政府からの「リスキリング支援1兆円投資」や「人的資本開示の義務化」の発表があり、企業というものの“人財”や“社員”への向き合い方が問われている。そんな中、“働くもの”に愛され、社員の力で成長し続ける企業に、その取り組みや今後の展望を伺った。

GA technologies
(画像=株式会社GA technologies)
佐藤 将之(さとう まさゆき)
株式会社GA technologies 執行役員(CEOオフィス担当)
アメリカの大学を卒業後、セガ・エンタープライゼス(現セガサミーホールディングス)を経て、2000年、アマゾンジャパンへ入社。
サプライチェーン部門にて、サイト立ち上げのための調達システムの立ち上げ、および物流設計を行う。
2003年に書籍調達部門の責任者に就任。
2005年、オペレーション部門にてディレクターとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与。
2016年に退社後は、経営コンサルタントとして企業の成長支援に関わる。
株式会社GA technologies(ジーエーテクノロジーズ)は、「テクノロジー×イノベーションで、⼈々に感動を⽣む世界のトップ企業を創る。」を理念に掲げ、不動産をはじめ、さまざまな産業のビジネス変⾰に取り組むインダストリーテック企業である。
2013年の創業から5年後の2018年に東証グロース市場(旧東証マザーズ市場)に上場。
上場後に10件以上のM&Aを実施し、2023年度には売上高1,400億円を超える急成長を遂げている。
2020年~2022年には、3年連続で「DX銘柄」に選出(グロース市場で唯⼀)されている。

目次

  1. 人的資本経営に対するこれまでの取り組み
  2. 人的資本経営の取り組みで苦労した点と、乗り越えるための施策
  3. 従業員数エンゲージメントにおける取り組み
  4. 今後の展望と従業員に対して期待すること
  5. ステークホルダーの皆様へのメッセージ など

人的資本経営に対するこれまでの取り組み

まず、当社の特徴からお話しします。当社は創業から11年で、上場してから6年の若い会社であるため、ベンチャー気質が残っています。大手企業のように充実した人事制度が整っているわけではなく、発展途上の段階です。私自身も勉強しながら様々な制度を立ち上げてきました。

これまでに色々な取り組みを行なってきたのですが、一貫性に欠けることもあり、社員に目的が伝わらないこともありました。

そこで今年は社長を中心に、「チャレンジ精神を応援しつつ、様々なメンバーが成長できる環境作りを目指す」という人材ビジョンを定めました。この新たな人材ビジョンに基づき、従来の育児休暇制度やLGBTの制度を見直しました。現在、育児休暇の取得率においては女性が100%、男性も80%となっています。また、働き方改革の一環として、フレックス制度も導入し、少しずつ働く環境を整えてきました。 今後も社員の方々が安心して働けるような職場環境を整えていきたいと考えています。

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人的資本経営の取り組みで苦労した点と、乗り越えるための施策

苦労した点は、人材ビジョンの浸透です。私は社員の方々に理解してもらうために、トップからメッセージを発信し、変化を示すことが重要だと考えました。

具体的な取り組みとして、まずは社長の樋口から人材ビジョンについて、全体にメッセージを発信してもらいました。さらに、週1回行っている朝会でも、社長から人材ビジョンについて約15分ほどのメッセージを発信しています。

また、当社の行動指針である「GA GROUP SPIRIT」を体現することも、人材ビジョンを実現するために重要だと考えました。そこで、役員やマネージャーが自ら人材ビジョンを体現する取り組みを実施しています。具体的には役員から「OHAYOGO」と呼ばれる活動を行っています。これは、挨拶をして社内を周りながら社員とコミュニケーションを取る活動です。

このように経営陣から行動を変え、社員が同じベクトルを向いて働けるような環境作りに意識して取り組んでいます。その結果、現在では少しずつビジョンが浸透していると感じています。例えば、社内チャットツール上で人材ビジョンの投稿をした際に、「熱狂」スタンプの反応を多くいただきました。

社員の期待を裏切らないためにも、実際の行動で示すことが大切です。今後も経営陣から積極的にメッセージを発信していきたいと考えています。

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従業員数エンゲージメントにおける取り組み

従業員エンゲージメントにおいては360度評価を行なっています。半年に一度、アンケート調査を行い、組織の状態や社員の関係性を把握しています。 アンケート調査によって、組織の安定化や社員のエンゲージメント向上のために、やるべきことが明確になるのです。

私自身、初めて360度評価を受けた際に、部下から「相手の話が終わる前に口を挟む癖がある」ということを指摘してもらいました。 無意識で行なっていた部分を指摘してもらうことで、自分自身の癖が意識化でき、より良い組織や人間関係を築くことができていると感じています。 今後も、それぞれの強みや弱みを多角的な視点で捉えることが出来る360度評価をうまく活用していきたいと考えています。

今後の展望と従業員に対して期待すること

当社は、テクノロジーを駆使したイノベーションで人々に感動を生み出すトップ企業になることを目指しています。これは国内に限った話ではなく、世界のトップ企業と肩を並べられる存在になるように日々努力しています。

世界をリードする企業となるべく、当社はそのためのマイルストーンを定めています。具体的には「リアル×テクノロジーの力で感動を生む顧客体験を追求し、産業を変革する。」という2028年に向けた5ヵ年経営ビジョンです。テック企業ではありますが、「リアル」の部分も重要だと考えます。なぜなら、何かを創る際には必ずリアルから始まるからです。強固なリアルの基盤があることで、テクノロジーによって拡大していくことができます。

そして、事業拡大のためには人材が必要不可欠です。そのため、社員には最大限の成長をして欲しいと考えています。また、これから当社に参加していただく方にも、社と共に成長していくことを楽しんでもらいたいです。

私自身、前職では成長スピードの早い企業で充実感や喜びを感じながら働いていました。自分も会社も共に成長する環境が大変魅力的でした。その経験を活かし、当社でもこのようなポジティブな姿勢・環境を再現したいという思いがあります。社員の皆さんと共に、当社の成長を支えていきたいと考えています。

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ステークホルダーの皆様へのメッセージ など

当社は2028年に向けた経営ビジョンを定め、リアルとテクノロジーを融合させた新しい価値を提供する企業を目指しています。 不動産投資業界において、リアルとテクノロジーを組み合わせた企業は珍しい存在です。だからこそ、成長を支えてくださる方々や社員を大切にしていくことをお約束いたします。

また、当社はベンチャー企業であり、まだまだ改善の余地があることを認識しています。自分たちが完璧でないことを理解しているからこそ、柔軟に対応し、常に改善に取り組んでいく姿勢を持っています。 社長自らが「完璧ではありません」と公言し、私たちもその精神を受け継いでいます。お客様とともに成長していきたいと考えているので、今後も応援していただけますと幸いです。

氏名
佐藤 将之(さとう まさゆき)
会社名
株式会社GA technologies
役職
執行役員(CEOオフィス担当)