新しいことに挑戦したい、お金を稼ぎたいという想いから投資をスタート
ー ペンギンさんが投資を始めたきっかけを教えてください。
ペンギンさん(以下、ペンギン):投資を始めたきっかけは、大きく2つあります。1つは父の影響です。私が大学生の頃、父が投資を始めました。普段はあまり会話しない父なのですが、投資や株の話をしている時はすごく楽しそうに話していたんです。その様子を見て「株って楽しいのかな?」と思ったのがきっかけの1つです。
もう1つはメディアの影響です。私が大学生の頃にライブドア騒動があり、連日メディアで株の話題が取り上げられていました。友達との会話でもよく株の話が出ていたため、興味を持ち、株式投資が楽しそうだと感じました。
当時は大学生で時間に余裕があり、新しいことに挑戦したいという想いやお金を稼ぎたいという欲求もあり、投資を始めました。
ー お父様はどのような投資をされていたのですか?
ペンギン:主に日本株です。2~3ヶ月のスパンで売買を繰り返していました。配当金目的というよりも、値上がりを狙って投資していたそうです。
優待株、米国株、国内のIT関連株の3つのジャンルに分散投資
ー 投資の経歴について伺わせてください。最初はどのような投資から始めて、現在の投資方針に至ったのでしょうか?
ペンギン:2004年頃から投資を始めました。最初は話題になっている株や人気のあるIT関連株を購入していましたね。当時だと、ライブドアなどに集中投資していました。
ただし、大きく儲かる時もあったのですが、大きく損する時もあり、精神的な負担が大きかったように思えます。そのため、少しずつ投資方法を変えていきました。
現在は、優待株、米国株、国内のIT関連株の3つのジャンルに分散投資しています。
ー それぞれの割合はどうなっているのでしょうか?
ペンギン:現時点では、優待株3割、米国株3割、国内IT関連株が4割ほどです。
ー それぞれの投資に至ったきっかけと、なぜこれらの3つを選んだのか教えていただけますか?
ペンギン:まず、優待株に投資するきっかけは、家族ができたことが大きかったですね。家族全員で投資を楽しみたいという考えがありました。優待株なら優待品が届くので、家族で楽しめる魅力があります。
加えて、優待株だと株価も比較的安定しているのがポイントです。家庭があるのでハイリスクの投資は避けたいと考えるようになり、優待株をセレクトしました。
2つ目の米国株は、配当性向の高さが魅力です。通常、日本株だと配当性向が3割程度ですが、米国株では6割以上になることがあるため、株主還元の意識が高い点に惹かれました。
最後の国内IT関連株は、私自身がシステムエンジニアであることが理由に挙げられます。さまざまな企業のシステムに関わる機会があるため、その知識がアドバンテージになる点。また、単純に自分が投資して楽しめるという理由からセレクトしています。
ー なるほど。優待株については多様な選択肢があると思うのですが、どのような基準で選んでいますか?
ペンギン:基準としては、優待が廃止されにくい企業であることですね。具体的には、自社製品や自社サービスを優待品として提供している企業が挙げられます。
ほかにも、日用品や食品など、業績が安定しやすい企業も選択肢に入れています。そうした企業は配当も安定的に行われ、優待廃止の確率も低いため投資対象としています。
ー 優待株については、優待はあくまでオプション的なもので、生活を維持するために優待に頼るわけではありませんよね?
ペンギン:そうですね、優待だけで生活することはできません。私は優待株を150銘柄ほど保有しているのですが、3~4日に1回ぐらい優待品が届く感じです。
優待だけで生活するレベルには至っていませんが、ある程度はカバーできている気がしますね。
ー 米国株はどのような基準で選んでいますか?
ペンギン:身近な商品やサービスを提供している企業を選んでいます。たとえばコカ・コーラ、ペプシコ、ウォルト・ディズニー、クラフト・ハインツなどが一例です。これらの知名度の高いグローバル企業に投資しています。
毎年のように配当金を増やしてくれる企業が多く、まず潰れることはないだろうと思っています。米国株は、10~15銘柄に絞って分散投資しています。
ー 優待株と比べると、米国株のほうが1銘柄あたりの金額が大きいのでしょうか?
