
「3人に2人がキャリアに悩んでいる」と言われるほど、働く個人の悩みは多様化・複雑化している。「やりたいことがわからない」「そもそも転職すべきかも判断できない」──こうした悩みは、従来の求人紹介だけでは解決しきれない。求人ありきではなく、自分なりの軸からキャリアを考える。そんな『キャリアコーチング』という選択が、いま静かに広がりつつある。
顧客満足度92%、利用者の90%以上が20~30代。個人から対価をいただく有料サービスだからこそ「最大限、その人のキャリアに向き合える」という強みを持つキャリアコーチング「マジキャリ」。今回は、同サービスを運営するアクシス株式会社 代表取締役・末永雄大氏に、近年のキャリア観の変化と、「やりたいこと(DOING)」ではなく「ありたい姿(BEING)」から考える自己分析のアプローチについて、お話を伺いました。
アクシス株式会社 代表取締役
YouTubeチャンネル「末永 雄大 / すべらない転職エージェント」の総再生回数は1,800万回以上。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック」。
現在、iU 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授、一般社団法人日本人材紹介事業協会(人材協)事業組織委員、EO Tokyo Central(起業家・創業者の世界的ネットワーク)31期コンテンツ理事/起業家ペイフォワード担当としても活動中。
「求人紹介をしない」キャリアコーチング──マジキャリとは何か
――はじめに、マジキャリがどんなサービスなのか、どういった方の、どんな悩みに応えるものなのかを簡単にご紹介ください。
末永 雄大氏(以下、末永氏):マジキャリは、20~30代に特化した、求人紹介をしないキャリアコーチングサービスです。まず自己分析からスタートし、その人の「強み」「やりがい」「苦痛」「ありたい姿(BEING)」を言語化し、それを元に、納得感があり市場価値も高められるキャリアプランを設計します。
その上で、「転職する」という選択をした方には、設計したキャリアプランに合った求人を、利害関係のない第三者の立場からセカンドオピニオンのように一緒に見極め、選考対策や内定獲得後の意思決定まで伴走します。
アクシスが10年以上培った転職エージェント事業のノウハウを活かしており、コーチは全員がキャリアアドバイザーや企業人事などの経験を持つプロです。一切妥協しないコミットを大切にしているからこそ、顧客満足度92%となっています。
「なんとなく転職」と「使えない自己理解」──3人に2人がキャリアに悩む時代の変化
――「3人に2人がキャリアに悩んでいる」というデータもあるとうかがいました。近年、働く個人のキャリアの悩みは、以前と比べてどのように変化していると感じますか。現場で増えている声を具体的に教えてください。
末永氏:現場で感じている変化は、大きく3つあります。
①他人の軸に流された「なんとなく転職」の増加
SNSの普及で、他人のキラキラした人生の「結果」だけが可視化されるようになったことが背景にあると思います。実態は地味で泥臭い毎日でも、切り取られた一面だけを見て「隣の芝が青く見える」状態になり、現状への不満や焦りを抱く人が増えました。加えて、転職エージェントの広告露出が増えた影響で転職そのものが身近になり、「個人の市場価値が重要だ」「今の仕事はAIによって代替される」といったメディアの言説も不安を煽っています。
結果として、「本当に転職するべきか」を深く考えないまま動き、ミスマッチや短期離職で苦しむ方が増えている印象です。他人の成功事例や不安を起点にすると、キャリアの主語が自分ではなくなってしまうのです。
②求人選びに繋がらない“自己理解”の増加
MBTI診断の流行や、キャリアコーチングの普及で、「自分のことを知りたい」という自己理解の欲求は高まっているように感じます。ただ、自己理解は「分かった気になること」がゴールではなく、実際の意思決定や行動に繋がって初めて価値があります。
ところが「自分のことは分かったけれど、現実でどうすればいいか分からない」というギャップに悩んだり、いざ求人選びになると結局は年収や社名といった条件面だけでなんとなく選んでしまったりと、自己理解をキャリアに落とし込めていない人が多い印象です。
③AIを使った自己分析の普及とその限界
最近は、事前にChatGPTなどのAIと壁打ちをして自己分析を進めてから面談に来られる方も増えてきました。AIとの対話で、自分の考えを整理しやすくなったこと自体は非常に良い変化です。一方で、AIの回答に対して「なぜその結論に至ったのか」という納得感が得られず、モヤモヤを抱えたまま我々プロに相談しに来る、というパターンも定着しつつあります。
