどのようなものかをあわせてチェックしましょう。

提供サービス

仮想通貨取引所は、各社さまざまなサービスを提供しています。代表的なサービスをピックアップしました。

積立投資……定期的に一定金額の仮想通貨を自動で購入し、積み立てていきます。

レンディングサービス(貸仮想通貨)……保有する仮想通貨を仮想通貨取引所に一定期間貸し出すと、年率に応じて賃借料を受け取れます。

ステーキングサービス……仮想通貨を保有しブロックチェーンネットワークに参加することで、報酬を受け取ることができます。

この他にもさまざまな独自サービスがあるので、独自サービスにも注目しながら仮想通貨取引所を選んでください。

取引の種類

取引の種類には、主に現物取引とレバレッジ取引があります。

現物取引では、100万円が元手なら、100万円分の取引しかできません。

一方、レバレッジ取引の「レバレッジ」とは「てこの原理」のこと。仮に元手が100万円でも、レバレッジを2倍に設定すれば、200万円分の取引ができます。つまり、レバレッジを2倍にすれば、2倍のリターンを狙えるということです。

レバレッジ取引は、成功すれば大きなリターンを得られる一方で、大きく損をしてしまうリスクもあります。投資初心者なら、まずは現物取引で経験を積み、慣れてきたらレバレッジ取引にも挑戦してみましょう。

仮想通貨取引所を複数使う際の注意点

続いて、複数の仮想通貨取引所を利用するデメリットを紹介します。デメリットも踏まえて、口座開設を検討しましょう。

資産管理の負担が増える

仮想通貨取引所のアプリでは、投資している資産をグラフ等で視覚的に確認できます。一つの仮想通貨取引所を利用していれば、すべての仮想通貨が一カ所に集約され管理も簡単ですが、複数の仮想通貨取引所を利用している場合、投資している資産の把握が難しくなります。

資産管理アプリを導入するなどして、効率的に資産管理ができる仕組みを構築すると、デメリットを解消できるかもしれません。

取引所からのメール通知管理が面倒

複数の仮想通貨取引所に登録すると、メール通知がそれだけ多く届くことになります。通知を最小限に設定することは可能ですが、重要なお知らせ等は通知設定に関わらず届きます。一つの仮想通貨取引所を利用する場合と比較して、メール通知の負担が増えることはデメリットとして認識しておきましょう。

確定申告の手間が増える

仮想通貨投資で得た利益は、計算して確定申告しなければなりません。複数の仮想通貨取引所を利用していると、確定申告の手間も増えます。ただ、先ほど紹介したような資産管理アプリを導入するといった方法で、ある程度デメリットは解消されるでしょう。

仮想通貨取引所を複数使うならここがおすすめ

続いて、初心者におすすめの仮想通貨取引所を厳選して4つ紹介します。

販売所・取引所、現物取引・レバレッジ取引など、取引形態や注文方法を網羅できるよう組み合わせました。また、積立投資、レンディング、ステーキングなど代表的なサービスも利用できます。さらに、仮想通貨の銘柄も一定数網羅できるよう選びました。

コインチェック

取り扱い銘柄数:22種類
ビットコイン,イーサリアム,イーサリアムクラシック,リスク,リップル,ネム,ライトコイン,ビットコインキャッシュ,モナコイン,ステラルーメン,クアンタム,ベーシックアテンショントークン,アイオーエスティー,エンジンコイン,パレットトークン,サンド,ポルカドット,フィナンシェトークン,チリーズ,チェーンリンク,メイカー,ダイ
取引形態:販売所・取引所
取引手数料:取引所0%、販売所0.1~5%
最低注文数量:500円
サービス:Coincheckつみたて、貸仮想通貨サービス、ステーキング、Coincheckでんき・ガス、Coincheckアンケート、OTC取引サービス、Coincheck NFTなど
注文方法:現物取引

コインチェックは、仮想通貨の取り扱い銘柄が豊富な取引所です。また、国内仮想通貨取引アプリのダウンロード数No.1で、初心者でも直感的に操作できると定評があります。アプリのチャット画面では、他の投資家の動向も確認できます。

コインチェックには、積立投資やレンディング、ステーキングなどサービスが充実しています。また、電気代やガス代を支払うとビットコインがもらえる「Coincheckでんき」や、アンケートに答えるとビットコインやイーサリアム、リップルがもらえる「Coincheckアンケート」など、個性的なサービスもあります。