ペンギン:その通りです。優待株で1番コストパフォーマンスが良いのは100株です。多くの企業が100株以上保有すると優待してくれます。そのため、優待株に関しては約150銘柄を100株ずつ分散投資している状況です。
ー 国内のIT関連株については、どの程度まで詳細な分析や調査をしていますか?
ペンギン:まずはそのサービスを実際に触ってみて、使いやすさなどを評価しています。また、競合他社と比較して強みや特徴がどこにあるのかを見ています。会社四季報などの資料を参考に、過去の業績や推移を調べることもありますね。
ー 企業の資産状況や営業利益の比率といった数値的な指標も見ていますか?
ペンギン:よく見る指標としては、売上高や営業利益です。企業の有利子負債の状況や資産状況、現金保有額、株式保有額などもチェックします。
また、IT企業は複数のサービスを提供していることが多いため、それぞれのサービスの利益率や売上比率なども確認しています。
ー 総合的に見て優良だと思ったところを購入されているんですね。特にどの指標を重視していますか?
ペンギン:1番重視しているのは、PER(株価収益率)です。また、利益の伸び率も重視しています。
投資の失敗を避けるためには、上場直後の人気化している銘柄やネットで話題の銘柄には注意が必要
ー 続いて、投資の失敗談や成功談についてお聞かせください。
ペンギン:失敗談としては、上場してから間もない企業の株を購入し、大きな損失を被ってしまったことがあります。
具体的な例としては、2020年の9月頃に上場したグラフィコという銘柄です。優待を狙って購入したのですが、PERが25倍から30倍ぐらいの割高な時に買ってしまいました。
当時は売り上げも伸びているように見えたので、軽い気持ちで購入しました。ところが、実際には業績の伸びが予想外に悪く、株価は大幅に下落しました。
ー 上場して間もない企業はリスクがあるのですね。
ペンギン:そうですね。上場して間もない頃は、人気が集まりやすいんです。しばらくすると、業績に応じた株価になる傾向がありますが、上場直後は人気のほうが勝ってしまい、株価が実際の業績に対して割高になることが多いんです。
ー その経験を踏まえて改善した点はありますか?
ペンギン:今は、上場して間もなく、人気化している銘柄については少し様子を見ることにしています。たとえ優待がほしくても我慢しますね。
ー 様子を見るとは、具体的にどのようなポイントに注目するのでしょうか?
ペンギン:大体1年ほどの期間を見て、実際に業績が予定通り推移しているかを確認します。また、企業の業績だけでなく、市場の状況や競合他社の動向も考慮して投資判断しています。
ー 株の投資において、初心者が陥りがちな失敗とその対策について教えていただけますか?
ペンギン:よくある失敗例としては、Twitterやネットの掲示板などで盛り上がっている銘柄を、企業の実態や事業内容を理解せず購入してしまうことですね。
ネットで話題になっている銘柄は、すでに十分な期待値が乗っているため、割高です。実態からかけ離れた株価になっていることも多いので、そのような銘柄は避けたほうがよいでしょう。少なくとも、企業の業績や事業内容などはチェックすべきですね。
つい最近だと、アースインフィニティという銘柄がありました。Twitterなどで大きな盛り上がりがあり、「私はこの銘柄をいくらで買った」というツイートがたくさんありました。
初心者は情報に乗せられ購入してしまいがちですが、結果的に2週間ほどで株価は4分の1に大暴落しました。損をした人々のプロフィールを見たところ、初心者が多い様子でしたね。こうした情報には注意が必要です。
知っている企業の株を長期的保有し、配当金や優待品を楽しみながら投資することが良い結果に
ー ペンギンさんの現在のセオリーは、3つの領域それぞれで運用することだと思いますが、これがうまくいっている秘訣について教えていただけますか?
