NISAはデメリットしかないって本当?5年の非課税期間終了後の対応も徹底解説
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NISAには120万円までという投資限度額が限られている、損益通算ができないなどのデメリットがあるが、利益が非課税になるのは大きなメリットでもある。

NISAは開始当初から「非課税」が強調されてきた。もちろん、この「非課税」は投資家にとって大きなメリットである。しかし、NISAにはデメリットや注意しなければならない点もある。特に非課税期間は最長5年と定められており、この5年の期間の終了時は要注意だ。

  1. 見過ごされやすいNISAのデメリット
    1. 投資限度額は年間120万円
    2. NISAは損益通算ができない
  2. NISAにおすすめの証券会社ランキング
  3. NISAはデメリットしかない?
  4. NISAのメリットは?
    1. 利益が非課税
    2. NISA口座なら手数料無料の金融機関が多い
  5. 5年後に非課税期間が終了するとNISAはどうなる?
  6. 最長5年の非課税期間が終了したときのNISAの選択肢
  7. 非課税期間終了時、NISAのロールオーバーとは?
  8. NISAを課税口座に移管するとは?
  9. NISAは手続きが煩雑って本当?
  10. 損失したのに税金を払う必要がある?NISA最大のデメリット
  11. デメリットも理解したうえでNISAを利用しよう
  12. NISAとは?
  13. 積立NISAとは?
  14. 積立NISAのメリットは?
  15. 積立NISAのデメリットは?
  16. 一般NISA向けのおすすめ証券会社

見過ごされやすいNISAのデメリット

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(画像=Wealth Map編集部)

NISAのデメリット

  • 投資限度額は年間120万円
  • NISAは損益通算ができない

「非課税」というメリットが強調されている一方で、デメリットについて、認識している投資家は多くない。説明資料等にはデメリットについても説明されているが、文字が小さかったり目立たない位置に説明されていたりするケースがある。

一方、投資家側から考えても、非課税であれば何も損することはないと感じるため、仮にデメリットの説明を聞いたり読んだりしても見過ごすかもしれない。しかし、NISAには確かにデメリットが存在する。場合によっては損失が発生したにもかかわらず課税されることさえも生じ得る。

投資限度額は年間120万円

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(画像=Wealth Map編集部)

NISAの非課税投資枠は1年あたり120万円である。そのため、個別株投資を検討している場合は注意が必要だ。50万円の株式3銘柄に投資したい場合、2銘柄を購入できるが、3銘柄目は、残りの非課税投資枠20万円があるにもかかわらず、NISAで購入することができない。また、投資単位が120万円を超えているような銘柄はNISAで投資不可能だ

NISAは損益通算ができない

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(画像=Wealth Map編集部)

損失が発生しても損益通算ができない点もデメリットだ。NISAで株式等を売買して利益が発生しても非課税となるが、損失が発生してもその損失は税計算上ないものとみなされるためだ。

NISAで取引した損益は、他の口座(一般口座や特定口座)と損益通算ができません。また、損失を翌年以降に繰り越しすることもできません。

引用元:NISAの基礎知識 : 金融庁

例えば、NISAではない課税口座で、同一年内にC株式の売買で50万円の利益が発生し、D株式の売買で50万円の損失が発生していたとする。このケースでは、利益と損失を相殺する損益通算が可能であり、税金は発生しない。仮にC株式の利益に対して税金が源泉徴収されている場合でも、確定申告をすることにより取り戻すことができる。

一方、同じ売買でもC株式が課税口座でありD株式がNISA口座であった場合、D株式の損失は損益通算に利用できず、C株式の売買による50万円の利益に対する税金約10万円を納める必要がある。NISAの利用により税負担が増えてしまったケースとなる。

また、NISAで発生した損失は、翌年に損失を繰越して翌年の利益と相殺する「損失の繰越控除」も利用することはできない。

NISAにおすすめの証券会社ランキング

ここではNISA・つみたてNISAにおすすめの証券会社をランキング形式で紹介する。

これから始めるなら楽天証券が一番おすすめ

楽天証券の一般NISAは取扱投資信託が2,560本以上(2022年10月31日時点)と主要ネット証券会社の中でも多く、米国株式4,600銘柄、中国株式920銘柄、アセアン株式250銘柄、海外ETF390銘柄(2022年1月17日時点)と豊富なラインナップを揃えている。また、つみたてNISAの取扱銘柄数も183本(2022年11月1日時点)とトップレベルだ。

最低100円から始められ、国内株式の手数料や海外ETFの買付手数料も0円なので、低コストで少額から投資に挑戦したい方にもおすすめだ。

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NISAはデメリットしかない?

