平成5年3月 私立土浦日本大学付属高校卒業
平成5年4月 株式会社安中産業(カイエーテクノグループ)入社
平成8年3月 株式会社安中産業(カイエーテクノグループ)退職
平成8年4月 株式会社カイエーテクノ(本社営業部配属)入社
平成10年3月 株式会社カイエーテクノ退職
平成10年4月 小河原セメント工業株式会社入社
平成13年7月 小河原セメント工業株式会社 取締役就任
平成19年9月 小河原セメント工業株式会社代表取締役就任
創業からこれまでの事業変遷と貴社の強み - 祖業と現在の事業内容
—— 事業変遷をお聞かせください。
小河原セメント工業株式会社 代表者代表取締役・小河原 隆次氏(以下、社名・氏名略) 当社は昭和17年に私の祖父が創業し、当初は個人事業としてセメントの製造を行っていました。その後、昭和28年に法人化し、現在の小河原セメント工業株式会社として新たにスタートしました。昭和37年頃からは、コンクリート二次製品、例えばU字溝やコンクリートブロックなどの製造を手がけ、現在の事業形態に至っています。
—— 御社の強みについて教えてください。
小河原 コンクリートは型枠によってさまざまな形状に対応できますが、型枠自体は高価です。当社では、お客様のニーズに合わせた多様な形状のコンクリート二次製品を提供するために、工夫を重ねています。この柔軟な対応力が、当社の大きな強みです。
—— 別事業への挑戦については、どのようにお考えですか?
小河原 基本的にはコンクリート二次製品を中心に事業を展開してきましたが、会社としての副業でアパート賃貸業や電力事業も行っています。具体的には、アパートの屋根を利用して太陽光発電を行い、東日本大震災を契機に売電事業を始めました。
承継の経緯と当時の心意気
—— 承継の経緯とその時の心意気をお聞かせください。
小河原 私は小河原セメント工業株式会社の4代目にあたります。創業者は祖父で、その後父が引き継ぎました。ただ、私と父の間には一時的にいとこが代表を務めた時期があり、実際には「3.5代目」といった感じです。
——後継ぎ社長としての苦労についてお伺いしたいのですが、特にどのような点で困難がありましたか?
小河原 高校を卒業してから5年間、他の同業者の会社で経験を積んでいました。その後、戻ってきた際に感じたのは、周囲からの期待やプレッシャーです。特に、父の時代の社風やコンプライアンスに関する問題を改善することが大変でした。上の世代はコンプライアンスへの意識が低かったため、その改革には時間がかかりましたね。
—— コンプライアンスの改善は、具体的にどのように取り組んだのですか?
小河原 まずは社内の意識改革から始めました。社員全員がコンプライアンスを理解し、実践できるように教育を進めました。時間はかかりましたが、徐々に改善が進み、今では大きく変わってきています。父の時代から続いていた古い慣習を変えるのは簡単ではありませんでしたが、今では新しい風を取り入れることができました。
今後の新規事業や既存事業の拡大プラン
—— 新規事業や既存事業の拡大プランについて教えていただけますか?
小河原 新規事業というよりも、新製品について考えています。コンクリートはさまざまな形状に対応できるため、時代に合ったインフラを作ることが重要です。現時点では製品化は未定ですが、民間向けの核シェルターを検討しています。
日本では防災への備えが韓国ほど進んでいないものの、徐々に関心が高まっていると感じています。韓国では地下鉄が核シェルターとしても機能していると聞きましたが、日本でも最近、都内に大きなシェルターが建設されました。普段は趣味の部屋として使い、緊急時にはシェルターとして機能するような製品が求められるのではないかと思います。
既存事業としては、カーボンニュートラルに向けた取り組みが重要です。セメント業界はCO2排出の大きな要因とされていますが、当社ではセメントの使用量を減らしたコンクリートの開発に取り組んでいます。これには、以前は廃棄物とされていたコールドスラグを代替材料として活用しています。
また、国土交通省のプロジェクトでは、従来のコンクリートに対するセメント使用量を55%削減する取り組みが進められていますが、薬剤メーカーのフローリックさんとの協力により、70%削減できる見通しが立っています。
このプロジェクトが実用化されれば、コンクリート業界において大きな技術革新となるでしょう。
メディアユーザーへ一言
—— 経営者の方々に向けて、メッセージをお願いいたします。
小河原 1つ目ですが、現役の社長には、60歳を過ぎたら引退を考えていただきたいと思います。次の世代にバトンを渡すことが、会社の未来を見据える上で重要だと感じています。私自身、30代半ばで社長に就任し、そのおかげで多くの経験を積むことができました。周りを見ると、60歳近くになってやっと代表に就任する方も多いですが、それでは社長としての役割を全うするのは難しいのではないかと思います。
次に、現在社長を務めている方々には、幅広い経験を積んでいただきたいと考えています。営業畑や製造畑だけを経験している方も少なくありませんが、経験が偏ると経営に悪影響を及ぼすことがあります。私自身、営業や製造、技術、さらには経理まで経験しました。特に経理は避けたかった分野でしたが、実際に取り組んでみて本当に良かったと感じています。損益計算書や貸借対照表を理解できることは、経営者として非常に重要です。製造メーカーであれば、製造、営業、技術、経理といった様々な分野を経験することが、優れた経営者になるための鍵だと思います。私自身もまだ成長の途中ですが、良い経営者を目指してこれからも努力していきたいと考えています。
- 氏名
- 小河原 隆次
- 会社名
- 小河原セメント工業株式会社
- 役職
- 代表取締役