株式会社 ミダックホールディングス
(画像=株式会社 ミダックホールディングス)
加藤 恵子(かとう けいこ)
株式会社 ミダックホールディングス 代表取締役社長
愛知県豊橋市出身。2005年、税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)から、顧問先である当社に担当税理士として関与し、2006年、取締役経理統括部長として同社に入社。社内の管理体制をゼロから見直し、上場会社にふさわしい体制を一つひとつ構築する組織改革を実行。
2019年4月に同社の代表取締役に就任。同年12月には東京証券取引所市場第一部、名古屋証券取引所市場第一部への指定を果たした。社長就任後も人事制度の見直しや階層別研修の構築など、社員が効率的に、健康的に働ける環境づくりに取り組んでいる。
株式会社 ミダックホールディングス
株式会社ミダックホールディングスは、総合廃棄物処理企業として、産業廃棄物・一般廃棄物の収集運搬から中間処理、最終処分を行い、事業者の廃棄物処理・管理等に関するソリューション事業を手掛けている。
ミダックグループは、静岡県、愛知県、岐阜県に処理施設を保有し、破砕処理や焼却処理、水処理、最終処分など、廃棄物処理のエキスパートとして、顧客の様々な要望に対応できるよう多数の許可と処理施設を保有している。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 経営をする上で重視している考え方
  3. 経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み
  4. 自社が今後関連していくテーマ
  5. 思い描いている未来構想
  6. ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ⼀⾔

これまでの事業変遷について

冨田:創業からこれまでの事業変遷について教えていただけますか?

株式会社ミダックホールディングス 代表取締役社長・加藤 恵子氏(以下、社名・氏名略): 当社の創業は1952年で、71年を迎えました。創業のきっかけは静岡県浜松市から、し尿の回収を依頼されたことです。し尿の回収事業を約18年行っており、その後、浜松市から一般廃棄物の許可を買い取る依頼があり、産業廃棄物の処理を始めました。

そして、創業から71年間、数々の取り扱い品目や新規施設を増やしながら事業を拡大してきました。現在も静岡県に本社を構えており、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分、一般廃棄物の収集運搬・処分など廃棄物に関して幅広く取り扱っています。

また、2017年12月22日に名古屋証券取引所市場第2部に、2018年12月21日に東京証券取引所市場第2部に上場し、そして翌年の2019年12月24日に東京証券取引所、名古屋証券取引所の市場第1部に上場しました。そして、2022年4月の市場再編に伴い、東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場へそれぞれ移行しています。

一見、3年連続で東証1部まで上場したと聞くと華々しく聞こえるかもしれませんが、実は、上場準備には10年以上の時間をかけており、2004年の秋ごろから上場準備に取り掛かりました。その当時の苦労話などは、後程ご説明したいと思います。

冨田:なるほど、ありがとうございます。それでは、ミダックホールディングス様の強みは何でしょうか?

加藤:当社の強みは、廃棄物処理に係る一連の工程において、収集運搬から中間処理、最終処分に至るまでの一貫処理体制を自社内で構築していることです。この業界では過去に不適正処理が横行した事例がありました。当社では一連の流れを管理しているため、お客様である排出事業者としては委託した廃棄物が不適正処理や不法投棄される心配がなく、安心して最終処分まで任せられることが強みなのです。

株式会社 ミダックホールディングス
(画像=株式会社 ミダックホールディングス)

冨田:なるほど、ありがとうございます。この領域でこれだけの拡大をされてきた企業はなかなかいないと考えています。お客様満足度が高く、不法廃棄などが起こらないというのは大変素晴らしいことですね。

経営をする上で重視している考え方

冨田:経営をする上で重要視している考え方は何でしょうか?

加藤:曹洞宗・道元禅師の教えで「ただ、今この一瞬」という意味の「而今(じこん)」の世界観を重要視しています。無理だろうと思われることだとしても、目の前のステップを一つずつ乗り越えることに集中する。そうすると気付いた時には誰もが到達しないような頂点に登りつめることができると考えています。

冨田:ありがとうございます。その考えを体現した経験はありますか?

加藤:上場に向かって奮闘してきたことです。さらに、以前の産廃業界は絶対に上場できない業種の一つと言われていました。厳しい状況でしたが、上場を達成したいという思いから、目の前のステップを一つずつ乗り越えてきました。

冨田:そのような状況の中で上場を目指したのはどのような理由があったのですか?

主に2つあります。1つ目は「業界の底上げ」です。一般企業でも難しい、上場と言う狭き門を産廃業者が上場することで内部管理体制の整った会社があることを広く知ってもらいたいと考えました。そして、同業の経営者が後に続いていただく事で、業界自体の底上げを図りたいと言う思いがありました。現在では環境銘柄と言われるほどに成長しました。また、多くの同業の経営者の方々も上場を目指し、達成することができています。

2つ目は上場を目指す過程で会社組織を整備し、経営を強化したいと考えたからです。上場が最終目的ではなく、手段の一つだと位置づけていました。上場を目指した当初は、地方の中小企業だったので、全てにおいて未整備でした。気の遠くなる思いもしましたが、何かを達成するために邁進していくことに、迷いはありませんでした。会社組織を整備し、継続して成長していく為の組織経営を実現させたいという気持ちから、上場を目指すことを決意しました。

冨田:なるほど、「而今」という教えが経営にも活かされているんですね。ありがとうございます。

経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み

冨田:ご自身の経験や強みについて教えていただけますか?