一般のNISAには利用するにあたって、制限や条件などがいくつか設けられている。

紹介してきた通り、その中でも損益通算や損失した際の繰越控除ができないことは大きなデメリットにもなり得る。初めて投資をする初心者は特にこういった点がわかりにくく、実際以上にデメリットが大きく感じられるかもしれない。

しかし、通常は利益に対し約20%もの税金がかかることを考えると、NISAを活用した際のメリットの方が大きいといえるだろう。

NISAのメリットは?

NISAのメリットにはどのようなものがあるのか紹介していこう。

NISAのメリット

  • 利益が非課税
  • NISA口座なら手数料無料の金融機関が多い

利益が非課税

NISAの最大のメリットといえば、やはり年間投資額120万円までは利益に対する税金がかからないことだろう。

NISA口座以外の口座で投資した場合には、投資で得た利益に対して20.315%の税金がかかる。つまり、約20%程度の税金分得になるということだ。

年間投資額が120万円までという制限はあるが、月に直すと10万円程度だ。月に10万円以上も投資しようという人でなければ、NISA口座を使うのが賢いだろう。

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NISA口座なら手数料無料の金融機関が多い

NISA口座のもう1つの大きなメリットは、国内株式や投資信託の取引手数料が無料になる金融機関が多いということだ。

参考に大手証券会社の通常の取引手数料とNISA口座での取引手数料をまとめた。

証券会社 投資金額 非NISA口座 NISA口座
SBI証券 10万円 99円 0円
30万円 275円 0円
100万円 535円 0円
楽天証券 10万円 99円 0円
30万円 275円 0円
100万円 535円 0円
松井証券 10万円 0円 0円
30万円 0円 0円
100万円 1,100円 0円

ネット証券では取引手数料が元々安くなっているとはいえ、取引手数料を気にせず取引できるのは嬉しい。

上記の3証券会社以外にも手数料無料の証券会社は存在するので、NISA口座を開設するならチェックしておきたい。

5年後に非課税期間が終了するとNISAはどうなる?

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(画像=Wealth Map編集部)

NISAのデメリットをいくつか取り上げた。しかし、最大のデメリットは5年後の非課税期間が終了するときに発生する可能性がある。

まずは非課税期間が終了する5年後にどうなるのかを整理する。一般に“5年後”と言われるが、NISAの非課税期間が5年間であるからといって、株式等を購入してからちょうど5年後に非課税期間が終了するわけではない。例えば、2014年にNISAで購入した株式等は、2018年末に非課税期間が終了する。2014年初に購入した株式にとっては2018年末までの5年間であるが、2014年末に購入した株式にとっては2018年末までの4年程度しかないことは注意しておきたい。そのため、厳密には非課税期間は“最長5年“と説明されることが多い。

最長5年の非課税期間が終了したときのNISAの選択肢

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(画像=Wealth Map編集部)

さて、その“最長5年”の非課税期間が終了する時にはどうすればいいのか。投資家には3つの選択肢ある。

  • 非課税期間が終了するまでに売却する
  • 翌年の非課税投資枠に移管する(ロールオーバー)
  • 課税口座に移管する

まずは、売却するケースを考える。NISAで購入した株式等は、購入した直後から非課税期間が終了するまでの間、いつでも売却可能だ。売却価格が購入価格よりも高ければ、利益が発生するが課税されずにNISAの非課税というメリットを享受できる。一方、売却価格が購入価格より低ければ、NISAで取引したメリットはなかったことになる。また、前述のとおりNISAで発生した損失は損益通算に利用できない。

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非課税期間終了時、NISAのロールオーバーとは?

