株式会社フォリウム
(画像=株式会社フォリウム)
三好 浩和(みよし ひろかず) ―― 株式会社フォリウム 代表取締役会長CEO 兼 共同創業者
1981年三重県生まれ。10代を米国で過ごす。慶應義塾大学環境情報学部卒。
在学中に中国大連市へ移住して日本向けオフショアBPOサービスで起業し(2014年に売却撤退)、以来これまで16業種21社の設立、経営、出資等に携わる。現在はニアショアでのオーダーメイドBPOとローコード開発を手がける株式会社フォリウムの代表として、日本企業と日本各地の人材の発展の寄与に注力している。
株式会社フォリウム
青森県八戸市および山口県山口市のサービス拠点より、主に首都圏のクライアント企業へサービスを提供しています。マーケティングリサーチ運用やECサイト運営などのBPO事業のほか、ローコードによるシステム開発事業も手がけています。長期就業のスタッフは85%以上。高い習熟度により、領域特化のBtoBビジネスを中心とした専門性の高いサービス提供を実現しています。2013年にはプライバシーマークも取得し、厳格な情報セキュリティ管理体制を保有しています。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 自社事業の強み
  3. 現在一番関心のあるトピック・関心事項とその理由
  4. 思い描いている未来構想や今後の新規 / 既存事業の拡大プラン
  5. 現在重点的に取り組んでいること

これまでの事業変遷について

―― 御社の創業からこれまでの事業変遷についてお聞かせいただけますか?

三好 はい、フォリウムは元々前身となる企業があり、2005年に中国・大連市で日本向けのBPOサービスを提供する会社としてスタートしました。しかし、日中間の文化や言葉の壁、お客さまが発注される際の心理的ハードルを超えるのが難しく、2010年に派遣会社とのジョイントベンチャーとして日本国内に法人を作ることになりました。

2014年には中国拠点を売却・撤退しましたが、2011年に青森でマーケティングリサーチ業界向けのリサーチ運用に特化したBPO事業を旧・トゥルージオ社としてスタートし、2016年に山口に拠点を開設しました。2019年には、同じ業態で青森で事業展開していた旧・ノーザンライツ社と資本提携し、2021年に合併、それに伴い現在のフォリウムに社名変更しました。

―― M&Aによる多角化経営についてどのように捉えているのでしょうか?

三好 当社のBPOサービスは、一般的に想像されるコールセンターや大規模なデータ処理センターとは異なり、大手企業と競合しないようなニッチな領域に特化しています。ただ、一つの業界だけで成長していくのは限界があるため、領域特化しながら多角化していくことが必要だと考えています。

そのため、隣接する業界や当社のノウハウが生かせる異なる業界で業務を立ち上げることにチャレンジしています。うまくいくものは事業として拡大し、うまくいかないものについては撤退の判断を下すこともあります。今後もこのような試行錯誤を続けていきます。

自社事業の強み

―― 競合の大手企業との差別化を図る中で、御社が一番強みにしている部分を教えていただけますか?

三好 当社の売上の一番大きい部分を占めているのは、マーケティング業界向けのリサーチBPO領域です。

この領域では、当社が国内で最大規模の体制を保持しており、お客さまがアウトソーシングを検討される際は、当社が第一の選択肢になると思います。当社のお客さまは都市部で体制を拡大するために、人材獲得とリソースの拡張に課題を抱えています。当社がタイムリーに人を集めて育成し、定着させながら体制を拡大させていけるので、それが優位性を発揮している点だと考えています。

―― 人材の採用と育成のシステムが御社の強みだということですね。ただ、八戸と山口にメインの拠点がある中で、地方で人を集めるのは難しいことではないでしょうか?何か工夫があるのか教えていただけますか?

三好 実際に非効率であるとは思います。しかしながら、当社は大手との競争や生存戦略として、非効率なことをあえて選んでいます。一見非効率に見える地域にあえて展開することで、地域における相対的な魅力を確立しやすいと考えています。

また、都市圏では、人口が多く労働市場が形成されている一方で、人材の流動性が高くなってしまいます。人材の定着と習熟を前提とした、当社の領域特化のコンセプトに合致しません。当社ではこのような地域戦略を取ることで、定着率を向上させています。

現在一番関心のあるトピック・関心事項とその理由

―― 現在、一番関心を持っている業界や分野についてお聞かせいただけますか?

