「病気や怪我で働きたくても働けない」
「無職なので、どこからもお金を借りられない、親にも頼れない」
そんな状況にお困りではありませんか?
生活保護制度は、「資産や能力をすべて活用してもなお生活に困窮する人たちを支援する制度」です。実際、2023年3月時点で、約203万人が生活保護を受給しています。
しかし、生活保護を受けるための条件や受給資格、手続きが分からない人もいるでしょう。
そこで本記事では、フジサンケイグループが創刊した「日本初のネット専門マネー月刊誌」の流れを汲むNET MONEY編集部が、生活保護を受給する条件と申請方法について分かりやすく解説します。
生活保護を受給する条件と金額
対象条件 (すべて満たす必要なし) |
・収入が最低生活費に満たない人 |
---|---|
・病気や障害などによって就労できない人 | |
・預貯金や自動車などの資産を保有していない人 | |
・親族から経済的な援助が受けられない人 | |
・公的融資制度利用できない人 | |
金額 | 最大25万円以上 |
お金が必要で生活に困っている人でも、この記事を読むことで、生活保護を受けるための条件と申請方法が分かり、結果お金を借りられるかもしれません。
生活保護をスムーズに受けるための対策や注意点も解説しているので、生活を立て直すための第一歩に役立ててください。
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生活保護の受給条件!世帯収入が最低生活費より低い人が対象
生活保護の受給条件は、世帯収入が最低生活費より低いことです。
最低生活費は、家賃や食費、光熱費など最低限の生活を送るために必要な費用を指します。具体的な最低生活費は、居住地域や家族構成などによって異なります。
ただし、収入が最低生活費を下回っているだけでは生活保護の受給資格を満たしません。
生活保護を受けるには病気や障害で働けない、親族から経済的な援助を受けられないなど、さまざまな条件を満たす必要があります。
ここでは、生活保護の受給条件について詳しく解説します。
世帯収入が最低生活費に満たないこと
生活保護を受けるための条件として、世帯収入が最低生活費に満たないことがあげられます。
最低生活費とは、日本国憲法の第25条で保障される「健康で文化的な最低限度の生活」を送るために必要な費用のことです。
具体的には、家賃のほか 食費、光熱費など生活に必要な費用を合計した最低の合計金額を指します。
現時点で働いている人や親からの仕送りがある人、年金受給者も、毎月の収入が最低生活費に満たないのであれば生活保護の申請が可能です。
たとえば、東京都23区在住、40歳独身男性の最低生活費は130,120円であるため、月収が13万円に満たない場合は生活保護を受給できます。
40歳独身男性の最低生活費は、一番低い場合で100,940円です(※住宅扶助も含む)。
つまり世帯月収が10万円、世帯年収が120万円を下回っている家庭は、生活保護の受給対象となり得ます。
一方で、世帯主に収入がなくても配偶者や子供が収入を得ている場合、または失業保険などを受給している場合は、合算した金額が最低生活費を上回るのであれば生活保護を受給できません。
具体的な最低生活費は家族構成や居住地域などによって異なります。
そのため、自分の生活保護受給額を知りたい場合は、自分が住んでいる地域の最低生活費を調べましょう。
収入状況は雇用契約書や給与明細などの書類で確認されるので、自分の住んでいる地域の最低生活費と比較して、生活保護を受給できるか確認しましょう。
病気や障害などによって働けない状態であること
生活保護を受けるための条件として、働けない状態であることがあげられます。病気や障害、うつ病などによって働けないと判断されれば、生活保護を受給できます。
現時点で働いている人も、病気や障害などによって最低生活費以上の収入を得られないのであれば申請が可能です。
生活保護の申請時に診断書など医療機関の見解を提出する必要はありません。
診断書がないと、うつ病やパニック障害などは証明しにくいですが、日記などを提出すれば考慮してもらえる場合があります。
しかし、生活保護の申請後、福祉事務所からの検診命令によって、指定された医療機関への受診を案内されることがあります。