――「やりたいことがわからない」と悩む方は、優秀な方にも多いとうかがいました。なぜ今、こうした悩みが増えているのでしょうか。背景にある時代やキャリア観の変化をどう見ていますか。
末永氏:「やりたいことがわからない」という悩みは、能力が低いから起きるものではありません。むしろ、真面目で優秀な方ほど抱えやすい悩みだと思っています。
背景にあるのは、社会全体の「分かりやすい正解」がなくなったことです。昔は、「いい大学に入り、いい会社に入り、そこで長く働く」という分かりやすい正解があり、全員にとって幸せだったわけではないにせよ迷った時に参照できるレールはありました。
しかし今は、転職、副業、独立、地方移住、フリーランスなど、キャリアの選択肢が非常に増え、その分、自分で選び、自分で決めなければならない時代になりました。
ところが、多くの人は「どう選ぶか」「何を基準に決めるか」を教わっていません。だからこそ、「やりたいことがわからない」という悩みが増えているのだと思います。
ただ、やりたいことは、頭で考えて突然見つかるものではありません。これまでの人生の中で何に喜びを感じ、何に苦しみ、どんな時に力を発揮してきたのか。その原体験の中に、自分なりの軸やありたい姿のヒントがあります。
だからマジキャリでは、「やりたいこと」を無理に探すのではなく、まず自分の価値観・強み・苦痛・ありたい姿を言語化することから始めています。

「そもそも転職すべきか」──求人紹介では応えきれない悩みと、“求人を紹介しない”を選んだ理由
――キャリアの悩みに対して、これまでは「転職エージェントに相談する=求人を紹介してもらう」が一般的でした。しかし、それだけでは解決できない悩みがある。それはどういう悩みで、なぜ求人紹介だけでは応えきれないのでしょうか。
末永氏:前提として、求人紹介は「どの会社へ転職するか」という意思決定には非常に有効です。一方で、近年増えている悩みは、その前段階にあります。「そもそも転職すべきなのか」「自分はどんなキャリアを目指したいのか」「5年後・10年後を見据えて今どんな選択をすべきなのか」といった問いです。
求人紹介は「転職先を選ぶ」ことには強い一方で、「キャリアの方向性を決める」ことには構造上、限界があります。その代表的なケースが、次の3つです。
①そもそも転職するべきかを迷っているケース
転職エージェントは、紹介した求人企業への入社が決まることで成果報酬をいただくビジネスモデルのため、構造上どうしても転職を前提とした支援になりやすく、「そもそも転職すべきか」という相談には応えにくい側面があります。
そこに納得できない方が我々に相談に来られるので、まずは自己分析やキャリアプランの設計から入り、「今このタイミングで本当に転職すべきか」を一緒に考えていきます。部署異動や副業など、転職以外の選択肢が最適なケースもあるため、そこもフラットにサポートしています。
②未経験転職や短期離職など、通常のエージェントでは支援難易度が高いケース
異業種への未経験転職や、短期離職を繰り返している方は、成果報酬型というビジネスモデル上、十分な時間をかけた支援が難しく、同業種への転職を勧められたり、大量の求人が送られるだけだったり、サポート自体を断られたりすることもあります。
しかし、そういう方こそ手厚いサポートを求めています。「失敗できない」という思いが強いからこそ、入社後の定着・活躍まで見据えて、一緒に自己分析をしながら求人を選ぶ、という我々のサービスがニーズに合っていると考えています。
③5年後・10年後を見据えて、段階的にキャリアを設計したいケース
中途採用は即戦力採用が基本のため、今の経験やスキルで転職できる企業は限られます。希望のキャリアを叶えるには、一足飛びではなく、2段階・3段階でキャリアを設計することが必要ですが、そこまでサポートしてくれる転職エージェントは基本的にありません。ビジネスモデル上、「今の転職で叶えたい条件」に合った転職先を紹介するのが限界だからです。
だからこそ、5年後・10年後を見据えて次の選択を考えたいという方が、我々に相談に来られるケースが非常に多いです。
――マジキャリは、有料サービスでありながら「求人を紹介しない」と明言されています。求人紹介で企業から報酬を得るほうがビジネスとしては成立しやすいはずです。なぜあえて“求人を紹介しない”という形を選んだのでしょうか。
末永氏:一番の理由は、何よりも相談者本人の人生と意思決定に向き合う支援をしたかったからです。企業からではなく、相談者個人から対価をいただく有料サービスだからこそ、転職する・しないも含めて、フラットにキャリアの意思決定を支援できます。