加藤:私とミダックグループとの出会いは、ミダックが上場を目指す事を決意し、税務顧問を地元の税理士事務所から、監査法人系税理士法人に変更した事によります。当時の私は、税理士法人トーマツ(現デロイトトーマツ税理士法人)において、IPO支援も含めた税務顧問の担当者として関与しておりました。

上場準備の最中、上場支援のために招聘した経理部長が急に退職する事となり、2006年に急遽、経営体制の強化、特に経理機能の強化のためにミダックホールディングスより取締役兼経理統括部長としてヘッドハンティングされました。

冨田:そうだったのですね。その後どのような経緯で上場し、経営者となったのですか?

加藤:当時は経理統括部長として招聘されましたが、未整備な部分が多く、上場を目指すために2年間で管理体制を整え、上場へのステップアップを進めました。

上場後、前社長の矢板橋一志氏は、2004年7月の代表取締役就任以来、長きにわたり、上場に向けての経営基盤の強化並びに産廃処理事業の拡大に尽力されてきました。2018年12月に東証への上場を果たし、また同月には、長年の悲願であった大型管理型最終処分場の設置許可がおり、一つの区切りをつけることが出来たそうです。そして、ご自身の判断で、代表取締役からの辞任を申し出られました。

後任として私を指名していただき、他の取締役も「加藤さんであれば納得する」と賛同をいただき、全員一致で承認されました。これまで行ってきた組織改革を評価されたように感じ、非常に嬉しかったです。また、それと同時に高度な経営の舵取りを任されたことで、身の引き締まる思いでした。

冨田:管理体制を整えたことでここまで事業を展開することができたのですね。税理士法人トーマツで監査をされていたそうですが、監査法人の方々は、守りの経営を実施しているイメージがあります。しかし加藤様は社長となった後、M&Aなどの攻め経営を実施しているのはユニークだと感じました。

加藤:そうですね。両親が商売人だったことが大きく影響していると思います。両親はスーパーマーケットの経営をしていました。また税理士時代に、クライアントさんの過去の数字を見る事が多かったことも影響しています。税理士時代に培った税務、会計、法務の全ての知識を総動員して経営に生かす事ができています。生きた数字を動かす事、やっただけの事が業績として返ってくる楽しみは代えがたいですね。息をする様に経営をしています。

冨田:それが今のミダックホールディングスでの経営に生かされているわけですね。楽しそうにお話いただいて、確かに楽しい経営ができているんだと感じました。

自社が今後関連していくテーマ

冨田:今後、どのようなテーマに関連していきたいと考えていますか?

加藤:廃棄物問題に深く関わる中で、廃棄物処理業者として「持続可能な循環型社会」へ貢献していくことが、今後の重要なテーマとなると考えています。

当社グループは、企業グループとして持続可能な社会の形成に貢献することを目的とし、ミダックグループ全体を適用範囲とするSDGs推進規程を定めました。また、個人のSDGsの意識を高める活動として、SDGsのD(Development:開発)をより身近なL(Life:生活)に置き換え、環境・社会に貢献する活動として会社で定めたものを生活の中で実施するとポイントが付与されるMSLP制度(ミダック・サステイナブル・ライフポイント制度)を導入しました。

冨田:素晴らしいですね。具体的にはどのような取り組みをされているのですか?

MSLP制度は、定められた活動をして報告するとポイントが獲得でき、還元金が支給される制度です。例えば、環境ラベルのついた商品を購入することや地域防災訓練の参加、ハザードマップの確認等、身近な活動を付与対象としています。

そして2022年4月、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティ(持続可能性)を巡る課題へ横断的かつ機動的に対応するため、「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。

このような取り組みを通じて持続可能な社会の形成に貢献していきたいと考えています。

冨田:ありがとうございます。今後も環境や持続可能性に関連したテーマに取り組んでいくことが期待されますね。

思い描いている未来構想

冨田: 思い描いている未来構想について教えていただけますか?

加藤: 当社では、「水と大地と空気そして人、すべてが共に栄えるかけがえのない地球を次の世代に美しく渡すために、その前線を担う環境創造集団としての社会的責任を自覚して、地球にやさしい廃棄物処理を追求してまいります。」という経営理念を掲げています。

経営理念の通り地球にやさしい廃棄物処理を追求しつつ、加えてカーボンニュートラル実現に向けてさまざまな研究を進めていきます。そして、総合廃棄物処理企業として企業規模の拡大・収益性の強化を図り、廃棄物処理業界でもトップクラスのシェアを持つリーダーとして、市場での地位の確立を目指していきたいと考えています。

そのためにも、10年ビジョン『Challenge 80th』で掲げている2027年3月期の売上高100億円、経常利益50億円を着実に達成します。また、その先のチャレンジ目標として掲げた2032年3月期売上高400億円、経常利益120億円についても、M&Aを活用しつつ、達成を目指していきます。

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ⼀⾔

冨田: ZUU onlineユーザーに一言お願いします。

加藤: 10年ビジョン『Challenge 80th』の達成のために、環境へ配慮しつつ、主に2つの取り組みに注力し、関東方面へ商圏を拡大していきたいと考えています。

1つ目は自社による開発です。専門部署である開発事業部において、これまで培ってきたノウハウを用いて、事業展開に生かしていきます。2つ目はM&Aです。既に廃棄物処理業界において4社の子会社化を実現しており、その後も問題なく当社グループとして事業を継続させていることから、当業界のM&Aのノウハウも蓄積されつつあります。

このような取り組みを通じて積極的に関東方面への事業展開を進めていきます。

そして最後に、当社グループは、上場企業として求められる社会的な使命を認識すると同時に、永続的に日本経済を下支えするエッセンシャルワーカーとして、社会的・経済的観点から環境保護や適正処理を追求する「業界を代表する真のリーダー」となれるよう邁進してまいります。今後は、私たちミダックグループの積極的なチャレンジにご期待いただければと思います。

氏名
加藤 恵子(かとう けいこ)
会社名
株式会社 ミダックホールディングス
役職
代表取締役社長