「会長」が企業において果たす役割とは一体どのようなものなのか?今回は、今なお活躍し続ける現上場企業"会長"にスポットを当て、彼らの持つ経営哲学や次代への先覚などを聞き出し、次世代を担う経営者やビジネスパーソンへヒントを届けたいと思う。今回はミナトホールディングス株式会社の若山会長にお話しを伺った。

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(画像=ミナトホールディングス株式会社)
若山 健彦(わかやま たけひこ)
ミナトホールディングス株式会社 代表取締役会長 兼 グループCEO
1989年、日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。外資系証券会社を経て、2000年 イーバンク銀行(現楽天銀行)を設立して代表取締役副社長兼COOなどを歴任。
その後上場企業での代表取締役社長等を経て、2012年にミナトエレクトロニクス株式会社(現当社)の代表取締役社長、2019年に当社代表取締役会長兼社長、2023年より当社代表取締役会長兼グループCEOに就任。
ミナトホールディングスグループは、メモリーモジュール、ROM書込みサービス、デバイスプログラマ、テレワークソリューション、デジタル関連機器などの多様な事業を展開している企業グループです。
デジタル分野での他企業との連携やM&Aを進めることでコンソーシアム(共同体)を形成し、シナジーを創出して企業価値を高める「デジタルコンソーシアム構想」の実現を目指して、新しい技術に挑戦しながら、お客様のニーズに合わせた製品やサービスをお届けしています。

目次

  1. 投資家から代表取締役社長へ
  2. 事業の低迷脱却により、売上が13億円から70億円へ
  3. M&A方針「コストは1+1=2というところからそれ以下にし、売上は1+1=2というところからそれ以上にする」
  4. デジタル技術を核としたデジタルコンソーシアム構想の力
  5. 企業拡大の鍵は広い視野と金融知識
  6. ミナトホールディングスからZUU onlineユーザーへ一言

投資家から代表取締役社長へ

初めに、設立から現在までの事業の変遷をお話しさせていただきます。当社は1956年に港通信機株式会社としてスタートしました。1980年代に半導体部品や検査装置の生産によって業績を伸ばし1988年には上場を果たしましたが、上場後には主力事業が不振に陥り、その後20年ほど低迷する形となりました。

そのような状況の中で、私が当社と出会ったのが2010年のことでした。当時の筆頭株主から一部を買い取る形で投資家として参画をしました。 当初は、投資家という立場から立て直しを図っていましたが、なかなか状況が好転しなかったため、2012年6月からは私自身が代表取締役社長に就任する形となりました。代表就任後はM&Aや海外展開、新製品の開発などに注力して業績を伸ばし現在の当社の形を作ってきました。

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事業の低迷脱却により、売上が13億円から70億円へ

2012年に社長を引き継いだ時点で、既存事業分野で大きな成長を見込むことは難しいと判断しました。私は社長就任後、当社の課題を把握するために全社員との面談や、事業の収益性の分析を行いました。その結果判明したことは「役職員の報酬が無駄に高いとか、経費などの無駄遣いがある、ということはなかった一方、既存の製品を2倍3倍販売して売上を伸ばしていくのも難しい」ということでした。

私はその状況を打開すべく、M&Aによって会社の売上を伸ばす方針を立て、2014年に「株式会社イーアイティー」を、2016年に「サンマックス・テクノロジーズ株式会社」をそれぞれ子会社化したことで売上を13億円から70億円程度まで一気に伸ばすことに成功しました。

M&A方針「コストは1+1=2というところからそれ以下にし、売上は1+1=2というところからそれ以上にする」

M&Aにおいてはグループに入っていただいた会社の自主性を重んじることを大切にしています。例えば社名や経営者、事業内容を大切にして、できるだけM&A前と変わらない形を心がけています。

当社としては売上・利益を取り込むことができますし、管理部門の経費をホールディングスに集約することで全体のコストを下げられます。当然、事業自体にシナジーがあれば直接的な売上の増加も期待できます。コストは1+1=2というところからそれ以下にし、売上は1+1=2というところからそれ以上にすることでグループ全体として売上・利益の向上を狙っていくのがM&Aに関する基本的な考え方です。

デジタル技術を核としたデジタルコンソーシアム構想の力

ーー思い描いている未来構想を教えてください。

当社のビジョンとして「デジタルコンソーシアム構想」を掲げています。「デジタルコンソーシアム構想」とはデジタル分野に特化した技術を持つ企業との提携、M&Aの実施を通じて事業を伸ばしていくという構想です。他社との連携によって、リソースやノウハウを共有化することで自社のみでは実現できないコストの削減や売上・利益の増大につながっていきます。その中で当社グループの売上・利益も伸ばしていければと思います。

企業拡大の鍵は広い視野と金融知識

偉そうなことは言えませんが、会社をより早く、大きくしていくためには広い視野と金融的な知識が必要だということをお伝えしたいです。私はキャリアの中で20代の頃から投資や分割、買収を通じて企業が進化していく姿を目の当たりにしてきました。

また、私自身が立ち上げたイーバンク銀行株式会社(現:楽天銀行株式会社)も2009年に楽天グループが株主となり、2023年に立派に上場を果たしています。 もちろん、自社の製品や社員にこだわって経営していくのも素晴らしいことですが、会社の拡大のためにはM&Aなどの選択肢にもぜひ目を配っていただきたいなと思います。

ミナトホールディングスからZUU onlineユーザーへ一言

「投資」を上手く活用することは経営者としても投資家としても非常に重要です。私個人的にも投資は大好きなものですし、投資をすることは活力につながると思っています。 投資家の皆様には1つの選択肢としてぜひ当社にもご注目いただけますと幸いです。

氏名
若山 健彦(わかやま たけひこ)
会社名
ミナトホールディングス株式会社
役職
代表取締役会長 兼 グループCEO