もともと弊社は14年前から「すべらないキャリアエージェント」という転職エージェントを運営していましたが、当時は対象が限られており、対象外の方のご相談はお断りしていました。ところが「お金を払ってでもぜひキャリア相談や選考対策をしてほしい」という声を多くいただくようになり、マジキャリを始めたのがきっかけです。
企業からお金をいただく転職エージェントのようなモデルだと、どうしても「取引先企業にマッチし、そこに転職したいニーズのある方」しかサポートできません。「そもそも転職するかどうか迷っている」「どのような転職先を考えればいいか分からない」という方に、企業とは一切利害関係のない立場から、向き合う。そこに「個人からお金をいただく」というビジネスモデルの意義があります。
求人を紹介しないというのは、単に求人を持たないという意味ではなく、企業との利害関係に引っ張られず、その人にとって最善の意思決定に向き合うということ。そこに、マジキャリの存在意義があると考えています。
「答えをもらう」から「答えを引き出す」へ──キャリアコーチングは何が違うのか
――「キャリアコーチング」という言葉自体、まだ世の中に広く浸透しているとは言えないかもしれません。転職エージェントやキャリア相談と、『キャリアコーチング』は何がどう違うのか、改めて整理して教えてください。
末永氏:まず、転職エージェントとの違いは、ビジネスモデルそのものです。転職エージェントは、転職した先の企業から成果報酬を受け取るビジネスモデルのため、主なクライアントは求人企業であり、企業の採用支援という側面が強いサービスです。
一方でキャリアコーチングは、個人の方から対価をいただいています。個人向けスクールに近く、我々は「キャリアのパーソナルトレーニング」や「キャリア版ライザップ」という表現をすることも多いです。求人紹介は一切行わない分、120%相談者個人に向き合い、多様なキャリアの悩みに対応できるのが特徴です。
次に、一般的な「キャリア相談」との違いです。「キャリア相談」は、キャリアの悩みをプロに相談してアドバイスをもらうサービス全般を指す広い言葉で、公的機関のキャリアコンサルティングや、心理面に寄り添うキャリアカウンセリングなどもここに含まれます。その中で「キャリアコーチング」との違いは大きく2つあります。
①「答えをもらう」か、「答えを引き出す」か
一般的なキャリア相談は、プロが「こうするといいのではないか」と助言を提示する、いわば答えをもらいに行く場です。対してキャリアコーチングは、答えを提示するのではなく、あくまで本人の中にあるものを引き出すことを重視します。
主役はあくまで相談者本人で、コーチはその気づきを促す役割です。本人の無意識の中にある強みや価値観を、問いを重ねながら一緒に言語化していく。「答えをもらう」のがキャリア相談、「自分の中から答えを引き出す」のがキャリアコーチング、と言うと分かりやすいかもしれません。
②アドバイスで終わるか、行動まで伴走するか
キャリア相談は、アドバイスをして終わり、という単発型のケースが多いです。対してキャリアコーチングは、自己分析をして方向性が決まった後、それを実際の行動に移すところまでサポートします。具体的には2~6ヶ月ほどの期間をかけ、設計したキャリアプランに合った求人を見極めたり、必要に応じて応募・面接対策・内定後の意思決定まで進めたりします。場合によっては、転職先へ入社した後の定着・活躍までコーチが伴走します。この実行支援まで踏み込む点が、大きな違いです。
――マジキャリでは「やりたいこと(DOING)」ではなく「ありたい姿(BEING)」を言語化することを重視されています。なぜBEINGから考えることが、納得できるキャリアにつながるのでしょうか。
末永氏:私たちがBEINGを重視する理由は、BEINGがDOINGを決めるからです。
「何をやりたいか」というDOINGは、環境や年齢、ライフステージによって変わります。20代と30代、40代でやりたいことは変わって当然ですし、世の中の変化で仕事そのものも変わっていきます。
一方で、「どんな状態で働いている時にやりがいを感じるのか」「どんな価値を誰に届けたいのか」というBEINGは、その人の人生を通じて大きくは変わりにくいものです。
例えば、同じ「営業職に興味がある」という方でも、「人に寄り添って役に立ちたい」のか、「成果で評価されたい」のか、「難しい課題を解決したい」のかで、選ぶべき環境はまったく変わります。DOINGだけを見ると同じ職種や業界に見えても、BEINGまで掘ると合う会社・合わない会社が見えてきます。
さらに、BEINGが明確になると、入社後の定着・活躍にもつながります。仕事では必ず壁にぶつかりますが、何のためにこの環境を選んだのかが明確な人は、目先の不安や他人の評価に振り回されにくい。
