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(画像=三菱食品株式会社)
榎本 孝一(えのもと こういち)
三菱食品株式会社  取締役(兼)常務執行役員(総務人事・コンプライアンス)
1984年4月 三菱商事(株)入社
2012年4月 当社経営企画部長
2014年4月 当社執行役員 経営企画本部長
2016年6月 当社取締役(兼)常務執行役員 コーポレート担当役員(総務人事)(兼)コンプライアンス担当役員(兼)経営企画本部長
2024年4月 当社取締役(兼)常務執行役員 コーポレート担当役員(総務人事・コンプライアンス)(兼)CHRO(兼)CHO(現任)
三菱食品株式会社
当社は、フルエリア・フルカテゴリー・フルチャネルで接点を持つ数少ない食品卸であり、商品開発力や三菱商事グループの総合力を活かしたインフラ・機能・経営財務基盤、ESGに配慮した経営等を強みとしています。
全国に広がるフルエリアでの流通ネットワークを通じて、ロジスティクスの最適化を図っています。また、そのネットワークを活かして幅広い業態に対し、加工食品・低温食品・酒類・菓子と全てのカテゴリーでバランスのよい品種を取り扱っています。

5000人規模となった三菱食品の人的資本経営

まずは三菱食品の取り組みの背景からお伝えします。もともと三菱食品にとって、人事戦略は経営の中心課題でした。その理由は、2012年に食品流通企業4社の経営統合が完了し、大人数の会社になったことと、古い体質の業界であったことが大きな要因です。 それまで500人から1500人規模だったそれぞれの会社が、4社統合時に一気に5000人規模になりました。統合することで生じた課題も多くありましたが、人財の問題は非常に重要な課題として、過去10年間で様々な取り組みを進めてきました。

この経営統合による人財課題に対応するために取り組んだことは、早期に各社の人事機能を一本化し、インナーブランディングを行い、社員を育てて配置していくことでした。これを実現するために、中長期的な人事配置や育成を見据えた仕組みを構築しました。これにより、コーポレート部門、営業部門、SCM(物流)部門の3つに再編成され、社員が所属する部門ごとに適切な人事が行われるようになりました。

また、三菱食品が支える食品流通の現場は24時間365日動く業界であり、台風や雨、雪の日も社内の誰かが働かなければならないため、無理・無駄・ムラをなくし生産性を上げるための働き方改革が重要なポイントとなりました。具体的には、フレックス制度やテレワークの導入といった取り組みを行い、働き方を変えてきました。 しかし、社員それぞれの意識をいきなり変えることはなかなか難しかったため、2020年に物理的な環境を変えるために本社オフィスを移転し、フリーアドレス制、役職者の席廃止などを実施しました。これが、三菱食品の人事戦略の大きな流れです。

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(画像=三菱食品株式会社)

多様性を活かすために導入した成果型の人事制度

多様な人がいる組織において、効果的な施策を導入する点に苦労をしました。そもそも変化に対する不安は、誰しも抱えるものであり、全員を満足させる均一的な人事制度の実現は難しいと考えています。 また、最近では年代や属性、役職や資格等によって、価値観が多様化しているなかで会社自体も成長し、事業を多様化していかなければならないという認識から、2023年の4月1日より人事制度の枠組みを変更し、チャレンジする企業文化への変革を目指し、年齢等に拘わらず役割や職責に応じて人財を登用する人事制度へ改正しました。特に管理職についてはジョブ型に切り替え、役職に紐付いた形に改革を実行しました。

加えて、働き方や価値観の多様化に合わせて、働く場所や働く時間の選択肢を増やし、生産性の向上と自律的な働き方を推進するため、テレワークやフレックス制度も取り入れました。当初はマネジメントが難しいと管理職の多くの反対もありましたが、実験と称して多くの社員の協力を得て、次第に浸透していきました。 この取り組みの最中、2020年に本社が移転したタイミングでコロナ禍があり、働き方に対する風潮が変わり、新しい働き方が浸透しやすくなったと感じています。

今では、制度導入後の状態を支持する声が多く聞こえます。テレワーク制度については、自律的に選択できる良い形になってきたと感じています。 働き方改革を進めることの良さは、無駄をなくすという面もありますが、それをベースに、残された仕事をどのように改善していくかを考える点だと思います。改善をしていくことで自律的に物事を進めることにつながり、この活動が生産性向上において非常にプラスの効果だと思います。さらに、このような意識は、どの場面でも汎用性がある非常に重要なスキルでもあります。

また、三菱食品の物流センターは現場での仕事のため、テレワークの導入が難しい側面があります。しかし、その中で何ができるかと考え、時間の使い方についてもっと工夫ができると提案がありました。結果的にそれが働き方の改善に繋がり、会社の生産性も上がると考えています。このような発想で日々の業務の改善に取り組んでいこうと考えています。

コミュニケーションを重視した改革

テレワークやフレックス制度の導入は、社員全員への信頼の表れであり、自分たち自身で考えることが求められます。これは福利厚生ではなく、生産性や効率を上げるための改革であると徹底して伝えています。また、テレワーク環境に合わせて、様々な研修メニューを用意し、より実践的な教育の充実を図っています。こうした働きやすい環境を実現するにあたって、非常に重要だと感じる点は、コミュニケーションの総量を増やし、対話を重ねることです。制度よりも運用や人間関係が遥かに大切であると実感しています。そのため、1on1等による対話や360度サーベイ、経営層に対するコーチングなどを導入し、コミュニケーションの機会を増やすようにしています。

しかし、その取り組みを進めていく中では、変化に対する不安や苦労がある社員もいるため、キャリア相談、健康相談の窓口などを設けておりますが、これを広げていくことも重要と思っています。三菱食品の社員は食に関する仕事が大好きで真面目な人が多く、それが魅力だと感じているので、そのような社員を大切にしていきたいと考えています。

社員への期待について

社員の皆さんには世の中を変えるビジョンを持ち、自律したプロ人財になることを期待しています。 そのような人財が集まれば、企業価値の向上にもつながり、人的資本が私たちの強みになると信じています。これからも、社員と共に励んでまいりたいと思っています。

三菱食品からステークホルダーの皆様へメッセージ

三菱食品は、「食」という人々に欠かせないインフラを提供する企業です。主にBtoBの分野で活動しており、表にはあまり出ませんが、私たちの仕事は「フードライフパートナー」という言葉で表現しており、皆さんの食生活に寄り添い、適切なインフラと提案を行っていく役割を果たしていくことが私たちの使命だと考えています。

そして、その実現には人の力が不可欠だと信じているため、引き続き人的資本経営に全力で取り組んでまいります。

氏名
榎本 孝一(えのもと こういち)
会社名
三菱食品株式会社
役職
取締役(兼)常務執行役員 コーポレート担当役員(総務人事・コンプライアンス)