選択肢の一つが、非課税期間が終了する翌年の非課税投資枠に移管(ロールオーバー)することだ。例えば、2014年にNISAで購入して保有し続けた株式等の非課税期間は2018年末に終了する。同一金融機関で2019年もNISAを利用する場合、2019年の非課税投資枠に2014年にNISAで購入した株式等を移管(ロールオーバー)することができる。

2019年の非課税投資枠に移管した株式等の非課税期間は2019年に新たにNISAで購入したものと同様に扱われるため、実質的に非課税期間を5年間延長することになる。なお、2014年に購入した株式等の評価額が、非課税投資枠の120万円を超えるとしてもロールオーバーは可能である。

NISA制度のイメージ

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(画像=wealth map編集部)

ロールオーバーは非課税期間が実質的に延長できる便利な仕組みだが、注意点もある。まず、同一金融機関でしかロールオーバーできない。また、非課税期間終了の翌年の非課税投資枠にロールオーバーをした場合、ロールオーバーした評価額分が非課税投資枠を使ったことになり、その分新規に投資できる額が少なくなる。ロールオーバーした評価額が120万円以上の場合、非課税投資枠を全て使い切ることになり、その年はNISAで新規投資はできなくなる。

さらに、NISAは恒久的な制度ではないため、ロールオーバーが永遠にできるわけではない。現状ではNISA制度は2014年から2023年まで非課税投資枠を設定可能とされている。2014年に購入した株式等を2019年の非課税投資枠にロールオーバーしても、2024年には非課税投資枠は存在しないため再度ロールオーバーを行うことはできない

NISAを課税口座に移管するとは?

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非課税期間が終了する際の第3の選択肢は課税口座に移管することである。課税口座とは利益が出た場合に税金が発生する口座である。非課税期間内に売却せず、期間終了時に、ロールオーバーできる非課税投資枠もない場合はこの選択肢のみとなる。この際、非課税期間が終了する時点の価格で課税口座に移管される。その後の税計算では、非課税期間終了時点の価格で購入したものとみなされる。

例えば、NISAで購入した120万円の株式等が課税口座への移管時に値上がりしており、150 万円になっていたとする。この場合、150万円で購入したのと同様にみなされて、今後の損益及び税金が計算されることになる。以後、170万円でこの株式等を売却した場合、150万円との差額20万円に課税される。当初は120万円で購入したため、実際は50万円の利益が出ているが20万円分にしか課税されない。

NISAは手続きが煩雑って本当?

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2014年のNISA制度開始前から、手続きが複雑である点がデメリットとして指摘されてきた。改善の傾向は見られるが、現在も複雑な事務手続きは投資家の負担になっている。

当初、NISAの口座開設には基準日である2013年1月1日時点の住所が確認できる「住民票」等が必要であった。特に、基準日以降、口座開設までに転居があった場合は、以前住んでいた自治体が発行する「住民票の除票」や戸籍地で「戸籍の附票」を用意する必要があった。この点は、マイナンバー(個人番号)の提出が義務付けられたことにより改善され、2018年分の開設手続きからは上記の「住民票」等は不要となった。しかし、一方でマイナンバー(個人番号)の提出義務が投資家に敬遠される理由にもなっている。

また、必要書類を揃えて金融機関に提出しても、すぐには取引できない煩わしさもある。NISAは年ごとに1つの金融機関にしか開設できない。そのため、投資家が口座開設を金融機関に希望した場合、金融機関は税務署を通して2重口座の開設にならないように確認する。この税務署側での確認が完了するまでに1~2週間程度かかるからだ。この点は現在も改善されていない。

NISAは年単位で金融機関を変更することができるが、現在でも非常に煩雑な手続きを踏まなければならない。金融機関から必要書類を取り寄せたり、定められた期間内に手続きしたりするのは想像以上に大変だ。

