2023年5月、千葉銀行は、「お客さま中心のビジネスモデルの進化」に向けて、新たに広告事業を開始すると公表。新規ビジネス展開のきっかけや背景、目的について、千葉銀行伊藤さん・熊川さん・小尾さんにお話を伺いました。
銀行の強みを活かした「今までにない攻めのサポート」で中小企業にビジネスチャンスを掴んでほしい、地元の法人と個人を結びつける媒体でありたい、など、3名が語ってくれた事業にかける想いについてお伝えします。
銀行法改正をきっかけに銀行の資産やノウハウを活かした新規広告ビジネスを開始
ー千葉銀行さんが広告ビジネスを展開されるきっかけとは何だったのでしょうか?
千葉銀行伊藤さん:2021年11月の銀行法改正で、銀行が広告事業に参入することが可能になったことが大元の理由です。もともと、千葉銀行が保有しているノウハウや資産を活かして、新規ビジネスを展開していこう、という動きはあったんです。
お客さまの幅広い経営課題を支援するためのサービスとして、広告事業を開始しました。
顧客中心のビジネスモデルータッチポイントを増やして、顧客の行動変容に柔軟に対応ー
ープレスリリースで公表されていました、「お客さま中心のビジネスモデルの進化 」という新規広告ビジネスのテーマについて、具体的にどのような目標を掲げられているのか、お聞かせください。
千葉銀行伊藤さん:前の中期経営計画でも「CX(カスタマー・エクスペリエンス・顧客満足度)の向上」がありましたので、、お客さま に対して最適なサービスを提供していきましょうという動きは従来と変わりません。しかし昨今、コロナの影響で、急速にお客さまの行動が変化しました。それに合わせ、タッチポイントを変える必要があると判断したことが大きいです。
以前は、お客さまに、営業店にお越しいただいて金融商品をご提案することも可能でしたが、コロナ禍ではそれが困難になりました。「私たちのビジネスモデルも、お客さまの行動変容に合わせて変えていこう」と考えたんです。
すべてのお客さまとの接点を複数持てるよう、動かなければならないと判断しました。
若い方はアプリで、高齢の方は店舗で、という切り分け方でなく、どんなお客さまでも、状況やニーズに合わせて接点を選べるようにする、タッチポイントを増やしていく、これが「最適なサービス提供」の主眼となります。
地域に根ざした法人顧客を支援
ー顧客層の中心は どのような方になるのでしょうか。
千葉銀行伊藤さん:現在は、テストセールス段階にあります。ですから、まずはスモールスタートで、基本的には常日頃、お取引きのある法人のお客さまを対象とさせていただいております。
そこから段階を踏んで、お客さまの対象を広げられたらと考えております。
銀行の信用力が裏付ける広告効果とブランディング
ー広告の効果について、やはり「銀行の信用力を活用できる」ことが大きいのではないでしょうか。
千葉銀行伊藤さん:そうですね。銀行が広告事業を展開することはあまり前例はないので、媒体としての信頼性がお客さまのブランディングにつながると考えております。信用力を高める効果や、認知効果は期待できるでしょう。
また、銀行はいろいろなデータを保有している、という特性があります。そういった銀行ならではのデータを活用しながら、1to1マーケティングやパーソナライズ戦略といった、高精度な広告配信を展開していく予定です。
デジタルマーケティングの運用支援も視野に入れた広告コンサルティングサポート
ー広告事業の中の一つ、「広告コンサルティング業務」について、どのような事業か、お話をお聞かせください。
千葉銀行伊藤さん:広告コンサルティング業務では、Google・Yahoo!といった検索エンジンでの、Web広告ないしはお客さまのホームページ運営支援も視野にいれています。広告からランディングページへの導線設計や、SEO対策なども含めたサービスを展開していく予定です。
広告事業は、基本的に弊行の広告枠を提供する媒体業が中心となります。一方で、今後、「千葉銀行の広告と別チャネルを併用することで、効果を高めたい」というお客さまの声も出てくると予想されます。
ですから、地域の広告を他の媒体へもご案内できるようにしたり、場合によっては、デジタルマーケティングも併用したり、事業の幅を広げたいと思っています。
おかねのことをわかりやすく解説する、ちばぎんの身近な記事はこちら
▼ちばぎん「ちばぎんマネーガイド」
https://money-guide.chibabank.co.jp/
今後の展望ー広告ビジネスのスキームを地銀最大のTSUBASAアライアンスに展開ー
ー広告事業の今後の展望を教えてください。
千葉銀行伊藤さん:現状は地域の中小企業さまの課題を解決することを事業の目的に据えています。お客さまにとって効果的なマーケティングやプロモーションを提案するなど、地域に根差した動きをしていく予定です。
中長期的に、広告事業のスキームが確立されてきた暁には、「TSUBASAアライアンス」全体にも展開していくことができるのではと考えています。
地域金融機関10行(千葉・第四北越・中国・伊予・東邦・北洋・武蔵野・滋賀・琉球・群馬)が参加する、地銀広域連携の枠組み。
大手銀行に次ぐ規模を活かし、より高度な金融サービスを提供することを目的に組まれた。
地域の法人と地域のお客さまを結びつける媒体であり続けたい
ー広告事業に対し感じておられる課題感が、ありましたらお聞かせください。
千葉銀行伊藤さん:広告事業は下期から 本格的に展開していく予定ですが、テストセールスしながらガイドラインなどを整備しなければならないと思っています。
また、お客さまが「なんで銀行が広告を?」と驚かないように配慮をしたいと思っています。あくまでも地域の法人のお客さまと、その広告をみる地域の個人のお客さまを、結びつけるいい媒体であり続けること、それを意識しなければならないと思っています。
ー熊川さん、小尾さんも、千葉のお客さまにメッセージがありましたらお願い致します。
地元中小企業にビジネスチャンスを届けたい
千葉銀行熊川さん:地域に根付いた広告を打ち出していきたいと思っております。地域の中小企業さまを活性化することを目的に、お客さまの声を聞きながら広告の掲載料金や掲載エリアを決めていますので、それがお客さまのビジネスチャンスにつながったらと考えています。
営業店内のサイネージでの広告配信も、地域のお客さまの広告をメインに掲載していく予定です。地域が活性化して、「千葉銀行って面白いな」と思ってもらえたら嬉しいです。
ー広告事業が千葉銀行自体のブランディングにつながるといいですね。
守りから攻めへー銀行の強みを生かした新しい広告の在り方を築くー
千葉銀行小尾さん:今まで銀行は法人のお客さまに対する融資など「守りの部分で支援する」という側面が強かったと思うんです。売り上げを伸ばしていく・集客をする、という攻めの支援がなかったと考えています。
これからは攻めの部分でもお手伝いできるサービスとして、浸透させることができたらと思っています。
また、将来的に、銀行の強みである顧客のデータを活用しつつ、お客さまの興味・関心に沿った広告を配信していきたいです。
ー銀行ならではの強みを活かした、新規広告ビジネスは、千葉の法人と個人をつなぐ、活性化をもたらす試みであると思いました。千葉の経済活動を支える千葉銀行の、「攻めの」サポートは今後数多くのビジネスを誕生・育成し、日本経済の発展に寄与してくれるのではないでしょうか。