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(画像=トレイダーズホールディングス株式会社)
小澤 正紀(おざわ まさき)
トレイダーズホールディングス株式会社 IR広報部課長 ESG推進委員会事務局長 トレイダーズFinTech1号ファンド事務局長
2021年入社、トレイダーズグループ全体のサステナビリティ経営を推進する機関「ESG推進委員会」の事務局責任者を務める。1990年代から2010年代にかけて、CTA(商品投資顧問)トレーダー・ファンドマネージャーとして国内外の先物・オプション市場での資産運用業務に従事。大学では携帯電話が存在せずインターネットが普及していない時代にITを専攻。
トレイダーズホールディングス株式会社
1999年創業、日本で初めてインターネットを通じたFX取引サービスを個人投資家に提供。金融事業とITテクノロジーサービスをグループの中核事業として展開。東証スタンダード市場上場(コード8704)。本年3月、ミッション・ビジョン・バリューを策定しコーポレートロゴをリニューアル。ミッション:Create the New Values~新たな価値を創造し続ける~
2023年3月期連結決算にて、営業収益・純利益共に過去最高を達成。

ESGにおけるこれまでの取り組み

私たちはサステナビリティ推進の観点から、当社グループの中長期的な企業価値の向上と持続的な社会の実現の両立を進めています。持続的な社会の実現のためには社会を構成する一人ひとりの資産形成が不可欠ですし、資産形成を実現するためには金融リテラシーの向上が欠かせません。そこで、当社では幅広い層の金融リテラシーの向上を支援するために主に2つの取り組みに力を入れています。

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(画像=トレイダーズホールディングス株式会社)

1つ目は若年層向けの金融経済教育です。具体的には教育機関、特に小学校や中学校の若年層を対象にしており、トレイダーズ証券の取締役であり現役為替ディーラーでもある井口が特別授業として直接学校に出向く活動をしています。子供たちに基本的な金融経済や外国為替について出来るだけわかりやすく解説し、「夢をかなえるためにお金の勉強が大切だ」ということを伝えています。実際に授業を受けた児童から「日本は(預金に)金利がつかないことに少し悲しくなりました。しかし、僕がそれをなんとかしたいです。」という気概のある感想を寄せていただき、スタッフ一同望外の喜びを感じました。

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(画像=トレイダーズホールディングス株式会社)

2つ目は女性の金融リテラシー向上支援です。「きんゆう女子。」さんという女性主体の金融コミュニティと連携し、前述の井口が講師を務め、外国為替をテーマとした座談会などのリアルイベントを開催しております。また、共同でインスタグラムとWebサイトを立ち上げ、社会人の女性向けに、自己決定力を高め経済的な自立をサポートするための情報発信を行っています。
※参照「外国為替の、ほんとのこと。」(https://traderssec.kinyu-joshi.jp/
「旅行とおかねにいいこと。」(https://www.instagram.com/fxfor_smarttravel/

投資事業におきましては、社会・環境等の分野における諸課題の解決に取り組む企業等へのESG投資も実施しています。今年4月、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「トレイダーズFinTech1号投資事業有限責任組合」を設立しました。このファンドはフィンテック領域だけでなく、ESG経営を推進するスタートアップ企業も投資対象としており、7月に医療構造が抱える社会課題を「医療ネットワーク」×「テクノロジー」での解決に取り組む医療DX推進スタートアップへの出資を行いました。

社会貢献活動としましては、日本証券業協会が主導して証券業界全体で取り組んでいる「こどものみらい古本募金」というプログラムに参加しています。これは当社役職員が読み終えた書籍を専門の買取業者を通じてお金に換え、そのお金を子ども食堂や学習支援を行うNPO法人に寄付するという仕組みです。子どもの貧困をなくすという趣旨に賛同し、継続的に続けています。

事業の強み、実績について

私たちの事業の強みは、トレイダーズ証券が担う金融サービス事業とFleGrowthが担うITテクノロジーサービス事業をグループの中核事業に据え、2つの事業ドメインの連携を強化し早期に問題抽出・分析・改善が行える体制を構築することにより機動的な事業展開に資するシナジー効果を生み出していることです。

1990年代半ばに始まったに金融ビッグバンの一環として1998年に外為法が改正され、それまで決められた銀行でしか外貨の取引が行えませんでしたが、銀行以外の一般企業でも自由に外貨の売買を業務として行うことが可能となりました。また、その時期に一般個人がインターネットを利用できる環境が整ってきたことから、当社は1999年に創業し日本で初めて個人投資家向けにインターネットを通じた外国為替証拠金取引サービスの提供を開始しました。

現状だけではなくESGの取り組みでこれから目指すところ

冒頭申し上げました、金融リテラシー向上支援の取組み等を継続的に実施していくのは勿論ですが、重要課題であります「人財の育成並びに労働環境の充実」・「地球環境負荷低減」何れも一朝一夕に解決できるものではございません。先行事例を参考にさせていただき、効果的な打ち手を講じて粘り強く取り組んでまいります。

ESGに関する情報開示につきましては、法令の改正に則り、今回(2023年3月期)の有価証券報告書で「サステナビリティに関する考え方及び取組」の項目を新設しました。サステナビリティ関連の情報開示におきましては、ISSBが6月に公表したIFRS S1・S2基準のように今後より高度な開示が求められる趨勢です。開示とは株主や投資家をはじめとするステークホルダーの皆様との重要なコミュニケーションツールであると認識しておりまして、DXツールの利用等によりこれらの基準に対応できるように努めてまいります。

余談とはなりますが、「Sustainability サステナビリティ」という単語の中の「Sutain(サステイン)」は旧約聖書にも書かれていて、「支える」という意味を持つようです。私たちは多くのステークホルダーに支えられて事業を行っています。抽象的にはなりますが、私たちのできる「支える」部分は何か?ということを常に意識しつつ事業を展開することが中長期的な企業価値の向上と持続的な社会の実現に結びつくと考えています。

今後の上場企業の意義や投資家ユーザーへのメッセージ

上場企業としまして、「金融サービスを通じて社会・経済の発展に貢献する」、「金融サービスにおける革新者を目指す」、「健全な事業活動を通じて、関わる全ての人を大切にする」との経営理念を掲げ、投資家の皆様やお客様等全てのステークホルダーの方々との対話を通じて中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現の両立を目指してまいります。

私たちは創業来、約四半世紀の間、業界内の競争が激しい中で外国為替を中心とした金融デリバティブ取引サービスを個人投資家の皆様へ提供する事業を展開してきましが、お陰様でこのたびForbes Asiaが選ぶ「Forbes Asia’s 200 Best Under A Billion」に初めて選出されました。 これからも「お客様から最も信頼される”FinTech”グループとなり、だれもが未来に投資できる社会を実現させる」べく、新たな価値創造への歩みを進めてまいります。

(執筆・構成=川村 真史)