医療機関への受診は公費負担ではありますが、福祉事務所の指示に従わなければ生活保護を受給できません。
生活保護を申請した後には、医療機関へ受診しなければならない場合があることを念頭に置きましょう。
<無職の人も生活保護を申請できる>
生活に困窮している無職の人は、求職活動を続けているにもかかわらず就業先が見つからない場合、生活保護を申請することができます。
働きたくても就業先がなく生活が苦しい場合は、最寄りの福祉事務所に相談してみましょう。
なお、働ける状況である人は、生活保護を受給しながら求職活動を続ける必要があります。
福祉事務所では就労支援として仕事探しをフォローしています。
また、厚生労働省が運営するハローワークでも仕事を探せるので求職活動に利用しましょう。
預貯金や自動車などの資産を保有していないこと
資産を保有していないことも、生活保護を受けるための条件です。
生活困窮者が生活保護を申請する際には、まずは持っている資産を売却し、その収入を生活費として利用することが求められます。
第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
資産とみなされるものは下記のとおりです。
- 最低生活費以上の預貯金
- 使っていない土地や別荘
- 金銭的価値が高い宝飾品
- 自動車
- 終身保険や養老保険など貯蓄性がある生命保険
- 株など
自動車は原則として資産とみなされるため、生活保護の申請をした際は売却を求められます。
ただし、足が悪く通院に必要な場合や公共交通機関がない場所に住んでいる人など、生活で車が必要だと判断された場合は所有が認められます。
住居に関しては、住宅ローンを完済しているのであれば手放す必要はありません。
エアコンやパソコン、テレビなどは生活必需品としてみなされるため、所有したまま保護費を受給できます。
また125cc以下のオートバイや原付も、日常生活用品として認められます。
ただし、生活必需品であっても、売ることで多くの金額を得られると判断された場合は、売却しなければなりません。
たとえば、複数台のパソコンを所有している人は、1台を残してあとは売却するよう命じられる場合があります。
親族から経済的な援助が受けられないこと
身内から経済的な援助を受けられないことも、生活保護を受給するための条件です。
生活保護法第4条2項によって、身内からの援助は生活保護よりも優先されることが決められているためです。
民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
たとえば、同居できる身内がいる、親から仕送りしてもらえる、といった場合は、生活保護の受給が認められません。
生活保護の申請をすると申請者に聞き込みが行われたあと、実際に戸籍も取り寄せて親族がいないか確認されます。
その後、親族に援助する意思があるかどうかを確認する扶養照会が行われます。扶養照会の対象は、3親等以内の直系血族です。
親等 | 血族関係 |
---|---|
1親等 | 親、子ども |
2親等 | 祖父、祖母、孫、兄弟姉妹 |
3親等 | 曽祖父、曾祖母、ひ孫、甥、姪、叔父、叔母 |
親族全員が扶養できないと回答した場合や返送がない場合は、身内から経済的な援助を受けられないとして生活保護の受給が認められます。
仮に親族が資産を多く所有しており扶養能力があったとしても、援助を断られた場合は生活保護の対象となります。
ただ、親族からの虐待など特別な事情がある場合は扶養照会を回避できます。
特に虐待やDVを受けている場合、親族に居場所が知られてしまうリスクがあるため、扶養照会などの連絡を控えてもらうことができます。
親族に居住地が知られたくないなど特別な事情がある場合は、調査を行わないように申し入れましょう。
他の公的融資制度を利用できないこと
他の公的融資制度を利用できない状況である場合は、生活保護の受給対象となります。
生活保護は、困窮状態にある人が最低限度の生活を維持するためのセーフティネットとして位置づけられています。
そのため、生活保護を申請する前に、申請者が利用可能な他の公的制度がないか調査されます。
具体的には、生活福祉資金貸付制度、求職者支援資金融資、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度などの制度が該当します。
