新しい資本主義の担い手であるベンチャー企業。政府からユニコーン100社創出が宣言されたこの状況下において、「現在の成長企業・ベンチャー企業の生き様」は、最大の関心事項と言える。ジャンルを問わず、一社のトップである「社長」は何を思い、どこにビジネスチャンスを見出しているのか。その経営戦略について、これまでの変遷を踏まえ、様々な角度からメスを入れる。
創業のきっかけ
ーーこれまでの事業変遷について教えてください。
株式会社エクスモーション 代表取締役社長・渡辺 博之氏(以下、社名・氏名略): 当社は1990年代終盤の、機械にソフトウェアが搭載され、より複雑な機能が実現できるようになった時代背景の中で創業しました。
当時はどんどんと新しい機能が実現されていく一方で、仕様書や設計書もなく、言ってしまえば、何とか動作するものを作っているような状態でした。これではその場限りのものしかできず、次につながらないという問題意識のもと、当社の創業に至りました。
現場で変革をリードする 伴走型支援のコンサル会社
ーー貴社の強みは何でしょうか。
渡辺:当社の強みは伴走型の支援方法です。一般的なコンサル会社の場合、最終成果物は報告書やレポートだけで、実際に現場で手を動かすことはありません。しかし当社の場合は、レポートの作成にとどまらず、現場で先頭に立って実践します。お客様に技術がしっかりと定着するまで伴走するため、安心してお任せいただくことができています。
また、この強みを発揮し続けるためにも採用にはこだわっています。具体的には自ら現場に入り、完遂することに価値を見出す人のみを採用しています。先日社員向けに実施した「性格診断テスト」では、このことを裏付ける面白い結果が出ました。通常のコンサル会社では分析型の人が多いのに対し、当社では自ら現場に入り、完遂することに価値を見出すオペレーター型の人間が多いことが判明したのです。採用にこだわった結果が当社の強みに繋がっていると言えます。
生成AI活用で日本にインパクトを与える
ーー現在一番関心のあるトピックを教えてください。
渡辺:生成AIが一番関心のあるトピックです。生成AIをうまく活用することによって当社が価値提供できるお客様の数を増やすことができると考えています。当社は70人規模の企業であるため、サービスを通じて日本の経済全体へのインパクトはまだまだ限られている現状です。しかし、生成AIを活用してサービスを効率化することによって、少しでも多くのお客様に価値を提供できると考えています。
さらに、生成AIをサービスに組み込むことで、ストック型ビジネスの構築が見込め、これは従業員数に依存しない形の事業成長の実現が可能になると考えています。具体的には、現在ソフトウェアの要求仕様書作成を支援する生成AIの開発を進めています。要求仕様書とは、ソフトウェアにどのような機能を持たせたいかをまとめた文章です。ハードな作業ですので、この生成AIが完成すれば大きなインパクトがあります。
積極的なM&A戦略による事業拡大とサービス向上
ーー今後はどのような未来構想を思い描いていますか。
渡辺:今後は、事業の更なる拡大に向けて、より積極的にM&Aに取り組んでいきたいと考えています。直近では大阪のソフトウェア検証会社を買収しましたが、この買収によって、当社で設計から検証までワンストップでサービスを提供できるようになりました。お客様のニーズにもさらに幅広く応えられるようになり、当初想定していた以上のシナジーが生まれています。今後もM&Aを活用しつつ当社の付加価値を高めていきたいです。
- 氏名
- 渡辺博之(わたなべ ひろゆき)
- 社名
- 株式会社エクスモーション
- 役職
- 代表取締役社長