だからこそ、マジキャリでは「何をするか」よりも先に、「どうありたいか」を言語化します。
「強みは、無意識に当たり前にできてしまうこと」──一人ではたどり着けない気づきの仕組み
――自己分析では「幼少期から過去を振り返る」とうかがいました。一人での自己分析ではたどり着けない気づきが生まれるのは、どういう仕組み・関わりがあるからなのでしょうか。
末永氏:一人での自己分析には、大きく2つの限界があると考えています。
1つ目は、主観の枠から出られないことです。
そもそも「強み」とは、その人が無意識に、当たり前にできてしまうことです。だからこそ強みなのですが、本人にとっては「できて当たり前」なので、基本的に自分では気づけません。他者から見れば圧倒的な武器でも、本人は苦労している感覚すらなく、過去を振り返っても「自分には強みなんてない」と捉えてしまう。これはやりがいや価値観、無意識に避けている苦痛や弱みにも同じことが言えます。
2つ目は、誰にでも「思考の癖」があることです。人は幼少期から繰り返す無意識の思考パターンを持っており、それが正しい自己認知や解釈を妨げる要因になっています。
「どうせ自分はこの程度」と過去の失敗から可能性に蓋をしてしまう人、「普通はこうだから」と一般論に流される人、完璧主義で少しでもできていないと「自分には向いていない」と結論づけてしまう人。こうした思考の癖は誰にでもあり、一人で考えている限り、そのフィルターがかかったまま自分を解釈してしまうのです。
コーチングでは、こうした「一種の囚われ」に対して、キャリア支援のプロである第三者が客観的な視点で介入します。本人が言語化できていない部分を、「なぜそう思ったのですか?」「その時どう感じましたか?」と問いを重ねて深掘りし、無意識に大事にしている価値観や、判断の軸を客観的に指摘し、言語化をお手伝いします。この「壁打ち」を通じて、自分一人では見えなかった思考の癖や本当の欲求に気づくことができます。
これは、AIとの壁打ちだけでは代替できない部分だと思っています。AIは情報整理や言語化の壁打ちには非常に有効ですが、キャリアの悩みはロジックだけで整理できるものではありません。話しているときの表情や声のトーン、言葉に詰まる瞬間、本人が避けているテーマなど、非言語の情報も含めて向き合う必要があります。
相手の感情に寄り添いながら、本人にも言語化できていないものを深掘りすることは、人間のコーチにしかできない領域だと考えています。
――マジキャリは、人材紹介事業を10年以上運営してきたアクシスが立ち上げたサービスです。エージェント事業で培ったノウハウが、コーチングにどう活きているのでしょうか。“求人を紹介しない”のに転職支援に強い、という独自性の理由を教えてください。
末永氏:人材紹介事業を14年以上運営してきた弊社が運営していることは、マジキャリの大きな強みになっています。理由は、自己分析だけで終わらず、現実のキャリア選択に落とし込めるからです。
キャリアコーチングの中には、自己理解を含む内省には強くても、実際の転職市場や求人のリアルとの接続が弱いサービスもあります。転職エージェントは求人には詳しいものの、本人の価値観やありたい姿を深く掘り下げる時間を十分に取りにくい。
マジキャリは、その両方を接続できることが特徴です。
人材紹介事業を通じて、どんな経験が市場で評価されるのか、どの職種にどんなスキルが求められるのか、企業が面接で何を見ているのか等を理解しているからこそ、自己分析で見えた強みを現実的かつ具体的なキャリアプランに落とし込むことができます。
自己理解と市場理解の両方をつなげられること。これが、マジキャリが「求人を紹介しない」にもかかわらず、転職支援に強い理由だと考えています。
大手鉄道会社12年目の技術者が「自分の強み」に気づいた瞬間──“自分なりの軸で生きる”社会へ
――実際に、卒業生の方にはどのような変化が生まれていますか。差し支えない範囲で、印象的なエピソードを一つ教えていただけますか。
末永氏:たくさんありますが、直近で印象的だったのは、大手鉄道会社で12年間、技術職として働いてこられた30代の男性です。その方は、毎年のように部署が変わる環境(12年で7つの職場を経験されていた)で疲弊し、面談をさせていただいた当時は「自分の強みが何なのか」も「この先どんなキャリアを描きたいのか」も、すっかり見失っていました。転職エージェントに登録しても書類選考が通らず、「このまま我慢して今の会社に残るしかないのか」と諦めかけていた状態でした。
その方が変わったきっかけは、自己分析のセッションの中にある「仕事の棚卸し」でした。過去の実績・経験を元にコーチが深掘りをしていくと、ご本人が無意識にやっていた「仕組み化してフローを改善する」という強みが浮かび上がってきたんです。
