30代で株式投資を本格的にスタート。『はっしゃん式理論株価』を開発し、独自の手法により50歳になった2019年に株式資産3億円を突破、現在4億円の運用実績となっている。。基本は成長株投資への長期集中投資。1度投資したらあとは「ほったからかし」投資の極意をうかがった。

はっしゃん
はっしゃん
30代で株式投資を本格的に開始。
月次情報による分析をいち早く取り入れ、また「はっしゃん式理論株価」を開発するなど、独自の手法により50歳となった2019年に株式資産が3億円を突破する。ブログやツイッターでの情報発信も積極的に行ない、著書に『普通の会社員でも10万円から始められる! はっしゃん式 成長株集中投資で3億円』(総合法令出版)などがある。
Twitter:@trader_hashang
ブログ:株ブログ はっしゃんのスロートレード  

投資仲間と株価チャートアプリを自ら開発。発信をスタート

はっしゃん
(画像=PIXTA)

――まずは、はっしゃんさんが、投資を始めたきっかけを教えてください。

初めて投資をしたのは25年ほど前です。私はITエンジニアなのですが、ちょうどその当時、手数料が自由化されたり、ネット証券が登場したりと、株投資がITエンジニアにとって身近なものになってきていたんです。きっかけは従業員持株会だったのですが、その後 “自分でもちょっと買ってみようかな”という軽い気持ちで、100万円ぐらいから始めました。

今から考えればありえないほど初心者的な考えで、決算書も読んでいなかったのですが、株価チャートだけ見て旭光学工業と横浜銀行を買いました。すると、旭光学が1年ぐらいで1.5倍から2倍になったんです。完全にビギナーズラックなのですが、それに味を占めて、株投資にハマっていった次第です。

――それからずっと株式投資を25年間されて今に至っていると思うのですが、現在のような情報発信を始められたのはいつ頃からですか?

投資仲間と株価チャートのアプリを作成して、リリースしたことが発端です。会社に株式投資をしている人がたくさんいたので、そうした仲間と自然とアプリを作ってみようという話になりました。せっかく公開したのだから、メールマガジンを出して発信しようとう流れになり、2001年6月から“はっしゃん”というハンドルネームでメルマガに出すようになりました。

月次情報を参考に銘柄をチョイス。長期投資にシフト

はっしゃん
(画像=PIXTA)

――ところで、現在のはっしゃんさんというと成長株(グロース)投資というのが投資スタンスとお見受けしますが、こうしたスタンスは、最初から確立していたのでしょうか?

いえ、現在の投資スタンスに至るまでには紆余曲折がありました。それこそ、初期の頃はデイトレードに近いような形のスタイルだったのですが、株で全然勝てなくなってしまい、2000年ぐらいからは投資スタンスを長期投資に変えました。また、その頃から、株価チャートだけでなく業績を見るようになったのですが、それが大きかったですね。

――業績を見るようになったのにも何かきっかけがあったのですか?

9.11(アメリカ同時多発テロ)の影響で旅行者が激減し、旅行業界が非常にまずいというニュースを見て、興味本位でHISのホームページを見に行き、『月次情報』というレポートを見付けたのです。その中で、毎月の業績が公開されているのを見て、こんな便利なものがあるんだと感動しました。そこから、月次情報を基に買うという投資を始めて、長期投資にシフトしました。」

――長期投資にシフトした後は、どのような銘柄を狙っていったのでしょうか?

当時はITバブルによってIT企業の株価が猛烈に上がっている時期だったのですが、私はエンジニア業界の人間なので、市場の期待が高すぎて実態と乖離しているということが分かっていました。そこで逆に目を付けたのがオールドエコノミーの企業です。

なかでも、月次決算が優秀だったトップカルチャーという会社を買いました、蔦屋書店を展開している会社ですね。その後トップカルチャーの株価は3倍から5倍ぐらいになり、その結果、運用残高1億円を達成することができました。

――それはすごい!でも、1億円ということは、かなりの集中投資ということになりますよね?