ペンギン:共通しているのは、自分がよく知っている企業を中心に投資しているということです。よく利用するサービスや商品を提供している企業を選んでいるため、保有している株に対して安心感を持っています。
また、頻繁な売買はしません。長期的に保有し、配当金や優待品を楽しみながら投資をしています。結局は、このスタンスが1番良い結果をもたらすと思っています。
ー あまり売らずに保有するとのことですが、どのような時に利益確定し、手放すのでしょうか?
ペンギン:他に魅力的な株が現れた場合や、資金が必要な場合に売却することがあります。また、保有している会社の魅力が薄れた場合や、競合他社の有力なサービスや商品が現れ、魅力が減少した場合にも売却します。
ー 資金投入はどのように決めていますか?
ペンギン:基本的に給料は生活費に回すだけで精一杯なので、そこから投資することはありません。配当金をどんどん膨らませるイメージで投資しています。
ー お気に入りの銘柄はありますか?
ペンギン:たくさんありますが、1つ選ぶとすればアサヒグループホールディングスですね。株主限定のオリジナルビールをもらえるのが大きな魅力です。通常では手に入らない株主専用のビールが毎年届くので、それを楽しみに保有しています。
ー ペンギンさんのブログを拝見すると、トイレットペーパーや日用品など、たくさんの優待品が届いている印象を受けました。優待によって家計が楽になる銘柄などもお気に入り銘柄となっていますか?
ペンギン:そうですね、それはあります。トイレットペーパーやティッシュペーパーに関しては、数ヶ月買っていませんね。日用品や食品はインフレで値上がりしているので、それが株主優待としてもらえるのは非常にありがたいと思っています。妻も喜んでいるので、そこは株主優待の魅力だと感じています。
ー 初心者におすすめしたい銘柄はありますか?
ペンギン:初心者におすすめの銘柄は、KDDIですね。ここは毎年のように増配をしていて、株主還元に積極的です。また、優待内容も非常に魅力的なんです。
KDDIの優待は、さまざまなグルメが掲載された商品カタログから1つ選ぶという形式です。どれもおいしそうな食品が並んでいて、そこから選ぶ時間も楽しめます。選ぶ楽しみとグルメの楽しみで2度楽しめるため、初心者におすすめです。
ー 優待生活を楽しむためには、ちょっと楽しみを増やそうという意識が良さそうですね。
ペンギン:そうですね、そう思います。やはり優待品が届くと嬉しいですね。自分がもらって嬉しいものや、親しみがある企業から商品や配当金をもらうのは楽しいものです。
優待を楽しむためには、自分にとって楽しい要素を増やしていくのが良いのではないでしょうか。
失敗が怖い方には、よく知っている企業に分散投資するのをおすすめしたい
ー 株式投資の魅力について、あらためてお聞かせください。
ペンギン:株式投資の魅力は、企業が儲けた利益を配当金や優待品として株主に分配してくれることです。今は低金利なので、貯金してもほとんど利息を得ることはできません。一方、株式投資なら2%~3%の配当金をもらえる場合があります。
さらに、優待品ももらえます。もちろんリスクも存在しますが、分散投資や自分の知っている企業に投資することで、リスクはある程度抑えられるでしょう。
ー 投資を始めるタイミングについては、どのようにお考えでしょうか?
ペンギン:一般的には、株価が下がっている時に購入するのが理想的ですが、それを待っているといつまでもチャンスが来ないこともあります。
そのため、始めたいときに少しずつ始めてみるのが良いと思います。
ー ありがとうございます。最後に、投資にチャレンジしてみたいものの、失敗が怖いと感じている人へのメッセージをお願いします。
ペンギン:失敗が怖いと感じている方には、まずは自分がよく知っている企業に投資することをおすすめします。また、投資先を分散させることもリスクを抑える上で重要です。
配当金や優待品を受け取ることで、株式投資の楽しさが実感できると思います。そういった目標を持ち、少しずつ投資にチャレンジしてみてください。