「銀行にお金を預けてもお金が増えない」「だけど株式や投資信託などに投資をするのは怖い」と感じる人は、ドルやユーロで貯金する方法を検討してみましょう。ドルやユーロで貯金する選択肢の一つとしては、「外貨預金」という商品があります。本記事では、外貨預金の概要や外貨預金をする目的、外貨預金のはじめ方などについて紹介します。
あわせて外貨預金をはじめるときの注意点についても解説します。
ドルやユーロで貯金する方法は?
日本の銀行でドルやユーロなどの外貨で貯金したい場合は、外貨預金を利用する方法があります。外貨による資産運用方法には、いくつか種類がありますが、そのなかでも外貨預金は初心者でもはじめやすい金融商品の一つです。
外貨預金とは
外貨預金は、その名のとおり外貨を預け入れる銀行預金です。外貨の種類は、米ドルやユーロ、英ポンド、中国元などニュースなどで見聞きすることが多い通貨をはじめ、銀行によっては南アフリカランドやトルコリラ、メキシコペソなど、あまり聞き慣れない通貨でも預金できます。
外貨預金も銀行預金のため、お金を預けておくと銀行が定める金利にもとづき利息がつきます。この利息も外貨で支払われます。金利は、銀行や通貨によって異なりますが、多くの場合は日本円預金よりも高めです。
外貨預金にも円預金と同じように、出し入れ自由な「普通預金」と預入期間が決まっている「定期預金」があります。一般的に金利は、定期預金のほうが高く設定されている傾向です。なお、お金の出し入れは「円貨を外貨へ両替して外貨で入金」「外貨を円貨へ両替して出金」というのが基本です。
それぞれの両替時には、為替手数料がかかるため、頻繁に出し入れすると為替手数料が多くかかる可能性がある点には注意しましょう。なお、為替手数料は銀行や通貨によって異なります。
他の外貨建て金融商品との違い
外貨建ての金融商品は、外貨預金以外にも「外貨建て保険」「外国債券」「外国株」「FX(外国為替証拠金取引)」などさまざまなものがあります。どれも「外貨で取引を行う」という点では、外貨預金と同じです。しかし、それぞれの金融商品は外貨預金と以下のような点で異なります。
・外貨建て保険:預金ではなく外貨で払い込む保険
・外国債券:海外の国や企業などが発行している債券へ投資する
・外国株:外国の株式へ投資する
・FX:レバレッジを使い外貨預金よりもハイリスク・ハイリターンの取引ができる
特にFXは、外貨預金と比較されることが多い傾向です。しかし、FXにはレバレッジという「テコの原理」を応用した仕組みがあり、口座に預け入れた資金を担保として預けた資金の最大25倍(国内FX業者の場合)の取引ができます。そのため、少ない資金で大きな利益を期待することもできますが、大きな損失を被る可能性もありリスクが大きい金融商品です。
ドルやユーロで貯金するとは外国為替取引をすること
外貨預金では、お金の入出金時に円貨と外貨を両替する旨説明しましたが、これを「外国為替取引」といいます。あまり聞き慣れない言葉ですが、外国為替取引とは「異なる通貨を交換する取引」のことです。外貨預金をする場合、外国為替の知識は必要不可欠となるため、しっかりと理解しておきましょう。
外国為替取引の概要
通貨を両替するときには、「TTS」と「TTB」という為替手数料が加味された為替レート(交換レート)を使用します。
・TTS:円貨を外貨へ両替するときの為替レートのことで外貨預金を預入時に使用
・TTB:外貨を円貨へ両替するときの為替レートのことで外貨預金を引出時に使用
為替変動がないものと仮定すると、外貨預金は預け入れたお金をそのまま引き出した場合、日本円に換算したときの額は元本割れすることになります。そこで、もう一つ知っておきたいのが外貨に対する円の価値を示す「円高」と「円安」です。実際、為替は常に変動しているため、預入時と引出時には為替レートが違っているのが通常です。
ある一定時の「1米ドル=〇〇円」を基準として、「円高」は「〇〇円」よりも値が小さくなっている場合、「円安」は「〇〇円」よりも値が大きくなっている場合を指します。外貨預金では、預入時よりも引出時に「円安」になっていれば日本円換算しても利益を得られ、逆に「円高」になれば損失が発生する仕組みです。
