1970年、大分県別府市出身。国立大分高専を1年で中退後、建設現場で職人として働き、1989年に個人創業。翌年、有限会社ケイズを設立し、1996年に株式会社ケイズへ改組。2002年に同社はジョー・コーポレーションの傘下に入る。その後、2006年に同社をスピンアウトして株式会社グランディーズを設立、2008年当時のグリーンシート公開基準で日本最速となる17カ月で株式公開。2012年に福岡証券取引所Q-Board市場へ、2014年には 東京証券取引所マザーズ市場へ株式上場を果たす。
目次
これまでの事業変遷について
冨田:まずは創業からこれまでの事業の変遷についてお話しいただけますか?
株式会社グランディーズ 代表取締役社長・亀井 浩氏(以下、社名・氏名略):もともと経営していた会社を中堅企業に売却した後、2006年に設立したのが株式会社グランディーズです。
創業期は、投資用マンションと分譲マンション、戸建賃貸の請負の3つを中心に経営していました。その後、リーマンショックにより融資がつきにくくなったことで、経営状況が落ち込んだ時期もありましたが、手持ちのわずかな資金を有効に活用するために、もともと戸建賃貸用に開発した商品を建売りに転用し、コンパクトな戸建てを数多く扱う方針に切り替えたことで、なんとか復帰を果たし福岡証券取引所に上場するまでになりました。
その後、本業である投資用マンション事業も再開し、東京証券取引所のマザーズ市場(現グロース市場)に上場することができました。その頃から多店舗展開を始めて、事業地域を広げるとともに、木造アパートや民泊の一棟売りなど扱う商品の幅も拡大しました。特に一昨年、埼玉県の株式会社もりぞうを買収し関東に進出したことは大きな転機でした。
経営判断をする上で最も重視していること
冨田:これまでの、経営危機や事業拡大の中で経営判断が難しい場面が多くあったかと思いますが、亀井社長が経営判断をされる際に最も重視されている点についてお聞かせください。
亀井:経営判断においては、正道を貫くということを大事にしています。つまり、基本的には、本業もしくはその周辺事業以外には手を出さない、会計も事業もすべてコンサバティブにやるということです。それをやりすぎて、業績が伸びてないという部分もあり、株主から見ると、少し物足りないと感じる方はいるかも知れませんが、突飛な発想や奇策などを講じるよりも、至極真っ当なやり方というものを大事にしています。
もちろん企業の成長も大切ですが、その前に潰れずに持続的に活動できるということが企業にとって一番大切だと思います。買収したもりぞうの事業についても展望が見えてきたので、今後はこの土台の上で、大きな成長も示せるのではないかと思っています。
経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み
冨田:お話しいただいた堅実に正道を行くという考えは、亀井社長のルーツや過去の経験が影響しているのではないかと思いますが、なにかきっかけなどございますか?
