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(画像=株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所_代表取締役社長 日高 有一)
日高 有一(ひだか ゆういち)
株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所  代表取締役社長
1973年生まれ。金融機関出身で法人営業を担当し、資金調達・営業に精通。
2006年に当社(研究者である実父が創業)入社し、2008年12月より代表取締役社長に就任。
2009年に東証グロース上場。強いリーダーシップをもって、当社の企業価値向上を目指す。
株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所
株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(略称:DWTI(デューティー))
1999年創業。「日本発の画期的な新薬を世界へ」を理念とし、有用な医薬品を患者様に提供することを目指すバイオベンチャーです。
創薬実績としては、世界初のキナーゼ阻害剤発明に関与、自社発明の上市品を保有しています。
現在、眼科領域に注力しており、自社創製品の開発や新たに再生医療等製品を手掛ける等、患者様の最適な治療の提供に取り組んでいます。

これまでの事業変遷について

冨田:これまでの事業変遷について教えてください。

日高:まずは創業のきっかけからお話しします。当社は1999年に私の父が創業した会社です。父は研究者であり、研究を事業化したのが始まりでした。 創業から2014年までは、父が行っていた研究にフォーカスしてビジネスを進めてきました。具体的には研究で生まれたたモノ(新薬候補品)を製薬会社さんにお渡しするというビジネスモデルでした。そして2014年に父が作った薬の国内製造販売承認を得ることができ、日本で販売されるようになったのです。

この出来事を境にビジネスモデルを変えました。研究だけではなく、開発も行うようになったのです。また、これまでは自分たちだけでモノを作っていたのですが、他社と共同で研究開発を進めるようになりました。 このように自分たちで手がける範囲を拡大させ、将来の収益性を上げることができました。

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(画像=株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所)

経営判断をする上で最も重視していること

冨田:これまでの経営の意思決定において、どのような点を最も重視されていますか?

日高:私が心がけていることは、スピードです。判断のスピードを遅くしないことが大事だと考えています。案件によっては他社様も携わっていることもあるため、判断に時間をかけすぎると結果的に悪影響を与える可能性があります。重要な判断をする際にも、悩んで考え抜いた結果をできるだけ早く決断するように意識しています。

冨田:なるほど。意思決定の基準について、社長になられてから変わったことと、以前から変わらないものはありますか?

日高:社長になってからは、「新薬を患者の皆様に届けたい」という父の想いを引き継いで判断するということを意識するようになりました。私は2006年に当社に入社し、2008年に社長に就任しました。その後、2009年に上場したので、上場企業の経営者としての期間の方が長いです。上場によって大きく状況は変わりましたが、この想いを引き継いで判断することは変わりません。私自身、この想いに共感していますし、従業員にも同じ気持ちで取り組んで欲しいと考えています。

冨田:お父様の想いを引き継いでいるというのは、非常に素晴らしいことだと思います。「日本発の画期的な新薬を世界へ」というビジョンも、お父様が掲げていたものですか?

日高:そうですね。父が起業した際にこのビジョンを掲げました。私が入社した理由はこのビジョンを実現するためです。今後も「日本発の画期的な新薬を世界へ」というビジョンの実現に向けて会社を引っ張っていこうと思います。

冨田:お父様の想いを胸にデ・ウエスタン・セラピテクス研究所がさらなる発展を遂げることを期待しています。

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経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み

冨田:社長ご自身の経歴や強みはどのようなものでしょうか?

日高:銀行時代の法人営業の経験が、現在の経営者としての強みになっていると考えています。この経験から学んだことは2つあります。

1つ目はビジネスの基礎基本を学べたことです。銀行で融資をするための資金調達のノウハウについて理解できました。また、事業化できないとお金を貸すことができないので、ビジネスの目利き力もつきました。

2つ目は経営においてはバランスを意識して判断することが重要だ、ということです。経営者の方々と話す機会が多くあったことで、経営とは何か、どのように判断するかということを学ぶことができました。多くの経営者の方々と話し、ビジネスを成長させながらも社員やステークホルダーのことを考慮できている会社が成長していると感じたのです。

冨田:バランスは確かに大切ですね。特に日高社長はお父様と2人3脚で経営をされており、研究者と事業者のバランスを取ってきたのですか?

日高:そうですね。父は研究者でビジネスに知見があり、私はビジネスマンで研究に興味があるという状態でした。お互いに補完し合ったことで成長できたと考えています。また、バイオベンチャーの分野では、経営者は研究者や開発者の方が多いです。しかし私はビジネスサイドの観点を多く持っているので、薬の開発は会社を成長させるためのツールとして捉えています。一般的な創薬会社の経営者と少し異なる視点を持っていることが、当社の強みでもあると考えています。

自社が今後関連していくテーマ

冨田:今後どのような分野に関連していきたいと考えていますか?

日高:業界全体を見た場合、患者様一人一人に最適な医療を提供する個別化医療がより発展していくと考えています。私たちも、より良い医療手段は何か、という観点から再生医療を選択しているだけで、再生医療を突き詰めたいとは考えていません。患者様に最も良い治療方法を提供できる仕組みを作っていきたいと考えています。 また、直近ではAI創薬という分野も発展してきています。人ではなく効率性を重要視した手法の研究もあります。業界のトレンドを見ながら、考えていきたいと思います。

想い描いている未来構想

冨田:今後の事業展開や拡大の仕方についてはどのような考えがありますか?

日高:患者様に必要だと思われる医薬品の開発を続けていき、複数の医薬品を保有する会社にしていきたいと考えています。様々な種類の医薬品があることで、会社として大きなアセットになります。

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冨田:ありがとうございます。決算資料にも、「新薬を生み出す基盤技術」というスライドがありましたね。これだけのパイプラインが横に並ぶということは、様々な提案ができるのだと思いました。

日高:当社が作った薬は10年先に市場に入っていくので、未来の患者様のニーズに合わせてどのような分野にも対応できる可能性があると思います。

当社のビジネスは社会的意義が非常に高いですが、私たちの力だけではなかなかうまくいきません。多くの方々に支えられて成り立っています。今後も患者の皆様に当社が開発した薬を使っていただき、病気を無くすために、地道に続けていきます。ご支援とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

氏名
日高 有一(ひだか ゆういち)
会社名
株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所
役職
代表取締役社長