はい。トップカルチャーは10万株ぐらい一点買いし、2005~6年ぐらいまで投資を続けました。そもそも、私の投資は集中投資と長期投資の組み合わせが基本なんです。主力を1つか2つぐらいの企業に絞って、それに5~10年長期投資するので、今まで大きく投資した銘柄も5つぐらいしかないんですよ。でも、集中投資している分、5倍を3回とったら、5×5×5倍になるというわけです。

ROEに比例する理論PERを発見。独自の「理論株価」を開発

はっしゃん
(画像=PIXTA)

――はっしゃんさんといえば、独自の理論株価で有名ですが、これはどのような経緯で作られたものなのでしょうか?

私自身、元々はPER(株価収益率)を使っていたのですが、PERの推移について研究していたところ、PERがROE(自己資本利益率)に連動しているということが見えてきたんです。そこから、ROEに比例する理論PERを求めるというアイデアが生まれました。

しかし、PER何倍という形では少々分かりにくい。そこで、“このぐらいの業績なら未来の株価は何円ですよ”というのを分かりやすく示すために作ったのが、理論株価です。理論株価ウェブというサイトがあるのですけれども、2007年からこちらの方で理論株価の配信を続けています。

――実際に自分自身の投資でも理論株価は使われていらっしゃるのでしょうか?

もちろん。全ての株価は長期的に見れば理論株価に収束するということは、統計的にも分かっていることなので、それを前提に投資をしています。ただし、理論株価はあくまで将来を見通すための単なる指標の一つに過ぎません。未来の業績自体を予想するものではない点は理解しておく必要がありますね。

――一般の投資家が理論株価を使って投資をする際の注意点などはありますか?

利大損小を徹底することです。負けている投資家はほぼ100%損小利大なんです。損した銘柄をいつまでも持ち続けてしまう。勝てる投資家って含み損のある銘柄なんてほとんど持ちません。私も1円損した時点で売ってしまいます。

――少しでも損が出たら、すぐに売却するべきなんですね。

その通りです。一方で、含み益のある銘柄を簡単には売らないことも大切です。理論株価を根拠に株価の右肩上がりが続いている銘柄は、少なくとも3年間は売らないで持ち続けてください。3年間保有すると、真っ当な成長企業であれば、株価が2倍になりますから。とにかく3年というのが一つのタイミングです。3年で2倍になれば、次は6年で4倍、その次は9年で8倍を狙っていきます。最終的な目標は10年で10倍ですね。

――はっしゃんさんは、これを実現してきているわけですから本当にすごいですね。

たしかに時間がかかるので、誰でも実現できるわけではないと思うのですが、実際にはそんなに難しいことをしているわけでもないんです。1年で10倍になる株を掴むのはとても困難ですが、10年で10倍になる株なら実はたくさんあるんですね。だから長期に目を向けることです。

理論株価をもとに、成長性の高い銘柄をチョイスしたら、あとは決算を確認しながら基本的にほったらかしでOK。成長倒れになったら売りますが。私なんて証券会社にログインさえしていないですからね。

――25年間で運用実績を100万円から4億円にしたはっしゃんさんですが、これから投資に興味あるって言う人達に何か一言アドバイスがあればお願いします。

株式投資をすることは、社会的に非常に意義があることです。そこの意識が抜けて、自分が利得を得たいというだけになってしまうと、全くもって本質とは異なる方向へ行ってしまいます。私はそれをダークサイドに落ちると形容しますが、そうではなしに、自分自身を成長させて社会と一緒に前に進むためにしているっていうことを忘れないでほしいですね。

決算書「3分速読」からの”10倍株”の探し方
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著者はサラリーマンをしながら、成長株で3億円超の資産を築いた「はっしゃん」氏。 決算書から未来の企業価値を読み、上がり続ける株に長期投資する決算書投資の達人です。株価を常にチェックする必要はなく、買ったり売ったりは最小限でかまいません。

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