ご本人にとっては当たり前すぎて、それが強みだと認識していなかったものの、「我慢せずに当たり前にできてしまうことこそ、あなたの最大の強みですよ」とコーチがお伝えしたことで、大きな自信につながったようでした。同時に「本音ではなく、相手に合わせた無難な言葉で自分を説明してしまう」という思考の癖も浮かび上がってきました。
結果として、その方の強みである「仕組み化力」と、前職で力を入れてきた「教育」が噛み合う、製造業の技術教育職に納得のいく形で内定・意思決定されました。単なる転職ではなく、「自分の人生をどう生きたいか」から選び取った決断だったと思います。
上記の方は適職を見つけて活躍されていますが、私たちの支援は「転職すること」だけがゴールではありません。
20代のシステムエンジニアの方は、「このままでいいのか」という漠然とした不安を抱えてご相談に来られましたが、対話を重ねる中で「親孝行」「自分軸で選択する」といった、ご本人でも気づいていなかった価値観にたどり着き、最終的に「父の会社を継ぐ」という目標を見つけて、あえて転職せず現職に残る決断をされました。
現職を「経営者に必要な経験を積む場」として捉え直し、社内のプロジェクトにも自ら手を挙げるようになったそうです。
この例のようにマジキャリは求人を紹介しないからこそ、こうしたフラットな結論に一緒にたどり着けるのだと思います。
共通しているのは、皆さん最初は自分の強みや本当のありたい姿が見えていなかったということです。それが対話を通じて言語化されると、転職するにせよ、しないにせよ、自分で納得して次の一歩を選べるようになる。他人の物差しではなく、自分なりの軸で、自分の人生を選べるようになる。この変化こそが、私たちが一番大事にしているところです。
「他人の物差しではなく、自分なりの軸で人生を選ぶ」──マジキャリが目指す社会

――アクシスは「誰もが自分なりの軸でまっすぐに生きられる社会にする」というビジョンを掲げています。求人を紹介しないキャリアコーチングという事業は、この大きな思想とどうつながっているのでしょうか。
末永氏:私たちが目指すのは、「誰もが自分なりの軸でまっすぐに生きられる社会にする」ことです。マジキャリは、まさにそのビジョンを体現するサービスだと考えています。
今は、年収・会社名・肩書き・SNSで見える他人の成功など、外側の評価軸が非常に強い時代です。その中で、自分が本当は何を大切にしたいのかを見失ってしまう人が増えています。求人紹介だけでは、その問いには向き合いきれません。
もちろん転職は大事な選択肢の一つですが、その前に自分の価値観・強み・苦痛・ありたい姿を言語化し、自分なりの軸を持つことが必要です。
マジキャリは、求人を紹介しないからこそ、転職ありきではなく、その人にとって本当に必要な意思決定に向き合えます。転職する人も、現職に残る人も、副業を始める人も、数年後を見据えて今の環境で経験を積む人もいます。大切なのは、どの選択をするかではなく、その選択を自分の軸で納得して決められているかです。
一人ひとりが、他人の物差しではなく、自分なりの軸でキャリアを選び、人生をまっすぐに歩めるようになる。その積み重ねが、私たちのビジョンである「誰もが自分なりの軸でまっすぐに生きられる社会」の実現につながると考えています。
――最後に、いまキャリアに悩んでいる方、「やりたいことがわからない」と感じている方に向けて、伝えたいことがあればメッセージをお願いします。
末永氏:「やりたいことがわからない」と悩んでいる方に伝えたいのは、焦って答えを出そうとしなくていい、ということです。やりたいことは、無理にひねり出すものではなく、自分の原体験を丁寧に振り返った先に、少しずつ見えてくるものです。
やりたいことが分からないのは、あなたに軸がないからではありません。まだ、自分の中にある価値観や強みが言語化されていないだけです。
世の中には、「好きなことを仕事にしよう」「早く転職したほうがいい」「市場価値を上げよう」といった言葉が溢れています。もちろんそれらは間違いではありませんが、他人の正解をそのまま自分に当てはめても、幸せなキャリアにはつながりません。
大切なのは、自分がこれまで何に喜びを感じ、何に苦しみ、どんな時に力を発揮してきたのかを丁寧に振り返ることです。その中に、自分なりの軸や、ありたい姿のヒントがあります。
キャリアにおいて大事なのは、誰かにとって正しい選択をすることではありません。転職も、現職に残ることも、副業も、学び直しも、すべて手段です。
まずは、自分がどうありたいのかを考えてみてください。その軸が見えてくれば、次に何を選ぶべきかは、少しずつ見えてくるはずです。