ニュージーランド出身。52歳。関西学院大学卒業後、2000年アイコム入社。海外営業部、商品戦略部・マーケティング企画課、次世代プロジェクトチームなどでの業務を経て、2023年4月に社長室室長に 就任。同時に、サステナビリティ推進グループのメンバーとしての職務にも取り組んでいる。
ESGにおけるこれまでの取り組み
弊社は、1964年の設立以来、経営理念である「コミュニケーションで創る楽しい未来・愉快な技術」の実現に向けて一貫して無線機の開発・製造に取り組んできました。
その成果は60年以上にわたる事業運営という、長い歴史の中に散りばめられています。業界の中でも、その技術力とパイオニア精神は高く評価されてきました。その姿勢は、ESGの取り組みにも反映されています。
特に環境対応については、1990年代後半からISOの認証が日本企業を中心に広まったことを受け、国内外のイニシアティブに積極的に参加してきました。ISO9001のマネージメントシステム関連、ISO14000の環境関連やISO27000の情報セキュリティ関連と順々に取得し、その標準に基づいた経営を行うことで、環境対応の取り組みを進めてきました。
また、2000年代からは製品開発においても環境対応は重要なテーマとして取り組んでおり、製造過程での環境への影響を減らすことに加え、消費電力が半分で同等の出力が得られる製品の開発など、環境負荷を下げつつ、製品性能を向上させる努力をしてきました。 直近では、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)コンソーシアムや、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)への参画を表明しております。
これらの取り組みは、弊社が20年以上にわたり、環境を中心とした取り組みを順次してきた証であり、今後もこの方針をESGという形で続けていくという考えです。
ESGの取り組みや事業の強み、実績
弊社の強みは、40年以上前から、特定の地域にとどまらず、国内外に視野を向け、グローバルな事業展開を行ってきたことです。この意識は今でも持ち続けており、これらの成果がE・S・Gのそれぞれの取り組みに反映されています。
環境面(E)製品開発を中心に環境影響のフットプリントを減らすことを常に考慮してきました。前述の製品開発時、製品使用時の環境負荷を軽減することで、ネットゼロおよび、2050年のカーボンニュートラルに向けた目標設定を行っております。
社会面(S)通信技術を活かした災害対策に力を入れてきました。弊社の無線機は、通常時はもちろん、災害時においてもその力を発揮し、ライフラインとなる通信力を確保してきました。特に大きな災害が起き、他の通信手段が機能しなくなった場合に、無線機がその役割を担うことで多くの命を救うことに貢献してきました。2011年の東日本大震災の際にも活用され、現在は政府とも協力して、数百台の無線機が、災害に備えて常備されています。
ガバナンス(G)弊社の社是である「常に最高の技術集団であれ」を念頭に、全ての社員が自己成長と挑戦を続ける環境を整備しています。その一環として、製造業という男性比率および高齢者比率が高い業界ですが、女性や若者の活躍を推進し、育休制度などの働きやすい環境の整備や、管理職だけではなく、若手や女性向けの研修など、ダイバーシティを重視する取り組みも行っています。
また、弊社は各国に拠点があるので、地域ごとのルールや規制に合わせた製品供給を行っており、法令順守を念頭に100年以上続いていくような企業になることを目指しています。
現状だけではなくESGの取り組みでこれから目指すところ
前述のTCFDやCDPなどそれぞれの指標に対する目標設定を行うだけでなく、目標達成に向け継続的に推進していくために、社長室の中にサスティナビリティ推進グループを設置し、年次で目標に対しての進捗を管理できる体制を整えております。
更に、弊社ホームページにサスティナビリティ関連のページも作成しているところです(今期中公開予定)。これまでのISOやESGなどの取り組みに加え、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)からの発信など社会の変化とともにアップデートされていく指針などに対して対応できるような体制を構築していく所存です。
今後の上場企業の意義や投資家ユーザーへのメッセージ
弊社は、来期で設立から60周年を迎えますが、これまで買収や合併などを行わず、着実に成長してきましたが、無線業界でこのような企業は国内外見渡してもほとんどないと思います。これは創業者の思いを元に、社員一人一人が日々挑戦してきたことの賜物であり、更に成長を続けることで、100年企業を目指します。
そのために、更なるESGの取り組みや、社員一人一人が活躍していけるような育成や支援に取り組んでいきます。また、取締役や執行役員を含む経営推進チームと共に、全社の体制を整え、適切な企業運営を行い、適切な成長角度で、企業価値の向上を図り、すべてのステークホルダーの方々への責任を果たしていきたいと考えております。 弊社の株主様、お客様、社員の皆様に対し、今後もより一層のご支援をお願い申し上げます。