株式会社FFRIセキュリティ
(画像=株式会社FFRIセキュリティ)
鵜飼 裕司(うかい ゆうじ)――株式会社FFRIセキュリティ代表取締役
1973年徳島県生まれ。工学博士。2003年に渡米しセキュリティ脆弱性分析や脆弱性診断技術等に関する研究開発に従事したのち、2007年7月株式会社FFRIセキュリティを設立。サイバーセキュリティの第一人者として世界最大級の情報セキュリティカンファレンス「Black Hat」や、「CODE BLUE」のレビューボードを務める他、多数の政府関連プロジェクトの委員・オブザーバーを歴任。
株式会社FFRIセキュリティ
2007年、日本において世界トップレベルのセキュリティリサーチチームを作り、IT 社会に貢献すべく設立。サイバー攻撃技術を独自の視点で分析し、日本国内でサイバー攻撃対策技術の研究開発に取り組み、その成果を純国産エンドポイントセキュリティ「FFRI yarai」の機能向上や、セキュリティ調査・研究などのサービスとして提供。現在はサイバー安全保障の領域を中心に事業を拡大している。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 経営判断をする上で最も重視していること
  3. 経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み
  4. 自社が今後関連していくテーマ
  5. 思い描いている未来構想
  6. ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

これまでの事業変遷について

株式会社FFRIセキュリティ
(画像=株式会社FFRIセキュリティ)

冨田: 事業の変遷について、創業から上場までのターニングポイントを中心にお話をお伺いできればと思います。

株式会社FFRIセキュリティ 代表取締役社長・鵜飼 裕司氏(以下、社名・氏名略): 当社はサイバーセキュリティの分野で技術研究開発に特化している会社です。

2007年に私と現CTOの金居を中心に創業しました。2人とも技術研究開発に取り組む研究者で、北米をメインに活動していました。北米とは違い、日本ではサイバーセキュリティ業界で技術研究開発を行う機能がなく、この状況を何とかしたいという思いで事業を始めました。

日本には多くのサイバー関連の会社がありますが、技術研究を中心に事業を展開しているのは我々だけで、日本での競合はほとんどいない状態です。

冨田:技術革新やマクロ環境の変化がサイバーセキュリティへの関心を大きく高めていると思いますが、創業時からそれを主軸にされている会社や、社長が前職から海外で取り組まれているのは珍しいですね。

鵜飼:私が渡米したのは2003年の頃で、当初から北米ではサイバーセキュリティが安全保障のテーマでした。日本で同様のことが言われ始めたのは5年ほど前ですが、2003年頃から各国で問題解決が求められる状況にあったことから、サイバーセキュリティへの意識が高まる流れはあったと思います。

経営判断をする上で最も重視していること

冨田: 経営判断をする上で最も重視していることを教えてください。

鵜飼: 私は直感や勘に頼ることは避け、外部環境に追従することを重視しています。サイバーキュリティの市場は変化が激しく、基本的には将来の動向を読むために感度を高めることが重要だと考えています。そのためには、流れに逆らわず、アンテナを張り巡らせて情報収集を行うことが大切です。

冨田:面白いですね。我々だとユーザー目線で考えますが、貴社ではハッカーの心理やトレンドに注目するということですか?

鵜飼: はい。サイバーセキュリティの分野では、ハッカーという悪者の存在が他の分野と大きく異なります。通常は、事業を行う人達、お客様、競合企業などが存在します。しかし、サイバーの世界では悪意を持った人たちが存在し、彼らがトリガーとなることが非常に多いのです。つまり、悪意を持った人たちの動向や、各国の政治的な思惑など、通常の業界ではプレイヤーにならないような人たちの動きを注視することが重要です。例えば安全保障の分野では、ハッキング技術をツールとして使って悪い方向に環境を変えようとする人たちもいます。

経営者としてのルーツ、過去の経験から積み上がったご自身の強み

冨田: 経営者としてのルーツや過去の経験から積み上がったご自身の強みについて教えてください。

鵜飼: もともと小さい頃からプログラミングが大好きで、根っからの技術者です。幼少時から、できないことを、技術を駆使して、できるようにしたいという思いがありました。

また、渡米の際に多くのことを学びました。北米では技術の上流を作り、できないことを適用していくところで、技術的にもビジネス的にもレバレッジを効かせています。日本は安全保障面でも、自国の技術が育たないのは問題だと感じていました。北米にいた際は、日本を客観的に見る機会が多くあり、日本人としてこのまま放っておくのは良くないと考え、今の分野に力を入れています。

冨田:この領域において、今後大きな発注が増える可能性があると思いますが、いかがでしょうか。

鵜飼:実は、この2年間が大きなターニングポイントで、外部環境が劇的に変化しました。ロシアやウクライナの問題によって悪意のある人たちの状況が変わりました。これまで安全保障に無関心だった人たちが、急に関心を持つようになり、世界全体で国として対策を講じなければいけないという意識が強まったと感じています。

日本もこれまではあまりサイバーセキュリティの分野に関心がなかったのですが、最近は大きく変わってきています。中期防衛計画を含めた防衛3文書が2022年12月に改定され、能動的サイバー防御という大胆な戦略が打ち出されました。また、防衛費をGDPの2%に上げる話や経済安全保障に関する基金を毎年2500億円積み立てるといった話も出ています。

さらに、新領域と言われる宇宙、サイバー、電磁波に関する議論が大きくなり、国家的にもサイバーは非常に重要な領域になってきています。技術研究開発も進めなければならないという話もありますが、日本ではまだその能力が十分に揃っていないという問題があり、急激に依頼が増えています。

冨田:この領域について、これほど深く聞ける機会はなかなかありません。マクロ環境もミクロ環境も非常に強気になっていると感じました。

自社が今後関連していくテーマ

冨田: 貴社が今後関連していくテーマについて教えてください。

鵜飼: 今後はサイバー安全保障の会社として、事業を展開したいと考えています。

これまで、サイバーセキュリティという文脈で、企業システムのウイルス侵入やウェブサイトのハッキングなどへの対策が主流でした。しかし、最近の日本では、「サイバー安全保障」という新しいマーケットが生まれています。サイバー安全保障とは、安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃に的確かつ迅速に対処することです。サイバーセキュリティと似ている言葉ですが、上位概念が全く異なります。我々も約5年前から、サイバーセキュリティの会社からサイバー安全保障の会社へと変革を進めております。今後はサイバー安全保障の会社として、事業のポートフォリオを見直し、組織を大きく変えていく方針です。

冨田: 国家戦略としても重要な分野ですね。株の世界では「国策に売りなし」という言葉があるように、まさにそのようなイメージがあります。

思い描いている未来構想

冨田: 思い描いている未来構想について教えてください。

鵜飼: 当社ではサイバー安全保障の会社として成長していくことはもちろん変わらないと思います。また、日本として国産の技術を持つということは外交戦略上の観点でも非常に重要です。関係各社と連携していきながら、国内サイバーセキュリティ産業の成長にも寄与したいと考えています。

ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言

冨田: ZUU onlineユーザーやその他の投資家の皆様へ、鵜飼社長から一言お願いします。

鵜飼: これからサイバー安全保障のマーケットが益々拡大していくと考えています。各マーケットが急激に大きくなる中で、私たち株式会社FFRIセキュリティは中心的な役割を果たしていきたいと思っております。ぜひ、皆様にも注目していただけると幸いです。

氏名
鵜飼 裕司(うかい ゆうじ)
社名
株式会社FFRIセキュリティ
役職
代表取締役社長