生活保護制度以外の公的融資制度を下表にまとめたので参考にしてください。
対象の人(状況) | 公的融資制度の種類 |
---|---|
低所得者、高齢者、障害のある人など | 生活福祉資金貸付制度 |
無職で家賃の支払いが困難な人 | 住居確保給付金 |
無職で就職先を探している人、在職中で転職を目指している人 | 求職者支援資金融資 |
ひとり親で20歳未満の子どもを扶養している人 | 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 |
生活困難で緊急でお金を借りたい人 | 緊急小口資金貸付 |
教育費が必要な人 | 緊急教育一般貸付 |
公的融資や公的給付を受けるまで生活に困窮している人 | 臨時特例つなぎ資金貸付制度 |
信用情報に不安がある人 | 共済組合 |
特に「住居確保給付金」という家賃を支援する制度が生活保護の受給前によく利用されています。
住居確保給付金とは、仕事を離職したときなど、次の仕事を探すまでの間、 家がなくならないようにするために家賃を支援する制度です。
預貯金が一定額以下で、失業手当で少しだけお金が入ってくるといった状況の人を対象に、一定期間支給されます。
生活保護制度は、あくまでも最後の砦として認識し、他の制度との連携を図りながら、生活の立て直しを目指しましょう。
生活保護の金額はいくらもらえる?申請が通らないのは約1割!
結論から言うと、生活保護は最大25万円以上もらえる場合があります。申請が通らないのは約1割と少ないことから、生活保護の審査基準はそれほど厳しくありません。
生活保護の財源は税金であり、1年間に約3.7兆円もの資金が生活保護費に充てられています。
生活保護を申請した際は不正受給を防止する目的で身辺調査が徹底的に行われるため、条件を満たしていない人や調査に応じない場合は生活保護を受給できません。
具体的にいくらもらえるのか、審査基準はどうなのか確認しましょう。
生活保護は最大25万以上もらえる!条件別の支給例を紹介
生活保護の申請に通ると、厚生労働省の定める最低生活費を上限に不足する分を支給してもらえます。
最低生活費とは、一世帯が最低限の生活を送るために必要な1ヵ月分のお金のことです。
具体的な金額は世帯の人数や居住している地域、子どもの人数や障害の有無などで異なります。
そこで、東京23区と鳥取県倉吉市を例として、年代および世帯別に受給金額を下表にまとめました。
20代の単身世帯の受給額
東京23区 | 鳥取県倉吉市 | |
---|---|---|
生活扶助基準額 | 76,420円 | 68,430円 |
住宅扶助基準額 | 53,700円 | 34,000円 |
合計 | 130,120円 | 102,430円 |
30代の夫婦ふたり世帯の受給額
東京23区 | 鳥取県倉吉市 | |
---|---|---|
生活扶助基準額 | 123,490円 | 110,310円 |
住宅扶助基準額 | 64,000円 | 41,000円 |
合計 | 187,490円 | 151,310円 |
30代女性と小学生のふたり世帯(母子家庭)の受給額
東京23区 | 鳥取県倉吉市 | |
---|---|---|
生活扶助基準額 | 121,970円 | 109,010円 |
母子加算 | 18,800円 | 16,100円 |
児童養育加算 | 10,190円 | 10,190円 |
住宅扶助基準額 | 64,000円 | 41,000円 |
合計 | 214,960円 | 176,300円 |
子供がいる4人家族の受給額
東京23区 | 鳥取県倉吉市 | |
---|---|---|
生活扶助基準額 | 175,230円 | 143,710円 |
児童養育加算 | 20,380円 | 20,380円 |
合計 | 195,610円 | 164,090円 |
このように、東京23区と鳥取県倉吉市では、同じ世帯構成であっても、最低生活費や具体的な受給額に大きな差が生じます。
生活保護を申請する際には、こうした地域格差や世帯構成による差を理解し、自身の状況に当てはめて具体的な支給額を算出することが重要です。