亀井:やはり20代の頃、飛ばしすぎて痛い目にあっていますし、リーマンショックやコロナの時にも私自身大変な経験をし、同じように苦労した多くの経営者の方々を見ていますので、それらの経験から、リスクヘッジを大事にして、より堅実な考えに至ったように感じます。その結果、安定した経営基盤を築けたのだと思います。例えば、借入れについても、ホテルや大型のビルなど、長期返済のものしか借りておらず、短期で仕入れて売るようなものはすべて自己資金で行っています。 ただ、その反面、社内にうちの会社は安定しているから大丈夫だという空気があり、危機感がないことは課題だと感じています。
冨田:盤石な経営を実現した結果、社員の危機感が薄れるっていうのはすこし皮肉な話でもありますね。 ちなみに、亀井社長は建設現場でのご経験もお持ちであるとお聞きしたのですが、そのような職人としての経験も活きているのでしょうか。
亀井:そうだと思います。私は床を貼る職人だったのですけども、職人からいきなり経営者になったわけではなく、職人で床を張り、床を張っているから壁紙も貼ろう、壁紙を貼ったなら次は棚や照明器具もつけよう、次は建物を建てよう、というように建築や不動産に関わるところは自分自身で一通り経験してきました。
その結果、この業界のことであれば、現場の細かい実務から経営全般のことまで経験があるので、この業界であれば、どんな会社を買収してもある程度再生できる自信があります。
冨田:素晴らしいですね。M&Aによって拡大していけるということは今後の成長戦略の中で貴社の競争優位性になりますね。
亀井:そうですね。M&Aについても、自分で作った会社を売却したり、前職の雇われ社長の時代にも大型から小型まで様々なM&Aを経験しています。 今回、グランディースで30億円規模でなおかつ赤字の会社を買収しましたが、予定通り三年で黒字にできれば、今後、より魅力的なお話いただけると思っています。今がちょうど、その剣ヶ峰だと思っています。
冨田:不動産・建設業界の再生屋のような存在になれば、非常に大きな規模に成長できそうですね。
亀井:そうなれるように頑張ります。関東地方の不動産市場は大きいので、もりぞうの再建が一段落したら、同エリアでの投資用事業の拡大スピードを上げようと思っていまして、早速、いくつか土地も買って、準備を進めています。
弊社の社員も、もりぞうの大型のM&Aで大変苦労しましたが、彼らにとって良い経験になり、彼ら自身の成長の一助になったと感じています。さらに、会社としても関東の様々な企業様とお付き合いができるようになったので、今後の飛躍の礎になるのではないかと考えています。
自社が今後関連していくテーマ、未来構想
冨田:今後、貴社が成長していく上で、特に関連していくであろうキーワードやテーマについてお聞かせください。
亀井:やはりM&Aは大きなテーマになると考えています。 私たちの産業は斜陽産業で、事業承継問題も含め淘汰されていく企業が増えていくのではないかと考えています。ですが、絶対になくならない仕事ではあります。
そこで、縮小していく企業や後継者に困っている企業などを、吸収しながら成長していくことを考えています。もちろん、M&Aは強引なものではなく、すべてのステークホルダーが喜ぶようなM&Aで成長していきたいと考えています。
思い描いている未来構想
冨田:貴社のように歴史があり、これだけの資産を貯めてきたからこそ、攻めの経営戦略に転じても実現できるのではないかと感じます。今後の構想についてもう少し具体的にお聞きしてもよろしいでしょうか。
亀井:もともとは、2018年に「100 億円企業を目指して」というスローガンを掲げていたのですが、いまだに達成しておりません。無理をして大規模なM&Aをすれば達成することはできたとはおもいますが、無理をして数字合わせで売上目標だけ達成するのでは意味がないと思い、実施しませんでした。 しかし、今後は適切に M&A などを活用しながら100億円の企業集団を作るつもりです。
ZUU online ユーザーならびにその他投資家へ一言
冨田:最後に ZUU online のユーザー様や貴社のステークホルダーの方々へのメッセージをお願いします。
亀井:ご存知の通り、弊社は現在のPBRが0.75(2024年5月時点)という低い状態ですが、今後はM&Aなどを駆使しながら成長していきたいと思っております。
また、地方の不動産で現時点で7%ぐらいの利回りを安定して出せるような定番商品を作っていく予定ですので、そういう商品も今後ご提供させていただけるかと思います。 現在は、お付き合いのある方への販売で完売している物件がほとんどで、ホームページ上で表にだす前に売り切れてしまう状態になっています。今後は新たな商品も開発していくことで、幅広い方へ商品をご提供したいと考えています。
不動産案件のご提供と共に企業成長として期待に応えていくことができるかと思いますので、ぜひとも当社の今後に期待していただけると嬉しいです。
- 氏名
- 亀井 浩(かめい ひろし)
- 会社名
- 株式会社グランディーズ
- 役職
- 代表取締役社長