外国為替取引の具体例
ここで、具体的な金額を当てはめて「TTS・TTB」や「円高・円安」を理解していきましょう。例えば1米ドル140円、為替手数料が1米ドルあたり0.5円とすると、それぞれのレートは次のようになります。
・TTS=140円+0.5円=140.5円
・TTB=140円-0.5円=139.5円
この例の場合で1,000米ドルの外貨預金をすると、円貨での預入額と引出額は以下のようになります。
・預入額:1,000米ドル×140.5円=14万500円
・引出額:1,000米ドル×139.5円=13万9,500円
この例では、利息や税金は考慮していませんが、為替レートが変わっていなければ円換算で元本割れしていることがわかります。では、上の条件で預け入れた外貨預金を1米ドル145円(円安)になったときに引き出すとどのようになるでしょうか。
・TTB:145円-0.5円=144.5円
・引出額:1,000米ドル×144.5円=14万4,500円
・利益(為替差益):14万4,500円-14万500円=4,000円
逆に為替が1米ドル135円(円高)になったときに引き出すとどのようになるでしょうか。
・TTB:135円-0.5円=134.5円
・引出額:1,000米ドル×134.5円=13万4,500円
・損失(為替差損):13万4,500円-14万500円=-6,000円
購入時の為替レートよりも円安になると利益を得られ、円高になると損失を被ることがわかります。
米ドル定期預金 (1ヶ月) |
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年8.60% (税引後4.621%) |
大和ネクスト銀行は、大和証券グループ傘下のインターネット専業銀行です。
取扱通貨が12種類あり、いつでも好金利で預けられるので、分散投資をしたい方におすすめです。
そもそも外貨預金って何のため?
外貨預金の仕組みがわかったところで、外貨預金をはじめる目的について考えてみましょう。日本では、2024年3月にマイナス金利政策を解除したため、ようやく預金金利が上がりはじめました。しかし、まだまだ諸外国の金利と比べると低い状態です。つまり、円預金にお金を預けていても、あまりお金は増えません。
一方、外貨預金は円預金より金利が高いものが多く、お金を増やせる可能性を期待できます。加えて、為替差益を得られる可能性もあります。また、日本円だけで資産を保有するよりも日本円以外の資産を持っておくほうがインフレ時の預金価値の目減りを抑えることが期待できるでしょう。外貨預金は、外貨で資産を持つことになるため、インフレ対応になります。
さまざまな通貨を選べるため、日本円だけではなく外貨も、さらには米ドルやユーロなど複数の外貨に分散しておくと「いずれかの価値が下がっても他の通貨の価値上昇でカバーできる」というようにリスク分散が可能です。世界中で社会・経済情勢がさまざまに変化している昨今において外貨預金は、自分の資産を守るために有効な方法の一つといえます。
外貨預金の注意点
ただし、外貨預金にはさまざまなリスクもあります。外貨預金をはじめる前に、あらためて注意点を確認しておきましょう。
為替が変動する
仮に預入後に円高となっても、再度円安方向に動く可能性はありますが、将来的な為替の動きは読めません。そのため、資金や期間、精神的な余裕はあるかなどを確認してからはじめることが大切です。
手数料がかかる
「外貨預金に為替手数料がかかる」ということは、上述しましたが、その他にも手数料がかかる場合があります。例えば、「海外旅行などで余ったトラベラーズチェックを外貨預金に入金する」「外貨預金口座にあるお金を送金する」といった場合などです。外貨預金をはじめる前に、どのような手数料がかかるかについて確認しておきましょう。
信用リスクがある
