特集「令和IPO企業トップに聞く ~ 経済激変時代における上場ストーリーと事業戦略」では、IPOで上場した各社のトップにインタビューを実施。コロナ禍を迎えた激動の時代に上場を果たした企業のこれまでの経緯と今後の戦略や課題について各社の取り組みを紹介する。

株式会社ヌーラボ
(画像=株式会社ヌーラボ)
橋本 正徳(はしもと まさのり)――株式会社ヌーラボ代表取締役
1976年福岡県生まれ。福岡県立早良高等学校を卒業後上京し、飲食業に携わる。劇団主催や、クラブミュージックのライブ演奏なども経験。1998年、福岡に戻り、父親の家業である建築業に携わる。2001年、プログラマーに転身。2004年、福岡にて株式会社ヌーラボを設立し、代表取締役に就任。現在「”このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。」ために、Backlog、Cacoo、Typetalk、Nulab Passを開発・運営中。また、福岡本社のほか東京、京都、シンガポール、ニューヨーク、アムステルダムに拠点を持ち、世界展開に向けてコツコツ積み上げ中。
株式会社ヌーラボ
株式会社ヌーラボは、『“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。』のブランドメッセージのもと、プロジェクト管理・タスク管理ツール「Backlog」、オンライン作図ツール「Cacoo」、ビジネスチャットツール「Typetalk」、組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高める「Nulab Pass」を提供しています。

目次

  1. 創業から上場までの道のり:新しい挑戦を続けるヌーラボ
  2. 金融/経済市場とヌーラボの課題
  3. ZUU onlineのユーザーに向けての一言

創業から上場までの道のり:新しい挑戦を続けるヌーラボ

株式会社ヌーラボ
(画像=株式会社ヌーラボ)

ーそれではまず、創業から上場までの変遷について教えてください。

株式会社ヌーラボ 代表取締役社長・橋本 正徳氏(以下、社名・氏名略): 当社は2004年に創業し、エンジニアとして他社に常駐するSES(システムエンジニアリングサービス)事業を開始しました。その後、プロジェクト管理ツール「Backlog」のベータ版を、2006年には「Backlog」の商用版としてリリースしました。その後、2009年には、作図ツール「Cacoo」を、2020年には組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高める「Nulab Pass」など、新たなツールもリリースしました。チームのコラボレーションを促進して、仕事が楽しくなるようなツールを中心に開発及び販売することで、事業拡大を図り、2022年6月に上場を果たしました。

ー近年、多くのSaaS系企業が上場をされていると思いますが、他社との優位性についてどのように考えられていますか??

橋本: お客様からよく言われますが、シンプルで使いやすい点だと思います。プロジェクトの立ち上げを簡単に誰でも行うことが可能で、エンジニアだけでなく総務スタッフなどでも使えるほどで、職種問わず全社的に導入いただく事例も増えています。
また、自社ツールを通じてユーザーが質問や経験談、プロジェクトにおける知識・知見を共有する場として「JBUG(Japan Backlog User Group)」というユーザー主体のコミュニティもあります。ユーザー同士のコミュニケーション機会を増やし、私たちもサービスへのフィードバックを直接いただく等、関わりを持つことができています。全国15エリアでイベントが開催され、2,500人以上が参加しています。

ー次に、上場に至った背景や思いについてお聞かせいただけますか?

橋本: 私たちが成長を続けていくためには、資金調達が必要不可欠であると感じ、2016年頃に上場を検討し始めました。また、会社として長く存続するためには、ガバナンス体制など適切な経営体制を整えることが重要だと考えていたことも要因の一つです。 私たちが長く、正しく成長するための手段を確保するために、上場を目指しました。

ー今後の未来構想について詳しくお聞かせいただけますか?

橋本: 今後の未来構想は、弊社のミッションである「創造を易しく 楽しくする」を達成するために、これからもそのミッションに即したツールの開発・提供をしていきたいと考えています。そのためには、エンジニア採用やマーケティングへの投資がより一層重要になってくると思っています。加えて、サービスを提供する企業として、私たちの製品をお客様のニーズに即してアップデートできるかどうかが非常に大事だと感じています。

さらに、中長期的には私たちの製品をグローバルに展開し、世界中で弊社のミッションを実現したいと考えています。日本国内でも少しずつグローバル化が進み、外国人労働者も増えていくと考えられるので、グローバル化に合わせたツールセットを用意し、海外への展開を目指していきます。このように、弊社は「創造することを易しく 楽しく」を達成すべく、ミッションを念頭に置いた永続的な製品の改善と海外展開の2軸を中心に成長を続けていきます。

金融/経済市場とヌーラボの課題

ーこの金融/経済市場においての、貴社または代表ご自身のファイナンスにおける課題や重点テーマについて教えてください。

橋本: 以前、SaaS業界は、過大評価を受けており、評価に対して実態が伴っていない状態であったと思います。しかし、現在は徐々に様々なSaaSツールの普及が進んでおり、評価と実態が追いついてきており、今後、SaaS業界全体はさらに伸びていくと予想しています。 その中で、私たちが直面している課題は、常に良いアイデアを生み出すことが求められることです。これは、私たちがお客様のニーズに応え、ペインポイントを解決できるようなサービスや技術を開発していくために必要なことでもあります。

ZUU onlineのユーザーに向けての一言

ー最後に、ZUU onlineのユーザーに向けて一言お願いします。

橋本: 最近話題になっている生成AIをはじめとした最先端技術の影響で、おそらくSaaS業界も変化していくと予想されるため、私たちもその変化に追随していきたいと考えています。例えば、AIを活用し、より効率的なプロジェクト・タスク管理や調整ができるようにしていく所存です。

これまでも、私たちは創業から上場、そして現在に至るまで、常に新しい技術や市場の変化に対応しながら、自社のサービスを進化させ続けています。 今後も「創造することを易しく 楽しく」というミッションに向かって、数多のサービスが乱立するSaaS業界の中、革新的な成長を続けていきますので、これからの弊社の挑戦を注視していただきたいと思います。

氏名
橋本 正徳(はしもと まさのり)
社名
株式会社ヌーラボ
役職
代表取締役