bell24
(画像=株式会社ベルシステム24ホールディングス)
君島 晴美(きみじま はるみ)
株式会社ベルシステム24ホールディングス 人材開発部 人事企画局 ダイバーシティ推進グループ グループマネージャー
ベルシステム24に新卒で入社後、人事業務を幅広く経験。2016年ダイバーシティ推進グループ新設時より女性活躍・LGBTQ+・男性育休・企業内保育所設置・健康経営など多岐に渡るテーマに取り組み、結果「プラチナくるみん」「えるぼし」「なでしこ銘柄」「PRIDE指標GOLD」「J-Winダイバーシティアワード大賞」「健康経営優良法人」などを取得。2023年3月より、人材開発部 人事企画局 ダイバーシティ推進グループおよび、ベルキッズ運営管理グループのグループマネージャー、サステナビリティ管掌 サステイナビリティ推進部 サステナビリティ推進グループのマネージャーを兼任。
株式会社ベルシステム24ホールディングス
1982年に国内初の本格的コールセンターサービスを開始以来、企業と生活者との接点となって、コンタクトセンターを中心とした幅広いアウトソーシング事業を展開しています。今後も業界のリーディングカンパニーとして、「ヒト」と「テクノロジー」の力を掛け合わせることで培ってきた運用知見をもとに、当社のパーパスである「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」を実現してまいります。

ESGにおけるこれまでの取り組み

30,000人を超える従業員を擁する弊社は、事業成長において、女性活躍を含む「人材と働き方の多様性」を経営上の最重要課題と考え、「多様な社員3万人の戦力最大化によりイノベーションを創出する」を経営戦略としています。そのため、弊社のESGに対する取り組みは、特に多様性と社員の働きやすさに重点を置き、様々なバックグラウンドを持った社員一人ひとりが職場から必要とされていると感じられ、安心して働き十分にその能力を発揮できる環境を提供することを重要視しています。

弊社の「ダイバーシティ・インクルージョン」の基本的な考え方は、全ての社員が仲間や会社から尊重され、信頼されていると感じながら仕事をすることでパフォーマンスを向上させることが可能ということです。 この考え方を基に、「ダイバーシティ・インクルージョン」の活動は、2011年に始まった女性活躍推進プロジェクトを皮切りに、社内プロジェクトとして開始しました。はじめは、仕事と子育ての両立やキャリアを考える社内のネットワーク活動や、外部の方を招いて講演会を開くことなどから取り組みを開始しました。 その後、これらの取り組みはさらに進化を遂げ、2016年にダイバーシティ推進グループが発足し、女性管理職比率の目標設定や社内の施策として女性管理職の育成、その他のダイバーシティ推進の活動も含めさらに広範な取り組みが行われるようになりました。そして2018年頃からは男性の育休取得推進や介護との両立、LGBTQ&ALLY支援活動などについても力を入れ始めました。昨年からは健康経営推進に向けたプロジェクトを設置し、社員の心身の健康サポートにも取り組んでいます。

社内浸透を図るため、組織面でも工夫をしています。トップダウン・ボトムアップ両面でのダイバーシティ推進のため、組織横断型のD&Iプロジェクトを立ち上げ、2023年度では53名が参画しています。チームに分かれてそれぞれのテーマに沿って、様々なダイバーシティ推進活動を行っています。

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また、多様性を持った人々が活躍できるための具体的な施策として、契約社員から正社員に登用する「タイプ変更」という制度を設け、正社員の多様性を拡げ、様々なバックグラウンドを持った方の活躍の場を広げています。 社員の多様性が拡がっていくことに伴い、育児や介護をはじめとする個々の事情を抱える方にとっても働きやすいと感じられる環境づくりにも力を入れています。その一環として、フルフレックスやリモートワークなどの制度を積極的に導入しています。

ESGの取り組みや事業の強み、実績

D&Iプロジェクトの一環として、MMMC(スリーエムシー)という有志社員による社内ネットワーク活動があり、今年は全国で115名が参加しています。以前は約70名ほどでしたが近年は100名を超えてきました。活動テーマとしては、「仕事と育児の両立」や、「LGBTQ&ALLY」、「メンタルヘルス」など様々です。一例としては、当時社内では制度としてなかった「副業」をテーマにした活動チームによって、他社事例やメリット・デメリットを検討し、最終的には経営層へ提案を行い当社の副業制度の導入に繋がった事例もあります。このように、様々な立場の方の意見を取り入れることはもちろん、メンバーが社内インフルエンサーとなって、ボトムアップで活動を浸透させて行きたいという狙いもあります。このようなD&I活動の効果もあり、男性の育休取得については、対象となる正社員の7割以上が育児休暇を取得しています。

キャリア・育成の視点でのコミュニケーションも工夫しています。当社では、本部制になっているので、グループ長が配下メンバーの通うオフィスにいない場合も多く、もともと遠隔マネジメントを行う機会が多くありました。そのため、1on1を積極的に行い、年に一回自己申告制度を設け、自身のキャリアについて意見交換を行う面談も行っています。また斜め面談という直属の上司以外の方と半年に一度面談をするという取り組みも始まりました。客観的視点でどのようなキャリアを築くのか、そのためにどのような経験や知識を身につける必要があるのかということを話す場として活用されています。

弊社のESGに対する取り組みは、外部認証によってその効果が証明されています。プラチナくるみん、「えるぼし」の最高位、なでしこ銘柄、「PRIDE指標」の最高位、「2023 J-Winダイバーシティ・アワード」における最高賞受賞といった認証は、同社の多様性への取り組みと、それが企業成長に貢献している証だと考えています。

現状だけではなくESGの取り組みでこれから目指すところ

弊社ではESGの取り組みをさらに深め、さまざまな背景を持つ人々が働きやすい環境を作ることを目指しています。これは、社員一人ひとりが自身に価値を感じることが、パフォーマンスや生産性を向上させるという考え方から生まれたものです。

その実現のために、今後は健康経営にも力を入れ、社員の健康を維持し、パフォーマンスを向上させることを目指します。同社は、健康経営の一環として、「健康経営マップ」を作成し、将来的に会社として重要な指標を設定し、対外的にもこれらの指標を公表しています。 また、労働安全衛生においては産業医の関わり度を全拠点で標準化し、全体のレベルを上げるための活動も行っています。社員が会社の一番の財産であり、その人材のパフォーマンス向上が会社として重要だという信念に基づいて、健康経営に力を入れていきます。

ダイバーシティ全般としては、「女性活躍推進・Well-being・マイノリティ活動支援・企業風土醸成」の4つの取り組みを柱とし、これらの取り組みを通じて、社員が会社に居場所があると感じ、自分が必要とされていると思って働ける環境を維持し続けることを目指します。

最終的にはダイバーシティ推進グループがなくても、会社の風土として根付いてるような文化を創っていきたいと考えています。

今後の上場企業の意義や投資家ユーザーへのメッセージ

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当社では様々なバックグラウンドを持つ30,000人以上の社員が全国38拠点で働いています。そのため、「人材と働き方の多様性」を経営上の最重要課題と考え、社員一人ひとりが、自分が必要とされていると感じ、120%の実力を発揮できるような制度と環境を整えることが、社会における意義だと考えています。弊社は、こうした取り組みを通じて、ESGへの貢献にも注力することで、社会に必要とされる企業であるように努めていきます。

(執筆・構成=川村 真史)