GMOコイン

取り扱い銘柄数:26種類
ビットコイン,イーサリアム,リップル,ネム,ライトコイン,
ビットコインキャッシュ,ベーシックアテンショントークン,ステラルーメン,クアンタム,エンジンコイン,テゾス,オーエムジー,ポルカドット,コスモス,カルダノ,メイカー,ダイ,チェーンリンク,モナーコイン,FCRコイン,ドージコイン,ソラナ,アスター,ファイルコイン,ザ・サンドボックス,チリーズ
取引形態:販売所・取引所
取引手数料:取引所メイカー-0.01%、テイカー0.05%、販売所0%
最低注文数量:ビットコイン0.00005BTC、イーサリアム0.001ETH、リップル2XRPなど
サービス:つみたて暗号資産、貸暗号資産、ステーキングなど
注文方法:現物取引、レバレッジ取引

GMOコインは、GMOインターネットグループが運営する取引所です。金融サービスのノウハウを生かし、強固なセキュリティ体制を持ちます。

GMOコインは、2021年のオリコン顧客満足度調査の総合ランキングで1位を獲得しました。評価項目別でも6項目中「取引のしやすさ」「手数料の妥当性」「提供情報の充実さ」「キャンペーン」「セキュリティ」の5項目で1位を獲得し、圧倒的な実力を見せつけました。

GMOコインのスマートフォンアプリ「暗号資産ウォレット」には、初心者向けの「ノーマルモード」と投資経験者向けの「トレーダーモード」があり、高機能チャートも充実しています。

また、GMOコインではレバレッジ取引も可能で、レバレッジは最大2倍に設定できます。

BITPOINT

取り扱い銘柄数:18種類
ビットコイン,ゼノ,シバイヌ,ポリゴン,クレイ,ディープコイン,ジャスミー,エイダ,イーサリアム,トロン,リップル(XRP),アイオーエスティー,ポルカドット,チェーンリンク,ビットコインキャッシュ,ベーシックアテンショントークン,ライトコイン,フレア
取引形態:販売所・取引所
取引手数料:無料
最低注文数量:500円
サービス:レンディング
注文方法:現物取引、レバレッジ(受付停止中)

BITPOINT(ビットポイント)は、トロンやエイダなど、国内の仮想通貨取引所では取り扱いの少ない仮想通貨も取り扱っています。

ビットバンク

取り扱い銘柄数:30種類
ビットコイン,リップル,ライトコイン,イーサリアム,モナコイン,ビットコインキャッシュ,ステラルーメン,クアンタム,ベーシックアテンショントークン,オーエムジー,シンボル,チェーンリンク ,メイカー,ボバネットワーク,エンジンコイン,ポリゴン,ポルカドット,ドージコイン,アスター,カルダノ,アバランチ,アクシーインフィニティ,フレア,サンド,エイプコイン,ガラ,チリーズ,オアシス,マナ,ザ・グラフ
取引形態:販売所・取引所
取引手数料:取引所メイカー-0.02%、テイカー0.12%、販売所0%
最低注文数量:販売所:0.00000001 BTC、0.00000001 ETH、0.000001 XRPなど
取引所:0.0001 BTC
サービス:レンディング
注文方法:現物取引

ビットバンクは、過去に大きな流出事件等を起こしたことのない、高いセキュリティ体制を誇る仮想通貨取引所です。また、2021年2月14日のCoinMarketCap調べで取引量国内No.1を誇る仮想通貨取引所でもあります。

また、取引所で取引できる銘柄が豊富で、多くの通貨ペアを取り扱っていることも特徴です。ビットコイン以外のアルトコインを積極的に取引所で取引したいなら、ビットバンクで口座開設しましょう。

なおレバレッジ取引は、2019年にサービスを終了しました。

まとめ

たくさんの仮想通貨取引所があり、どれを選ぶべきか悩む方は多いでしょう。口コミ等を参考にするのも大事ですが、実際に使ってみなければ、自分にとっての使い心地は確認できません。複数の仮想通貨取引所に口座を開設した上で、使い心地のいい仮想通貨取引所に絞っていくのも一つのやり方です。

さまざまな仮想通貨取引所のサービスを利用しながら投資経験を積み、効率よく資産形成していきましょう。