株式会社ガスパル様 アイキャッチ
(画像=株式会社ガスパル様 アイキャッチ)
橋本俊昭(はしもと としあき)
株式会社ガスパル代表取締役社長
1964年5月、埼玉県生まれ。大学卒業後、1988年に三菱銀行へ入社。1992年に大東建託 人事部能力開発課へ入社し、教育部門や賃貸管理部門のシステム開発業務などに携わる。複数のグループ会社へ出向したのち2011年にガスパルへ赴任。専務取締役を経て、2019年より代表取締役社長を務める。
株式会社ガスパル
2002年6月、大東建託の集合住宅へLPガス供給を担う会社として設立。本社は東京都品川区。現在はガスパルグループとして全国106カ所に事業所をもち、都市ガス、太陽光発電、コインランドリー事業も展開。主軸であるLPガス事業ではグループとして11年連続で経済産業省より保安に関する表彰を受賞。経営理念にもある「先保後利」のもと、安全・安心を保つ保安を最優先に捉え、それを実践する人材育成にも力を入れている。

これまでの事業変遷と組織拡大の沿革

ガスパルは、賃貸住宅の建設から入居者斡旋、運営管理まで行う大東建託の100パーセント出資子会社として2002年の6月に設立し、主にLPガス販売を生業としてきました。

設立当時はストックビジネスの優位性を活かそうと、グループ全体としてお客様獲得に注力し、事業を拡大しようとしました。しかし、顧客数が伸びる一方で、法令で決められた点検や調査などの一部を実施することができず、2006年に一部業務停止という重い行政処分を受けました。

この行政処分をきっかけに考え方を180度変え、お客様の安全を守る「保安」を経営の根幹に据え、新生ガスパルとして再スタートしました。お陰様で今ではガスパルグループ各社において経済産業省から保安で表彰を受けられるようになりました。

LPガス販売を主な生業としてやってきましたが、2016年の電気小売自由化や17年からの都市ガス小売自由化という流れの中で都市ガス小売に参入、2017年から順次、東京ガスエリア、大阪ガスエリア、東邦ガスエリアといった地域へのエリア拡大を図ってきました。

株式会社ガスパル_太陽光発電
(画像=株式会社ガスパル_太陽光発電)

それ以外にも太陽光発電事業(メガソーラー)や、ガスの強みを生かしたコインランドリー事業などLPガス会社の枠を超えて暮らしを支える事業にも挑戦しています。

これまでぶつかってきた組織課題

「ガス」の取り扱いは法令で様々な規制をうけることもあり、法律や会社ルールを順守すること、マニュアルを守り実践することは得意な一方、自律的に考え行動すること、新しい領域に挑戦していくことに課題感や苦手意識があると感じています。

私が社長になって四年半経ちますが、社員の柔軟な発想を引き出していくために、これまで無かった組織横断型の風土改革や業務削減、ミッション実現など様々なプロジェクトに取り組んできました。社員には自由に討議や提案をしてもらって、経営側がそれを取り込むというような仕掛けづくりを行ってきました。

今は変化の早い時代なので、トップ一人が全てを決めていたらおのずと限界があると考えてます。だからこそ衆知を集めた全員経営を目指し、社員が自分の考えを自由に発言できる風土を育みつつ、できるだけ仕事を任せるなど自主性を重んじています。

今の時代に必要な従業員との向き合い方

行政処分以来大切にしているのは経営理念の浸透とクレドの実践。会社として大切にしている考え方や価値観などは、毎年経営計画発表説明会を通して全社員に伝えています。一方で「ああしなさい、こうしなさい」など、細かいことはあまり言わないようにしています。社員が主体的に考えた内容にしっかり耳を傾け、その想いを大事にしながら「やったほうがいい」と判断したことは積極的に採用していくスタンスで向き合っています。その過程で、自分の仕事に誇りややりがいを持ってもらえたらうれしいです。

これらの取り組みについて、定量的な観点で振り返るのは難しいですが、自由な発想や会社への提案は以前より私に届いていると感じるので、風土の改革では一定の前進ができているかと思います。ただし、まだ途上ですので、さらに風土として醸成できるよう取り組んでいきます。

従業員の価値(人的資本)向上に向けて取り組んでいることやこれから取り組もうと思っていること

主体性を持って欲しいというのを言葉で伝えるだけでなく、全社員に対して3年半前から順次、キャリア研修とキャリア面談を実施し、社員自身でも考える機会を設けています。

キャリア研修は、外部の講師を招き、年代別に数十名ずつのグループで実施しています。また、キャリア面談は社内外のキャリアコンサルタントと一対一で実施し、個人のキャリアを考えてもらう場として用意しています。

昨年の10月からは人事制度を改定し、自律的に選択できる自身のキャリアの幅を広げました。また、目標を達成したかどうかだけではなく、それまでの過程も評価する仕組みにしています。

今後はさらにキャリアの幅を広げていくため、例えば新しい事業を検討する部署に配置する人材について、手挙げ制度で募集するなどやっていきたいと考えています。 どの業界も同じかもしれませんが、当社も少子高齢化や、脱炭素の流れの影響を受けています。だからこそ、将来のガスパルグループを担う社員のために新しい種をまき、芽吹かせておかなければいけません。積極的に若い世代のキャリアを磨きつつ、社員自身の枠を超えたチャレンジをサポートすることもこれから行っていきたいと考えています。

今後の展望と従業員への期待について

ガス会社の枠を超えて、人の生きると共に歩むエネルギー企業として、ステークホルダーに対して商品と共に生きる活力をお届けしながら事業を拡大していきたいと考えています。その理由は、新しい事業を作っていくことによる生き残りということもありますが、なによりせっかく入社してもらった社員の皆さんの能力を活かす場、磨いていく場を提供したいという想いが大きいからです。

先ほども伝えましたが、トップ一人が考える時代はもう終わっていると考えているため、全社員がそれぞれの発想を持って自律的に会社を作ることを期待しています。そのために、一人ひとりが主体性を持ってステークホルダーのためにやった方がいいと思うことはどんどん発信をしてもらい、それを経営側も真剣に受けとめていくということを目指していきたいと思っています。