生活保護の身辺調査や審査は厳しくない
生活保護の身辺調査や審査の基準は厳しいわけではありません。
資産や収入がなく、生活が苦しい人であれば誰でも受給できます。
実際、生活保護を申請した人に対して9割ほどの世帯が新たに生活保護を受給しています。
年月日 | 申請数 | 保護開始世帯数 |
---|---|---|
2023年2月 | 19,321件 | 17,300世帯 |
2032年3月 | 24,493件 | 22,190世帯 |
ただし、生活保護の申請をした後は、不正受給を防ぐ目的で身辺調査が徹底的に行われます。
主に身辺調査では、下記のことが調べられます。
- 本当に資産がないのか
- 働ける状態ではないのか
- 助けてくれる親族はいないのか
身辺調査の結果、本当に資産がないことや働ける状態でないことが明らかになれば、生活保護の受給が認められます。
生活保護の申請から受給者になるまでの流れ
生活保護の受給者になるためには、居住地の福祉事務所窓口で申請して、審査を受けなければなりません。
生活保護の申請から受給者になるまでの流れを以下5つのステップに分けて、わかりやすく解説します。
1.居住地の福祉事務所窓口で申し込む
生活保護を受けるには、まず居住地の福祉事務所窓口で申込む必要があります。
多くの場合、福祉事務所は市役所内に設置されています。
最寄りの福祉事務所がどこにあるのかわからない場合は、厚生労働省の公式サイトから確認してください。
住んでいる地域に福祉事務所がないのであれば、町村役場にて申請が可能です。
実際申請する場合、申請書類を記載し、通帳のコピー・住居の賃貸契約書など、収入や預貯金についての状況がわかる「挙証資料」を提出する必要があります。
決まった住居がない人や住民票のある場所と異なる地域に住んでいる人は、現在住んでいる場所の最寄りの福祉事務所にて生活保護を申請できます。
ネットカフェを転々としている人や路上生活をしている人など、現時点で住所がない人は、申請する役所を現住所として申し込みしましょう。
病気や障害などの事情があり、直接福祉事務所に来所できない場合は、電話で相談が可能です。
電話相談後、ケースワーカーが自宅や医療機関に訪問し、申請の意思が確認できれば申し込みを進めてもらえます。
ほかにも、生活保護はFAXや郵送でも申請できます。
地方自治体の公式サイトにある申請書を印刷し、必要事項を記入した上で申し込みましょう。
ただ、FAXや郵送で生活保護の申請をした場合は、後日福祉事務所への来所を求められる可能性があります。
なお、インターネットで生活保護の申請はできません。
2.家庭訪問等の調査を受ける
生活保護の申請をしたあとは、ケースワーカーによる家庭訪問等の調査を受けます。
家庭訪問の目的は、主に生活状況の確認です。
自力で生活できるかどうか、金銭的に価値が高い資産を隠し持っていないかどうかを調査されます。
いつもの生活リズムや健康状態、家計のやりくり状況に加え、これまでどのような生活をしてきたのか、「生育歴」などについて詳しく聞かれる場合が多いので、正直に答えましょう。
家庭訪問は、生活保護の申請から1週間以内に実施されます
ただ、家庭訪問をいつ実施するのかは事前に教えてもらえません。
留守が続けば居住地の確認ができないことから生活保護の審査に通らない可能性があるため、生活保護を申請したあと1週間以内は、なるべく自宅で過ごすようにしましょう。
なお、生活保護の申請をしたあとは、家庭訪問とは別に下記の調査もおこなわれます。
- 預貯金の有無
- 生命保険の加入状況
- 扶養義務者の有無
- 国民健康保険の加入状況
- 児童手当の受給状況
- 不動産の保有状況
また、審査の途中で下記のような書類の提出を求められる場合があります。
- 預金通帳
- 給与明細
- 年金・障害者手帳
- アパート契約書
- 公共料金の領収書
- 健康保険証など
よりスムーズに審査を進めるためにも、必要書類は予め用意しておきましょう。
また生活保護費を受け取る際は、認印も必要です。
上記の調査を経て、生活保護を受給できるかどうかが判断されます。
3.審査結果の連絡を受ける
家庭訪問がおこなわれたあとは、原則として生活保護の申請から14日以内に電話または郵送で審査結果の連絡を受けます。
