200万円の元手を一時10億円に乗せ、ハンドルネームの通り資産を大膨張させることに成功したDAIBOUCHOUさん。株を始めてからわずか4年で2億4000万円まで増やし、そこから約2週間で1億5000万円のマイナスとなったり、リーマンショックの余波で一時は株式投資を休止するも、再び不死鳥のごとく億トレとして復帰したりするなど、山あり谷ありの投資人生を送っている。
ここではそんなDAIBOUCHOUさんの投資遍歴や投資手法、最近の状況などを聞いていく。
Twitter:@DAIBOUCHO
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大ダメージを受けてもすぐ再浮上
――すでにご存知のかたも多いと思いますが、まずはDAIBOUCHOUさんが株式投資を始められたきっかけについてお話いただけますか。
もともとはプリクラの内部にあるコンピューターなどの営業をしていたのですが、当時から金融商品には興味を持っていて、投資信託を買ったり外貨預金をしたりしていました。ただ、ほとんど儲からなかったので今度は株をやってみようと思い、2000年から株式投資を始めたんです。始めた当初は、「給与以外のちょっとした収入になればいい」などと考えていましたね。
最初は名証2部上場のトヨタカローラ岐阜(2005年に上場廃止)など、低PBR(株価純資産倍率)の資産バリュー株を買っていました。資産バリュー株は、保有資産に注目が集まっている時は株価上昇が見込めるのですが、それ以外の時は株価がほとんど動きません。値動きの小ささに我慢できなくなり、次第に成長株、収益面で株価が割安と思われる銘柄への投資にシフトしていきました。
――それで、DAIBOUCHOUさんの最初の転機となる新興不動産株への投資を始めるわけですね。
アーネストワンやフージャースといった新興不動産会社の成長力に着目したんです。2003年からは資金効率を高めるために信用取引を始めたのですが、新興不動産株の株価が急上昇し、信用取引の効果もあって資金が一気に増えました。2004年5月には2億4000万円程度まで増えたのですが、同じ月に株式相場が暴落し、2週間で9000万円程度まで急減してしまい・・・やはり精神的にかなりきつかったですね。
――DAIBOUCHOUさんのすごいところは、大ダメージを受けたにも関わらず投資を継続されたことだと思います。
その時は自分の判断を疑い抜いた末、やはり買っていた銘柄は信用に値するので、いずれは株価も戻るだろうと思ったんです。この頃、仕事を辞めて投資に専念することにしたのですが、その甲斐があってか不動産流動化関連株への集中投資が成功し、さらに資産を大きく増やすことができました。
ただ、リーマンショックが起きた2008年、日本経済の低迷によって株価が下がると思ったので、日本株の投資は一旦休止しようかなと。リーマンショックではディフェンシブ株だろうと債券だろうと、ほぼ全ての金融商品が軒並み暴落したので、「長期的な資産形成には、こうした異常なケースにも対応できるポートフォリオの安定性が必要」という教訓を得ましたね。
――ここまでの投資スタイルの変遷をまとめると、資産バリュー→収益バリュー→不動産関連株(信用取引による集中投資)といった感じでしょうか。そこから約3年後、日本株への投資を再開されたわけですね。
そうですね。リーマンショックの前から中国株やベトナム株のファンドを買っていたのですが、そのファンドが償還されて投資資金ができたんです。そのままインデックスファンドに投資しても良かったのですが、インデックスファンドには自分がよく理解できなかったり、株価が割高だったり、業績が芳しくない銘柄も混ざっています。そのため、自分で運用すればインデックスファンドよりはいいパフォーマンスが得られると思い、株式投資を再開しました。
それ以降は、バリュー株や高配当株、成長株などに幅広く分散投資していますね。相場全体が下がって損をするのはある程度仕方がないにしても、個別の材料で資産全体が壊滅的になるようなことは、できるだけ避けるよう心がけています。
EPS重視の分散投資で保有銘柄は300以上!