例えば、ある投資家が2020年までA証券でNISAを利用していたが、2022年はB銀行で利用したいとする。この場合、投資家はA証券に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出し「勘定廃止通知書」を発行してもらい、B銀行に「非課税口座開設届出書」とともにA証券から受け取った「勘定廃止通知書」を提出する必要がある。なお、手続き可能な期間は、2020年10月1日から2021年9月 30 日と定められている。2018年初からB銀行でNISAを利用したい場合、2020年10月1日以降、早期に手続きを完了させなければならない。

損失したのに税金を払う必要がある?NISA最大のデメリット

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(画像=Wealth Map編集部)

問題となるのは、課税口座に移管時に値下がりしているケースだ。120万円購入した株式等が移管時に80万円まで値下がりしていたとしよう。この場合、80万円で購入したと同様に扱われる事となる。移管後、100万円で売却した場合、80万円との差額で利益の20万円に対して課税され約4万円の税金を支払うことになる。しかし、当初120万円で購入したため、実際のところ投資家は20万円の損失を被っている。つまり、実質20万円の損失が発生したにもかかわらず約4万円の納税が必要となる。

上記のケースがNISAの最大のデメリットと言えるだろう。投資家が損失を被ったにもかかわらず、税金を支払う必要が生じてしまうからだ。

デメリットも理解したうえでNISAを利用しよう

NISAの“非課税”は投資家にとって確かに魅力的である。しかし、損失が損益通算できない点や、課税口座への移管の際に時価で購入したとみなされる点は、投資家に経済的損失をもたらしかねない。これからNISAの利用を検討しているならば、注意点やデメリットをよく把握して利用を決めていきたい。既に利用している投資家の場合、まずは非課税期間の終了時にどうするべきかを考えておく必要があるだろう。

2018年からは積立投資に特化した「つみたてNISA」の制度も開始された。同じ非課税で投資できる制度にiDeCoといった確定拠出年金もある。これらの制度には、それぞれ特徴やメリット・デメリットがある。比較検討するのは簡単ではないかもしれないが、金融機関のキャンペーンや有利に見える特徴だけで判断せず、自身の投資スタイルにあった制度を選択することが肝要だ。(ZUU online編集部)

株投資家のコメント

NISAとは?

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(画像=wealth map編集部)

2014年1月から始まったNISA(ニーサ)とは「少額投資非課税制度」の愛称であり、文字通り毎年120万円までの少額投資に対して、そこから得られる利益は非課税となる制度である。

NISA口座では、毎年120万円(2015年以前は100万円)分の金融商品(株式や投資信託など)が購入可能です。

引用元:NISAの概要:金融庁

具体的には、公募株式投資信託や上場株式(以下、株式等)に投資をした場合に得られる配当・分配金や譲渡益には、その取得から最長5年間は所得税・住民税[所得税:15%、住民税:5%、復興特別所得税:所得税額の2.1%(合計20.315%)]が課されない。

各年に購入した金融商品を保有している間に得た配当金や、値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)が購入した年から数えて5年間、課税されません。

引用元:NISAの概要 : 金融庁

売却で利益が出ても、配当等を受け取っても、非課税になるのはNISAの最大の特徴であり、投資家から見ても大きなメリットだ。証券会社や銀行も、この「非課税」という特徴を前面に押し出してキャンペーンを行ってきた。「非課税」やそれに伴う金融機関のキャンペーンに惹かれて、口座開設手続きを踏んだ投資家も少なくないはずだ。

積立NISAとは?

本記事ではNISAを中心に解説してきた。最後に「積立NISA」の制度概要とメリット、デメリットについても解説する。

積立NISAとは非課税制度のある投資形式だ。日本在住の20歳以上ならだれでも申し込むことができる。一般のNISAとの違いは以下の通りだ。

積立NISA NISA
非課税期間 20年 5年
年間非課税枠 40万円 120万円
ロールオーバー ×
投資対象 投資信託 投資信託、株式会社
投資期間 2018年~2037年 2014年~2023年

積立は通常よりも非課税期間が長く対象商品が絞られているので、商品を選びやすいと言える。一方で年間非課税枠が限定的であることに注意が必要だ。

積立NISAのメリットは?