生活保護を受けられる場合は保護開始決定通知書を、受けられない場合は保護却下決定通知書を、福祉事務所の窓口または郵送で受け取ります。
保護却下決定通知書には保護を受けられない理由が書かれているため、再度申請を希望する際は参考にしましょう。
4.保護費を受給する
生活保護の受給が決まった場合は、福祉事務所へ来所し保護費を受給します。
最初の支給は手渡しで、2回目以降は銀行口座への振り込みで受給されます。
支給日は自治体によって異なりますが、毎月3日や5日に保護費が振り込まれる自治体が多い傾向です。
また、生活保護の受給に期限はありません。
収入が基準の生活費を下回る状況が続くようであれば 、受け続けることになります。
収入が最低生活費を上回るようになれば、そこで停止となります。
5.生活保護受給者は毎月、収入を報告する
生活保護受給者は、毎月の収入を報告する必要があります。
生活保護を受給している間は、世帯員全員の収入申告を行う義務があるためです。
収入申告は、主にケースワーカーの訪問時に行います。
ただし、収入に変動があった場合、生活保護受給者はその旨をただちに申告しなければならないことが生活保護法第61条によって義務付けられています。
第六十一条 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があったとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があったときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。
たとえば以下該当する場合は、ただちに申告しなければなりません。
- 就労先が決まった場合
- 仕事が変わった場合
- 以前よりも収入が増えた、または減った場合
- 子どもが就職した場合
- 子どもが給与を得た場合
- 年金や手当などをもらい始めた場合
- 仕送りなどをもらい始めた場合
- 生命保険などの給付金を受け取った場合など
収入申告を怠ったことが発覚すれば不正受給とみなされるため、収入に変動があった場合は、すみやかに担当のケースワーカーへ伝えましょう。
生活保護受給者の税の申告状況を確認し、実態と一致しているかどうかを調査されるので、不正受給は必ず発覚します。
悪質な不正受給と判断された場合には、刑事告発や告訴に進むこともあるので注意しましょう。
また下記に該当する場合も、すぐにケースワーカーへ伝える必要があります。
- 家族が増えたときや減ったとき
- 入院したときや退院したとき
- 現在住んでいる家をかわろうとするとき
- 家賃や地代がかわるとき
- 勤め先の健康保険が使えるようになったときなど
生活保護に関するよくある質問
生活保護は生活に困窮する人にとっては便利なサービスですがいざ利用しようとすると疑問が湧いてきます。
そこで生活保護に関するよくある質問をまとめました。
それぞれていねいに解説していきます。
- 趣味で集めていたものも資産とみなされる?売らなければならない?
- 趣味で集めていたものが金銭的に価値があるものとみなされた場合は、生活保護を受給する際に売却を求められます。
生活保護を受給する条件として、資産価値が高いものは売却して生活費に充てることが定められているためです。
具体的には生活保護の申請時に所有する資産について詳細な「資産通告」を行う必要があります。
「資産通告」とは、自動車、バイク、貯蓄性のある生命保険、宝石などの貴金属など、所有する資産について正確に申告することを指します。
さらに、生活保護を受給中も、自分の所有する資産の状況を定期的に福祉事務所に報告する義務があります。
そのため、自動車整備を趣味とする人が自動車を所有している場合は、売却を求められます。
またゲーム機やゲームソフトが大量にある場合や複数台のパソコンがある場合は、一部を売却するよう求められることがあるでしょう。
ブランドもののバッグや宝飾品なども、場合によっては売却を求められます。
一方、資産価値が低く、売却するより生活に役立てたほうがいいと判断された場合は所有が認められます。
趣味で集めていたものを売却しなければならないかどうかは、金銭的な価値の有無で判断されることを念頭に置きましょう。
- 自動車を持っていても、生活保護を受給できますか?