外貨預金は、預金保険制度の対象外です。外貨預金の口座がある銀行が万一破たんした場合、預けたお金が支払われない(戻らない)可能性があります。銀行を選ぶ際には、健全性を確かめておきましょう。
外貨預金のはじめ方
外貨預金の特徴や外国為替取引の仕組み、メリット・デメリットを理解したうえで、「外貨預金をしてみたい」と感じた方は、以下の手順ではじめてみましょう。
銀行を選ぶ/h3>
まずは、どの銀行で外貨預金をはじめるかについて決めましょう。銀行を選ぶ際に注目したいのは、次の5つのポイントです。
・預金できる通貨の種類
・それぞれの通貨の金利
・為替手数料
・サービス
・銀行の健全性
金利は、通貨によって異なりますが、同じ通貨であれば金利が高い銀行のほうが受け取れる利息も多くなります。為替手数料は、できるだけ少ないほうが為替レートは有利です。また、銀行によっては金利や為替手数料がお得になるキャンペーンを定期的に実施したり、外貨をそのまま使えるサービスを実施したりしています。前述したように、銀行の健全性を確かめておくことも大切です。
為通貨を選ぶ
まずは、預金する通貨を選びます。通貨によって金利が異なるため、つい高金利の通貨を選びたくなりますが、通貨を選ぶ際は為替の動きに注目しましょう。一般的に、米ドルやユーロなど世界の主要通貨は流通量が多く為替の動きも比較的安定しています。
逆に、新興国の通貨は流通量がまだ少なめで、為替の動きも大きい傾向があります。そのため、まずは米ドルやユーロなどの主要通貨ではじめるのがおすすめです。
預金種類を選ぶ
外貨預金の種類には、普通預金と定期預金があります。預け入れの必要性や金利など、外貨預金を資産運用にどう活かしたいかによってどちらかを選びましょう。定期預金の場合は、満期時の取り扱いも確認したうえで期間を選ぶことが大切です。
口座開設する
通貨と預金の種類を選んだあとは、口座開設を申し込みます。銀行窓口やオンラインで申し込みましょう。
口座に外貨を預け入れる
口座開設後は、外貨預金ができるようになります。あとは、外貨預金口座へ外貨を預け入れるだけです。
外貨預金の口座開設方法
外貨預金口座を開設する際は、銀行によって異なりますが、一般的には店舗またはオンラインで申し込みます。ここでは、例として大和ネクスト銀行の口座(ダイワのツインアカウント)をスマートフォンから開設する方法を紹介します。
必要な書類
まずは、必要書類を手元に用意します。
・本人確認書類(以下のいずれか2点)
運転免許証(有効期限内)
健康保険証 ※(有効期限内)
在留カード(有効期限内)
特別永住者証明書(有効期限内)
住民票の写し(発行から6ヵ月以内)
・取引先金融機関名、支店名、口座番号
具体的な口座開設のステップ
スマートフォンに表示される画面に従って、大和ネクスト銀行の円預金口座と大和証券の口座と同時に開設します。
1.メールアドレスの入力
2.本人情報の入力
3.各種サービスお取引暗証番号の入力
4.大和ネクスト銀行口座開設
5.顧客カードの入力
6.本人確認書類のアップロード
大和証券より口座開設のお知らせが郵送されるため、以下の手続きを行いましょう。
7.スマートフォン・タブレットアプリを用いてマイナンバー登録
8.ダイワのオンライントレードにログインし、大和ネクスト銀行外貨預金口座を申し込む
「口座情報」をタップし、「口座開設状況」>「大和ネクスト銀行外貨預金」の右にある「口座開設」ボタンをタップして進めていけば完了です。
預け入れ方法
大和ネクスト銀行の外貨預金口座への預け入れは、以下の方法があります。
・他社・他行から大和証券または大和ネクスト銀行へ外貨で入金
・円から大和証券の為替取引により取得した外貨の入金
引き出し方法
大和ネクスト銀行の外貨預金口座からの引き出しは、以下の方法があります。
・大和ネクスト銀行より大和証券口座へスウィープする
・外貨普通預金口座から引き落とした外貨を現金として登録住所に届けてもらう
なお、大和証券口座へスウィープは大和証券の店舗または電話で行います。相談や不明点への質問も同時にできるため、安心です。
■取引方法のイメージ