三好 当社が従来から提供している「マーケティングリサーチ運用」「IT系BPOサービス」のほかに2022年から「ローコード開発」という3つ目の事業を展開しています。この新規事業の領域は、市場の拡大が見込まれる一方で、まだ目立ったプレイヤーが少ないという特徴があります。地方で人材を獲得し、数か月から1年という短期間で顧客案件に投入できる人材を育成できる点が魅力です。

また、ローコード開発事業は、既存BPO事業とも親和性が高いため、事業間で顧客の共有をしながら、クロスセルやシナジー創出が可能だと考えています。また、自治体と連携してフロントヤードのDX推進にも関わっており、地方拠点の強みを発揮しています。

―― ローコード開発のノウハウや仕組み作りはどのように進められましたか?

三好 事業の立ち上げがうまくいったきっかけに、当社が目指すビジョンに共感してもらえるパートナー企業との出会いがありました。彼らはローコード業界の先駆者であり、地方で人材を育成し都市部の人手不足に対応するという当社の考え方に近い発想を持っています。そういった企業や団体から知見や技術の提供を受け、一緒に案件に取り組むことで、最初のノウハウを獲得しました。

―― 新しい業界や領域に取り組む際の情報収集は、「他の経営者とのつながり」または「既存の提携先企業との取り組み」のどちらが多いですか?

三好 私のビジネスアイデアのインプットは、経営者同士の横のつながりから得ることが多いです。第一線で活動している方々から得られる情報は新鮮で、メディアには載っていないような情報が入ってきます。ただ、今回のローコード事業は、社内からのアイデアが発端でした。

―― 社内からのアイデアが事業に発展することは、組織にとって重要だと思いますが、どのようにしてそのアイデアが持ち上がってきたのでしょうか?

三好 私自身は事業立ち上げの段階では関与していませんでしたが、事業開発を担当している部署のメンバーが、当社に必要だと考えて提案してくれました。彼らが熱心に取り組んでいるおかげで、ローコード開発が私の関心事の一つになりました。内部からのアイデアが組織に活力を与えることは、とても重要だと感じています。

思い描いている未来構想や今後の新規 / 既存事業の拡大プラン

―― フォリウムの未来構想や新規事業の拡大プランについてお話しいただきたいと思います。

三好 我々がやろうとしていることは、さまざまな地域に眠っている才能を掘り起こすことです。現在は山口と青森の2か所で事業を展開していますが、リサーチBPOやローコード開発、その他新規事業のプロフェッショナルとして活躍できる人たちが、他の地域にもまだまだたくさんいると考えています。

これまでの事業を通じて、地方に眠っている才能が確実に存在することが確認できました。そのような人材の才能を首都圏で戦っている先端企業の成長や事業拡張のためにつないでいくことを目指しています。

―― 新しい立地を獲得していく際、ファイナンス戦略的にデットで資金を調達するのか、エクイティで調達するのか、どのような考えがありますか?

三好 当社は爆発的に伸びるスタートアップというよりも、堅実な中堅企業に見られるオーガニックな成長モデルに近いと考えています。従ってエクイティファイナンスとの相性はあまり良くないと考える一方、デットファイナンスとの相性はいいと考えています。最近では新しい領域の立ち上げやM&Aにも積極的に銀行から支援していただいています。現在は株式市場やリスクマネーの呼び込みはそれほど必要ではありませんが、今後は上場も含め、さまざまな選択肢も検討していきたいと考えています。

現在重点的に取り組んでいること

―― 現在重点的に取り組んでいることがあれば教えていただけますか?

三好 当社は、ビジョンやパーパスに共感してくれる社員たちと、長年一緒に働き、共に共創してきました。現在、東京本社のほか2拠点で展開しているコンセプトを全国に広げるために、当社にどのようなポテンシャルがあるか、どうやってスケールアップを実現できるか、幹部メンバーたちと議論を重ねています。

―― 具体的にはどのような取り組みがありますか?

三好 この数年間、私たちがいかにして飛躍的に大きな目標を達成し、新しい事業を生み出せるような組織に変革できるか、という議論を続けています。新しい事業が内側から生まれるような、連続的な変化が起こる組織になることを目指しています。

―― 中期戦略を描いている段階なのですね。

三好 中長期的な戦略については、現在の延長線上でぼんやりと考えるのではなく、新規事業の開発やM&A推進など「リープするマインド」で経営アジェンダを設定し、具体的な結論を出すための話し合いと戦略策定を丁寧に進めています。

―― 今後の御社に注目させていただきます。本日はお時間いただきありがとうございました。

氏名
三好 浩和(みよし ひろかず)
社名
株式会社フォリウム
役職
代表取締役会長CEO 兼 共同創業者

おすすめ記事

■取材対象者 三好 浩和 代表取締役会長CEO 兼 共同創業者