WASHハウス株式会社
(画像=WASHハウス株式会社)
児玉康孝 (こだま・やすたか)
WASHハウス株式会社 代表取締役社長
1965年宮崎県宮崎市生まれ。 国士舘大学卒業後、証券会社に就職。大手外食企業勤務を経て、30歳で宮崎帰郷し不動産会社へ転職。2001年11月に株式会社ケーディーエム(現WASHハウス株式会社)を創業。2002年12月からフランチャイズ展開によるセルフランドリー事業を開始、2016年11月に東証マザーズ(現グロース)、福証Q-Boardに上場。
WASHハウス株式会社
金融、FC、不動産業の特徴を組み合わせたビジネスモデルを構築し、2002年にセルフランドリー事業に参入する。
現在では九州・関東・関西を中心に約600店舗を展開。2020年にキャッシュレス決済や広告配信機能を備えた「WASHハウスアプリ」を投入し、広告事業を本格的にスタートさせる。セルフランドリー事業をプラットホーム化し、様々な広告収入を得ることで、将来「洗濯を無料で提供する」ことを目指す。

目次

  1. これまでの変遷について
  2. 社長の一番感銘を受けた書籍とその理由
  3. 読んだ書籍をどう仕事に生かしてきたのか
  4. 社長が経営において重要としている考え方
  5. 思い描いている未来構想

これまでの変遷について

私たちの会社は「プラットホームとしてのセルフランドリー事業」を展開しています。一般的にセルフランドリーといえば、洗濯場所を提供するだけというイメージが強いです。誰でも始められる仕事だと思われることが多く、私自身もそのように考えておりました。しかし、業界の仕組みを変える事業ができたら面白いと考え、セルフランドリー事業を始めることにしました。

セルフランドリーでは洗濯物を入れた瞬間から最低でも30分の待ち時間が発生します。私たちはこの部分に着目しました。第一号店から、店舗内にタッチパネルを設置し、近隣の中古車情報やアパート・マンション情報などを表示しました。洗濯中や待ち時間に、そのような情報を提供することで、別の収益源を生み出すことができると考えたのです。

洗濯に関しては、どの洗濯機を使っても大きな変化はありません。私たちが創業した20年前と現在、どちらの洗濯物が白いかと言えば、両方とも同じです。セルフランドリー事業は品質の面で差をつけることは難しく、価格競争が最も重要になります。そこで私たちは、無料で洗濯を提供できる仕組みを作り上げてきました。

洗濯を無料で提供する仕組みは、「WASHハウスアプリ」利用で2021年に実現しました。現在は4回目の実験まで進んでいます。また、期間限定ではありますが、宮崎牛を500名、ウナギを100名に無料で配る、などのイベントも実施し、2024年1月に入り56万ダウンロードを超え無料に無料を重ねていくことで、価値を創出する戦略を取り入れていきます。

社長の一番感銘を受けた書籍とその理由

私が一番感銘を受けた書籍は孫子の兵法です。この本は、時代が変わる度に訳書が出版されています。時代ごとに捉え方が変わっていることが面白く、事あるごとに様々な翻訳本を購入しています。

「戦わずして勝つ」という言葉が最も印象に残っています。これは、十分な準備をして絶対勝てる戦いをしろという意味です。私たちの事業でも、洗濯を無料で提供できれば、当社以外誰も勝つことができないと考えています。

また、孫子の兵法を現在行っている事業が正しいのかどうか判断する際の一つの指標としています。新しい取り組みを始める際にも、改めて孫子の兵法を読み返すことがあります。時代によっては同じ言葉でも違う解釈があるため、事業において新たな発見に繋がるのです。

読んだ書籍をどう仕事に生かしてきたのか

マーケット戦略において役立っています。書籍の中で、「奇を衒う」ような変化が重要だと書かれています。これは単調な攻めにならず、変化をつけることが重要だという意味です。今回の無料サービスを前面に打ち出す戦略も、まさに奇を衒ったような方法です。

創業時から洗濯を無料にすると伝えてきましたが、最初は誰も信じていませんでした。セルフランドリー事業は価格競争になると考え、無料にすることを目指していました。現在では少しずつ体制を整えることができており、奇を衒ったような戦略を展開することができていると考えています。

社長が経営において重要としている考え方

私は譲れない部分をはっきりさせることを大事にしています。

出店において、FC店舗もすべて自社管理することを、一切妥協をせずに展開してきました。目先の出店を重視すると、機械だけ収めれば良いとなりがちです。しかし、私たちには洗濯を無料で提供するという隠れたテーマがあります。これを実現するためには本部でマーケティングも含めてすべてを行わなければなりません。全店舗を自社管理することを妥協せずに進めてきたことで、期間限定ではありますが「無料営業」を実施できていると実感しています。

思い描いている未来構想

今後も洗濯を無料でできるサービスを拡大していきたいと考えています。

マイクロソフトの出現によって結果的に情報が無料化されたように、洗濯業界でも同様のことが起こせると考えています。無料で洗濯し、無料で宮崎牛やビール、うなぎが提供できるサービスを展開し、無料の輪を広げていくことを目指しています。

孫子の兵法にも「優れていない振りをしよう」という教えがあります。当たり前のことをやっているように見せかけつつ、その裏には膨大な戦略があるということです。私たちもこの教えに従い、今後の事業を進めていきます。

氏名
児玉康孝 (こだま・やすたか)
会社名
WASHハウス株式会社
役職
代表取締役社長