政府からの「リスキリング支援1兆円投資」や「人的資本開示の義務化」の発表があり、企業というものの“人財”や“社員”への向き合い方が問われている。そんな中、“働くもの”に愛され、社員の力で成長し続ける企業に、その取り組みや今後の展望を伺った。今回は、野村不動産ホールディングス株式会社に話を伺った。

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(画像=野村不動産ホールディングス株式会社)
宇佐美 直子 (うさみ なおこ)
野村不動産ホールディングス株式会社ダイバーシティ&インクルージョン推進担当、兼グループ人材開発部長
1993年に野村不動産へ入社し、分譲マンションの販売、PMOなどを含むビルディング営業に従事 2013年よりビルディング営業二部長に就任(同社初の女性部長)し、その後は 野村不動産ホールディングス 広報IR部長、都市創造事業本部にて商業・ホテル事業での役職を経て 2022年より現職(野村不動産ホールディングス グループダイバーシティ&インクルージョン推進担当、兼グループ人材開発部長) グループ横断でのウェルネス経営の推進、多様な社員の活躍を見据えた人材育成とD&Iを推進している
野村不動産ホールディングス株式会社 野村不動産グループは、国内および海外において、住宅事業、都市開発事業、資産運用事業、仲介・CRE事業、運営管理事業などを展開する不動産デベロッパーです。 持ち株会社である野村不動産ホールディングス傘下の20社を超えるグループ会社が、不動産のデベロップメント分野からサービス・マネジメント分野まで幅広い事業を通じて、 住まい、働き、集い、憩う人々それぞれの暮らしに対する「個に寄り添う姿勢」を大切にしながら、持続的な価値創造を行っています。

人的資本経営に対する方針とこれまでの取り組み

当社は人的資本に関する施策として、経済産業省が出している「人的資本可視化指針」を参考にし、特に重要だと考えられる9つのカテゴリーに取り組んでいます。 それは、リーダーシップ、適所適材、育成、エンゲージメント、採用、流動性、サクセッション、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)、ウェルビーイングの9つです。

その中でもウェルネス経営とD&Iについては、ここ数年間で取り組みを進めてきました。 2018年にはウェルネス経営を推進する方針を明確にし、社員のウェルネスをベースに、働き方改革とD&Iの推進を通じた、社員の幸せと企業成長の実現を目指しています。ただし、一足飛びにすべてを実現することは難しいため、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進など、従来から取り組んできたことも継続して実施しながら、心身ともに健康で活き活きと社員が働けるような取り組みを進めています。

その後、2022年からは野村不動産グループとして、D&Iの推進方針を策定し、すべての社員が個性と能力を最大限に発揮することで、新たな価値を創造していくことを目指しています。2025年には本社移転を予定しており、多様な社員同士が積極的につながりの質を高め、協同し合える環境を実現することでよりD&Iを体現できると考えています。

さらに、社員の働きやすさに寄与する制度も整えてきました。具体例としてジェンダー領域では、パートナーシップ制度(同性・事実婚)の導入、エフ休暇の導入等があります。当社グループでは、女性のマネジメント職層比率(当社では課長代理から部長までを含めた数字)を2030年までに20%に引き上げるという目標を掲げています。この目標を実現するために、女性マネジメント職層の座談会や女性部長を対象とした勉強会なども定期的に開催しています。また女性特有の健康課題に配慮した職場環境の整備や適切なマネジメントの促進に向け、「女性の健康」をテーマにしたセミナーを開催しており、理解を深めてもらうために役員の方々にも参加してもらっています。

今後も引き続き、社員のダイバーシティや女性活躍を推進していく所存です。

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野村不動産の育休推進活動

当社グループでは、2030年に向けたD&I推進のロードマップを定めており、2024年3月期末までのキーゴールの一つとして、「男女育児休業取得率100%」を目指しています。これは育児休業を取る事がゴールではなく、育児休業の取得を通じ、図にあるようにボウリングの2番ピン、3番ピン以降に挙げている「職場の協力体制構築」「性別役割分担意識の変化」「他者理解の文化醸成」等、社員が働く環境に対してより良い変化と波及効果をもたらすことを目的としています。 互いの違いを尊重し合える組織風土が醸成されることで、育児に限らず介護や傷病等、突発的なお休みが生じた際にも協力し合い、柔軟な働き方を実現出来る組織への変化に繋がると考えています。

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(画像=ダイバーシティ&インクルージョン|社会|サステナビリティ|野村不動産グループ (nomura-re-hd.co.jp))

具体的な育児休業取得の推進活動としては、育児休業取得時と復帰時に面談を実施しています。面談は2013年から始めており、産育休に入る際には対象者へ「おめでとう面談」を行っています。この面談では部長と人事担当者が同席して、円滑な産育休の取得に向けて業務調整や体調を含め産育休に入るまでや、復職のことなど必要な配慮について話し合いをする場としています。

これまで育児休業を取ってもいいのかと不安に感じていた社員がいたかもしれませんが、面談の実施を通じて、現在では男性の育児休業取得者も増えており、取得者本人も上司を含めた周囲のメンバーも育児休業の取得を自然に受け入れる風土ができてきています。

今後もこのような取り組みを通じて育児休業取得率100%を目指していきます。

野村不動産のエンゲージメントと研修制度について

現在、当社グループ13社全体で約8,000人が勤務しており、毎年実施している意識調査の結果から非常に高いエンゲージメントが維持されています。当社の社員は自社の商品や提供しているサービスに誇りを持っていることが判明しました。これが企業価値や持続的な成長につながっていると考えています。

当社の研修制度は非常に充実しており、階層別のプログラムを多数用意しています。 また、“自発的に学ぶ社内大学“として「N-COLLEGE」というオンライン研修プログラムも設けており、社員は言語・IT・ビジネススキル・資格取得など、の項目から自由に選んでスキルアップができます。さらに、公募や選抜型の研修プログラムも用意されており、MBA取得も補助されています。

当社においては、我々の商品・サービスを社会やお客様に届けたいという想いから、困難な課題に対しても、最後まであきらめずにやり切るという意識が高いと思っています。そのため、それぞれのミッションも大きく任せることで、能動的に仕事に取り組んでいただいていると考えています。

今後の展望と従業員に対して期待すること

変化の激しい時代だからこそ、様々なことに挑戦する社員を増やしたいと考えています。もしかしたら、30年後、50年後にはマーケットの状況が大きく変わっているかもしれません。従来の強みも理解し、活かし、大切にしながらも、枠を超えて現状を壊し、新しいことを生み出すことができる人材を増やしたいと考えています。

ステークホルダーの皆様へのメッセージ など

当社の強みは、マーケットインの発想、品質へのこだわりとグループ連携力です。グループ企業理念「あしたを、つなぐ」のもとで、お客様一人ひとりに寄り添いながら、新しい価値を創造することを目指して取り組んでまいりました。

その結果、強い人材基盤が蓄積され、変わりゆく世の中に対して柔軟に対応できると考えています。今後ともどうぞご期待ください。

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(画像=野村不動産ホールディングス株式会社)
氏名
宇佐美 直子 (うさみ なおこ)
会社名
野村不動産ホールディングス株式会社
役職
ダイバーシティ&インクルージョン推進担当、兼グループ人材開発部長