株式会社オークネット
(画像=株式会社オークネット)
藤崎 慎一郎(ふじさき しんいちろう)――株式会社オークネット 代表取締役社長CEO
1975年東京都出身。オークランド工科大学(ニュージーランド)経営学修士。2011年オークネット入社。2019年専務執行役員、2020年代表取締役社長COOを経て、2023年3月より現任。「循環型マーケットデザインカンパニー」をビジョンに掲げ、さまざまな業界で一次流通×二次流通の事業を推進する「サーキュラーコマース」を構築。事業成長はもちろん、サステナビリティや人的資本の投資にも注力。
株式会社オークネット
1985年世界初のリアルタイム中古車オンラインオークションを開始以来、中古デジタル機器、中古バイク、ブランド品、花き、中古医療機器など、多岐多様な領域へと拡張し、二次流通の専門ノウハウや流通ネットワークを構築しながら、流通に関するサービスを幅広く提供。メーカーや小売などの一次流通事業者に対し、二次流通への参入支援を行う「Selloop(セループ)」も推進。循環型マーケットを創造していくことで「持続可能な社会」を目指す。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 経営判断をする上で最も重視していること
  3. 経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がった自身の強み
  4. 思い描いている未来構想
  5. ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

これまでの事業変遷について

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(画像=株式会社オークネット 本社(東京都港区)にあるオークションルーム)

冨田:これまでの事業の変遷について教えてください。

株式会社オークネット 代表取締役社長CEO・藤崎 慎一郎氏(以下、社名・氏名略): 創業前に遡りますが、創業者である父は1960年代から中古車販売店を経営しており、中古車の買取と販売を行っていました。当時の中古車業界では、既に現車会場によるオークションで車両売買が行われていました。しかし、現車会場は、現物を確認できるメリットがある反面、仕入れのために現地に赴く必要があり、また、出品する場合は、会場まで現車を持ち込み、売れなかった場合はまた持ち帰らなくてはいけません。父はこの非効率さを解決するために1985年に弊社を創業し、電話回線とレーザーディスクを活用し、世界で初めてとなる「中古車TVオークション」を開始しました。これにより、出品者は全国どこからでも出品可能で、購入者も気に入った車をオフィスにいながら落札できるようになりました。

創業から39年を迎え、弊社はリユース業界におけるパイオニアとして、常に業界の変化に適応しながら進化を続けています。初期の中古車オークションから始まり、今日では中古デジタル機器、ブランド品、花き、中古バイク、中古医療機器など、多岐多様な領域へとサービスを拡大しています。この長い歴史の中で、私たちは常に時代の先端を行くサービスをご提供することを目指しています。

経営判断をする上で最も重視していること

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(画像=株式会社オークネット 多岐多様な領域へサービスを拡大し、成長してきた)

冨田:中古車オークションからの横展開として、事業を拡大することを目指されていたのですね。藤崎社長が現在事業を行う上で、あるいは経営チームとして最も重視していることはどんなことでしょうか?

藤崎:弊社はBtoBプラットフォームビジネスを行っています。ご利用いただいているお客様は中小企業の方も多く、会員社数は3万社以上にも及びます。膨大な数ですが、様々な企業様からご要望やお話をお伺いする機会を設けることを重要視しています。

幅広くお客様の話を聞くことで、その要望が今のマーケットにおいて必要とされているものかを判断できるのかなと思います。

冨田:なるほど。様々なタイプのお客様がいらっしゃるので、その中での折衷案や間をとっていくというのはやはり難しいのではないかと感じます。

藤崎:そうですね。お客様の間にある「最大公約数」みたいなものを狙いに行ってしまうとうまくいかなかったりします。

「本当にこれはいいね」と共感いただけるお客様を増やしていくことが一番大切だと感じています。そして、そういったサービスがこれまでにも成功してきていると思っています。やはりお客様の声は幅広く聞き、サービスを作る際は一人でも多く熱狂的なファンを増やすことを心がけています。

冨田:社長がそういう感覚を持つことっていうのはとても大切なことだと思います。時代と共に顧客の声というのは変わっていくと思うので、その中で本当に必要とされているものを常に拾い続けるということも難しいですよね。

藤崎:その感覚は、今は他界してしまった父が遺した本から学びました。実は父が他界する数年前にがんを患って、父自身ある程度悟っていたのだと思います。そこで自身の経営哲学を遺してくれたのですが、その中で「本物主義」というものをとても大切に語っています。これは先程のように「世の中に本当に必要とされているものなのか」を考えるべきであるという教えです。ほかに、「顧客中心主義」というものもあり、とにかくしっかりとお客様に向き合っていこうという考え方があります。

そのため、今の私の考えは、父の遺した考えが大きく影響していると思います。この考え方を会社全体にも浸透させるべく、様々な施策にこれらの言葉を盛り込んでおり、古くからいる社員のみならず、最近入社した社員にもこの本の考え方をベースとしたイズムのようなものが浸透しやすくなっています。これは会社としても非常に大きな財産だと思っています。

冨田:素晴らしいですね。時代が変わっても創業者の言葉が受け継がれている企業は本当に理想的な経営をされているのだなと感じました。

経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がった自身の強み

冨田:続いてですが、社長ご自身にフォーカスをしてみた時に、藤崎社長ご自身のルーツや強みといったところはどのようなものだとお考えですか?

藤崎:私自身の特徴としては、2011年にオークネットに入社するまでに、5社程度の異なる業界での経験を持っています。当社に入社後も、様々な商材の流通事業を経験してきました。これまで様々な事業に携わり、1年か2年ごとに新しい分野に飛び込んできました。このような新しい環境で得た経験を自分の知識にフィードバックする、多様な視点を持ち合わせている点が、私の強みであると考えています。

このバックグラウンドは現在の弊社においても大きく影響していると思います。私はこれまでの経験を活かし、新しい視点でサービスを提供することが重要だと考えています。

思い描いている未来構想

冨田:それでは続いて将来のお話をさせていただければと思います。近い将来から遠い将来まで、未来構想としてどのようなものを描いているのでしょうか?

藤崎:そうですね。弊社はこれまで、売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームビジネスを展開してきました。しかし、単に場を提供するだけではなく、リユース市場を広げ、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を加速させるためには、多くの企業との協力が必要だと考えています。

持続可能な社会の実現が求められていく今の世の中で、メーカーや小売事業者などの一次流通事業者向けに、二次流通(リユース品等の流通)を始める際の仕組みの構築と運営を総合的に支援するサービスを始め、それが非常に好評を得ています。 今まで様々な業界・商材の二次流通を担ってきた弊社ならではの知見を活かし、多くの企業と協力しながらサーキュラーエコノミーの推進に貢献していきたいと考えております。

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(画像=株式会社オークネット 2021年より二次流通支援サービス「Selloop(セループ)」を開始)

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

冨田:最後になりますが、弊社のユーザー並びに投資家の方々へ一言いただけますでしょうか?

藤崎:リユース業界において、弊社は過去数年間、革新的で新しいアイデアを推し進めてきました。この分野に新しい風を吹き込むことを目標に、イノベーティブな人材を積極的にリクルーティングしています。そして、単に安定した事業だけでなく、既にある事業基盤に加えて新しいサービスを創出し、それが段階的に成長していくような会社を目指しています。 このような革新的な取り組みを期待してくれる投資家の方々には、ぜひ支援をお願いしたいと考えています。

氏名
藤崎 慎一郎(ふじさき しんいちろう)
社名
株式会社オークネット
役職
代表取締役社長CEO