- 生活保護を受けるには、原則として自動車を売却しなければなりません。
自動車は資産となることから、処分して生活維持のために活用しなければならないためです。
しかし、次に該当する場合に限り、自動車の所有が認められます。自動車の所有が認められる場合- 仕事で自動車を使用する場合
- 障害を持っている人が通院や通勤で使用する場合
- 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住、または勤務している場合
上記に該当しない場合は、原則として自動車の売却を求められるため、自動車を手放したくない場合は国の貸付制度や給付金制度を利用できないか確認してみましょう。
- 無料低額宿泊所はただで住める?
- 無料低額宿泊所は施設によって料金が異なるため、必ずただで住めるわけではありません。
ただ、生活保護の受給が決まれば、保護費に宿泊料分が加算されます。
生活保護の受給が決まれば、貯金などから宿泊料を支払う必要はないため、実質的な損失はありません。
無料低額宿泊所のなかには食事や入所者への相談対応、就労指導等のサービスを提供する施設もあります。
現時点で住む場所がない人でも、施設のサービスなどを活用することによって、生活を立て直せる可能性があります。
居住地がなく生活が困窮している人は生活保護の申請をするとともに、無料低額宿泊所を利用したい旨を併せて伝えましょう。
- 現在の家賃が住宅扶助を上回っている場合でも保護を受けられますか?
- 現在の家賃が住宅扶助の上限を上回っている場合でも、条件を満たしていれば生活保護を受給できます。
ただ家賃が高くても、住宅扶助を超えるお金は支給されません。
引き続き現在居住している住居に住み続けるのであれば、住宅扶助で不足する分は生活扶助から補う必要があります。
とはいえ、生活扶助は最低限の生活を送るためのお金です。
生活扶助を家賃に充てる場合は、より生活が苦しくなる可能性があるでしょう。
現在の家賃が高い場合は、住宅扶助の上限内で暮らせる家へ転居することをおすすめします。
場合によっては、ケースワーカーから住宅扶助の上限内で暮らせる家へ転居することを求められる可能性があるため注意しましょう。
- 生活保護費の一部を貯金しても大丈夫ですか?
- 生活保護費の一部を貯金しても大丈夫です。
ただし仕事をして得た給与や親族からの仕送りなどを貯蓄する場合は、ケースワーカーに申告しなければなりません。
収入申告をしなければ不正受給となり、保護費の返還や徴収を求められるため注意しましょう。
- 経済的能力がない家族と同居する場合、個人的に保護を受けられますか?
- 生活保護の受給は世帯単位でおこなわれるため、経済的能力がない家族と同居する場合、個人的に保護は受けられません。
どうしても個人で生活保護を受けたいのであれば、別の住宅に引っ越したり生計は別であることを証明したりする必要があります。
ただ、場合によっては個人的に保護を受けることが可能です。
たとえば介護が必要な親を見る必要があり、仕事をやめて世話をすることになったため世帯全体の生活が苦しくなった場合は、親のみ生活保護を受けられる可能性があります。
個人的に保護を受けなければ世帯全体が要保護世帯となってしまう場合に限り、個人的に保護を受けられる可能性があるため、まずは福祉事務所にて相談してみましょう。
- 生活保護を受けるデメリットは?
- 特にデメリットはありません。
しかし受けられてる人の中には、生活保護を受けるのが恥ずかしいとか、 職場に知られたくないという人はいらっしゃいます。
勤務先の方に実際に働いているかという確認までは、やりません。
雇用契約書や給与明細などの書類で確認します。
- 住宅扶助額の中から住宅ローンを返済することは可能ですか?