――もう少し具体的に、分散投資の対象について聞かせて頂けますか。
成長株投資では「売上高の伸び」を大事にする投資家もいますが、私はEPS(1株当たり利益)の伸びを重視しています。売上高の伸びがイマイチでも、収益性の高い事業を抱えていたり、シェア拡大によって利益率が改善している企業も投資対象になりますね。EPSの伸びは増配につながますし、増配は株価の安定上昇に寄与します。
また、私がいう「高配当株」は単純に配当利回りが高いということではなく、連続増配など着実に配当が増えている銘柄のことです。全体相場が低迷している時なら、いい銘柄でも高配当のケースはありますが、相場が上昇しているのに株価が上がらず高配当のままということは、その銘柄がなんらかの問題を抱えている証拠でしょう。
――米国市場の「連続増配株」みたいなイメージですね。ほかにも銘柄の選び方などあれば教えてください。
業績が低迷している企業の将来的な改善を狙うやり方も好きですね。業績が悪化したり、なんらかの個別材料で株価が急落した後、売る人がいなくなって底値で揉み合っている銘柄はチェックします。2015年から2016年頃の神戸物産やアバントがそうでした。いまでは2社とも立派な成長企業ですが、アバントは大規模プロジェクトの後ずれなどによって一時的に業績が落ち込み、株価も低迷していました。
企業自体の実力というよりも、何らかのアクシデントによって業績が悪化したタイミングは狙い目ですね。最近では、「シックスパッド」や美容ローラーなどを手掛けるMTGに注目しています。不適切会計などによって一時は業績が大きく落ち込みましたが、巣ごもり需要によって業績が回復しつつあります。
企業に成長力がないと株価が割安なまま放置される可能性がありますが、「本来は成長力がある企業なのに業績が“一時的に”悪化している」だけならチャンスだと思います。ほかに、多くの投資家がやっているように好業績銘柄を追いかけたりもしますね。同業他社でいい銘柄がないか、株情報サイトの「株探」で保有銘柄にタグ付けされている銘柄をチェックしたり、単純なスクリーニングもしたりしますよ。
――それだけいろいろな銘柄発掘をやっていると、保有銘柄の数がすごいことになりそうですね。
そうですね。現在の保有銘柄は300を少し超えています。といっても、1単位しか持っていない銘柄も含めてです。100万円以上を投資している銘柄だと150銘柄程度でしょうか。基本的に、株価が下がっても安心して持ち続けていられる根拠のある銘柄を選ぶようにしていますし、やたらと手を出しているわけではありません。毎日全銘柄の詳細をチェックしてるわけではありませんが、楽天証券のリアルタイムスプレッドシート(RSS)を使って株価の動きや損益などを管理しています。ただ、このRSSは300銘柄が上限なので、少し困っています(笑)
株式投資は知識と経験の積み上げが大事
――コロナショック以降の調子はいかがですか。
2020年は、配当込みで17~18%程度のプラスで終えました。そういう意味では、コロナショック後のリバウンドをある程度は取れたと思いますが、同じ期間に資産をそれ以上に増やした投資家もたくさんいるので・・・。コロナショックではポートフォリオ全体で3割程度もマイナスになりましたが、ボトムから見れば90%くらいはプラスになっているので、それなりにリバウンドは取れたのではないかと思います。
コロナショック後、3月24日に日経平均株価が日足チャート上で大陽線を描いたので、潮目が変わったかなと。以降、少しずつキャッシュを減らして株式に投資していきました。2021年は6月の時点でだいたい年初来9%くらいのプラスになっています。
――DAIBOUCHOUさんというと、「全力の信用取引で一極集中」というイメージがいまだに抜けないのですが、現在も信用取引は使われていますか?
不動産流動化関連株に投資していた時は信用取引をフル活用していたので大きく資産を増やせたわけですが、それだとやはり失敗した時のリスクが大き過ぎます。短期間で億を超えるような資産を築くには、どこかで大勝負に出る必要があるのは確かですが、オススメはしませんね。
現在は、新しい銘柄を購入する時は信用取引で買い、安定して持ち続けることができると感じた銘柄を現引き(信用買いのポジションを反対売買で決済せず、現物株として引き取ること)するようにしています。資産全体の比率でいうと、信用取引のポジションは5、6%程度です。
――お使いの証券会社はどこですか?
貸株サービス(保有株を証券会社に貸し出して金利を受け取れるサービス)で信用取引の金利を相殺できるGMOクリック証券や、SBI証券、auカブドットコム証券、マネックス証券のネット証券大手どころには口座を持っています。
アナリストレポートを読むために野村證券や大和証券、SMBC日興証券にも口座を開いていますね。GMOクリック証券は、株主優待で取引手数料のキャッシュバックをしているので結構使っています。
――最後に、株式投資の初心者にメッセージをお願いします。
株式投資は年数をかければ資産を増やせる金融商品なので、まずは「資産を減らさないこと」を強く意識してもらいたいですね。そういう意味ではインデックス投資でもOKなのですが、個人投資家は決算書などの数字をきちんとチェックせず、将来の収益が読めないバイオ銘柄や次世代技術銘柄に手を出しがちです。もちろん、それが本当にすごい技術で、将来的に業績が急拡大するかもしれません。
ただ、それはその技術に精通した人でないとわかりません。だから、そうした銘柄の取引はかなり難易度が高いと思うんです。それなら、他にいい銘柄がいくらでもある。「株ってそういうものでしょ?」と言われるとそれまでなのですが、そうした銘柄を売買するのであれば、少なくとも自分が難易度が高い取引をしていることを認識すべきです。
株式投資には「これが絶対」という正解はありません。利食いや損切りをこまめに繰り返す手法が合っている人もいれば、ずっと持ち続けるのが合っている人もいます。勝ちパターンは人それぞれなので、その勝ちパターンを見つけるためにも、知識や経験を積み上げていくことが大事。決算説明資料によく目を通し、知識を積み上げていけば、新たな銘柄を見つけたときに、より適切な分析や判断ができるようになると思います。