実際の操作画面では、大和ネクスト銀行の取引サイトから外国為替取引の「買付」ボタンを押すことで、簡単に外貨預金が申し込めます。
■外貨預金の申込み操作画面
米ドル定期預金 (1ヶ月) |
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年8.60% (税引後4.621%) |
大和ネクスト銀行は、大和証券グループ傘下のインターネット専業銀行です。
取扱通貨が12種類あり、いつでも好金利で預けられるので、分散投資をしたい方におすすめです。
外貨積立という方法も
外貨預金で利益を得たり、損失を防いだりするためには、円高・円安の見極めが大切です。しかし、為替の動きはさまざまな要因が影響することから、必ずしもタイミングよくお金を出し入れできるとは限りません。
そこでおすすめなのが、積み立てタイプの外貨預金です。外貨積立は、毎月一定額を円預金口座から自動的に引き落とし、外貨へ換金、外貨預金口座で積み立てていく仕組みです。毎回の積み立てのタイミングで為替レートは変わりますが、一定金額で継続的に外貨を購入していくことで、平均購入単価(レート)を平準化でき、価格変動リスクを抑える効果が期待できます。
少額から積み立てでき、気軽に取り組めることもメリットです。ただし、積み立ての都度為替手数料がかかるため、できるだけ手数料の低い銀行を選ぶようにしましょう。ちなみに、大和ネクスト銀行の外貨積立は積立時の為替手数料が0円なので安心です。
外貨預金は為替差益が期待できる
外貨預金は、円預金よりも高金利のものが多いだけでなく、為替差益が期待できる点もメリットです。また、保有資産の通貨を分散することでインフレ対策にもなります。
一方で、為替差損を被る可能性や為替手数料にも注意が必要です。「米ドルだけ」「ユーロだけ」と限定せずに、できるだけ通貨を分散させたり外貨積立で預け入れのタイミングを分散させたりするなど、さまざまな工夫でリスク軽減に努めましょう。
外貨積立をはじめたい場合は、できるだけ手数料が低い銀行を選ぶことも大切です。
外貨預金に関するよくある質問
ここからは、外貨預金に関するよくある質問へ回答していきます。
- 外投資の知識がなくても外貨預金はできますか?
- 外貨預金は、投資の知識がない人でもできます。ただし、外国為替取引の仕組みとして「TTS」と「TTB」、「円高」と「円安」について理解しておくことは大切です。「預金」とはいっても、円貨ベースで見ると元本割れする可能性があるため、余裕資金で行うようにしましょう。
- 外貨預金はどの通貨ですればいいですか?
- 初めての場合は、為替の動きが比較的安定している米ドルやユーロなどからはじめるのがおすすめです。これらの通貨は、「ニュースなどでも情報を追いやすい」「為替の動きをつかみやすい」という特徴があります。
外貨預金に慣れてきて、通貨の幅を広げたくなった場合は、金利や為替手数料、旅行などで自分が使うなどの視点で通貨を選ぶといいでしょう。ただし、通貨によっては流動性リスク(外国為替市場で取引が行われない場合などに預け入れや引き出しに応じられないリスク)があるため、注意が必要です。
- 外貨預金は為替変動リスクがあって心配ですが大丈夫ですか?
- 為替の動き方は、通貨によっても異なります。そのため、「米ドルだけ」「ユーロだけ」と一つの通貨に絞らず、複数の通貨へ分散して預金すると全体的なリスクを抑えることが期待できます。また、外貨積立で預け入れのタイミングを分散させることもリスク軽減に有効です。
為替は、常に変動しています。有利な方向に動くのを待てるように資金的かつ期間的な余裕を持って行うことも大切です。
米ドル定期預金 (1ヶ月) |
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年8.60% (税引後4.621%) |
大和ネクスト銀行は、大和証券グループ傘下のインターネット専業銀行です。
取扱通貨が12種類あり、いつでも好金利で預けられるので、分散投資をしたい方におすすめです。