- 住宅扶助額の中から住宅ローンを返済することは、原則として認められていません。
生活保護法に基づく住宅扶助は、生活困窮者があくまでも家賃を支払うための支援であり、住宅ローンの返済を目的としたものではないからです。
そのため、生活保護を申請する際、住宅ローン返済中の場合は、自宅を売却して生活費に充てる必要があります。
しかし住宅ローンの残債が少なく、返済までの期間が短い場合は、住宅扶助額の一部を住宅ローンの返済に充てることが認められる場合があります。
その際は市区町村の担当ケースワーカーと相談し、個別に審査を受ける必要があります。
また、65歳以上の低所得者に向けた不動産担保型生活資金という不動産を担保として生活資金の貸付けを行うことにより、その世帯の自立を支援することを目的とした貸付制度を利用することも検討してみて下さい。
また、65歳以上の低所得者に向けた不動産担保型生活資金という制度があり、不動産を担保にして生活資金を貸付けることで、その世帯の自立を支援することを目的としています。
不動産担保型生活資金を活用して住宅ローンを返済することも検討してみましょう。
- 即日でお金を受け取れますか?
- 生活保護は、即日でお金を受け取れません。申請から受給開始まで10日~14日かかります。
生活保護の申請をしたあとは面談や家庭訪問をとおして、資産や生活状況、支援してもらえる親族の有無を徹底的に調査されるためです。
保護の実施機関は、保護の開始の申請があったときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもって、これを通知しなければならない。
第三項の通知は、申請のあった日から十四日以内にしなければならない。
ただし、親族の調査や収入状況などの調査に時間がかかる場合は、要否の通知が届くまでに14日以上かかります。
とはいえ、生活保護の実施機関は、申請から30日以内に受給可能かどうかを申請者に通知する必要があります。
つまり、生活保護は申請から遅くとも1ヵ月あれば受給できるということです。
生活保護の支給開始までどうしても待てない場合、実施機関によっては保護の即日開始、または一時金の支給などに対応してもらえる可能性があります。
急ぎの場合は最寄りの福祉事務所にて生活保護の申請をするとともに、1日でも早く支給してほしい旨を相談しましょう。
- 落ちた人は再申請可能ですか?
- 生活保護の申請で落ちてしまった場合でも、再申請できます。
生活保護法「再審査請求」第六十六条では、審査結果に不服がある場合、「厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる」と規定しています。
参照:・生活保護法(◆昭和25年05月04日法律第144号)
保護の申請は自分の住んでいる地域の福祉事務所にておこなう必要があります。
ほかの地域で相談しても、自分の居住する地域の福祉事務所で申請するよう求められるため、地域を変えて申請することはできません。
なお生活保護の受給が認められた際も、保護内容に不服がある場合は審査請求が可能です。
たとえば生活保護を受給する際に価値がほとんどない資産の処分を求められた場合、納得できないのであれば審査請求をすることで処分の取り消しや執行停止を申請することが可能です。
審査請求をしても処分の取り消しなどが認められなかった場合は、裁判で争う、という選択肢もあります。
ただ、裁判を起こすとなると手間もかかる上に費用もかさむため、審査請求を断られた場合は生活保護に詳しいNPO法人や弁護士などに一度相談してみましょう。
なお、審査請求は処分があったことを知ってから60日以内にする必要があります。
また、生活保護を受給していたが、仕事を始めて生活保護が停止された後に、仕事を辞めざるを得なくなった場合でも、改めて生活保護を申請することが可能です。
- 既に借金がある人は生活保護に申請できますか?
- 借金がある人でも生活保護に申請できます。
しかし、借金をしている人が生活保護を申請した際、通常は自己破産などの債務整理を勧められます。
つまり借金がある人は、生活保護を申請しても断られる可能性が高いということです。
ただし、どうしても生活保護を受給したいからといって、借金があることを隠すことはやめましょう。
過去には保護費を受給したあと、多額の借金が発覚したことによって、不正受給とみなされたケースもあるためです。
参照:地方自治法施行令第160条について適切な事務処理│大田区
正直に話せば解決方法が見つかることもあるため、借金があって生活が苦しい場合は、最寄りの福祉事務所にて相談することからはじめてみましょう。