積立NISAのメリットはNISAと同じく非課税であることだ。NISAと比べて対象商品が絞られているので、判断もしやすいだろう。また、少額から分散投資ができるため、リスク抑制も可能だ。

本章では、各メリットについてより詳しくみていこう。

積立NISAのメリット

  1. 利益が非課税
  2. 対象商品が絞られていて選びやすい
  3. 分散投資によるリスク低減効果
  4. 少額から投資可能

利益が非課税

積立NISAのメリットは非課税枠の存在だ。通常、投資で一定以上の利益を上げると、確定申告をしなければならない。しかし利益の一部が課税されないので、節税効果を期待できる

対象商品が絞られていて選びやすい

積立NISAは対象商品が絞られているのが特徴だ。対象商品は投資信託だけなので、初心者でも対象を決めやすいと言える。

通常のNISAは投資信託に加えて株式も対象となる。株式の場合、銘柄は自分で決めなければならず、企業や経済に対する知識がないと取り組みづらい。

心理学では選択肢が多いことで、かえって選べなくなる「選択のパラドックス」がある。通常のNISAにある株式という余分なジャンルの誘惑を受けるよりも、投資信託のみである積立の方が戦略を決めやすいだろう。

投資信託では参加者がプロにお金を預ける。プロが預かったお金で投資先を決めるため、参加者は投資の知識がなくても利益を上げられる可能性がある。以上から投資信託に特化した積立NISAは、一歩を踏み出しやすいだろう。

分散投資によるリスク低減効果

積立NISAでは分散投資によって、リスクを軽減できる。ひとつにお金をつぎ込むよりも、2~3のプログラムに均等な価格をわけた方が、利益の可能性を高められるからだ。

理想の投資信託をひとつみつけても、それだけに飛びつくのはあまりおすすめできない。投資で一度大きな損をすると、取り返すのは容易ではない。

2~3の銘柄にわけて投資を進めると、損失のリスクを抑えることができる。仮にひとつがうまくいかなくても、別の銘柄の結果がよければトータルの収支がプラスになるかもしれない。そのため、2~3の銘柄に対する分散投資がおすすめだ。

資産や銘柄の間での値動きの違いに着目して、異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせて投資を行うのが「資産・銘柄の分散」の手法です。こうした手法を取り入れることで、例えば特定の資産や銘柄が値下がりした場合には、他の資産や銘柄の値上がりでカバーする、といったように、保有している資産・銘柄の間で生じる価格変動のリスク等を軽減することができます。

引用元:分散投資|投資の基本|金融庁

少額から投資可能

積立NISAの特徴は、少額から投資できる点だ。1000円のような小さな額でも参加可能であるため、損失のリスクを抑えることが可能だ。

「投資は多額を準備しないと参加できない」というイメージから、参加をためらう人もいるだろう。しかし積立NISAの投資信託はわずかなお金でも始められるため、初心者が取り組みやすいといえる。

投資で推奨されていることが、損をしても生活に悪影響をおよぼさない「余剰資金」だけで取り組むことだ。余剰資金とは銀行口座に残っているお金のうち、生活や将来やりたいことなど以外において、特に使う予定がない分のことを指す。

投資信託は余剰資金が少ない人でも、気軽に参加できるのがメリットとなる。投資の勉強をはじめる意味でも、まずは少額から取り組んでみてはいかがだろうか。

積立NISAのデメリットは?

積立NISAにはデメリットもある。具体的には損益通算や繰越はできないことや、非課税枠の小ささなどが挙げられる。それぞれの詳細を確認しよう。

積立NISAのデメリット

  • 損益通算や繰越ができない
  • 非課税枠が小さい

損益通算や繰越ができない

積立NISAでは損益の通算や繰越はできない。課税対象であるほかの投資分野とは完全な別物と扱われるためだ。

損益通算は積立NISAだけでなく、ほかの投資分野と合わせた収支を合わせて計算することを指す。通算の結果として損失があれば利益は抑えられるうえに、確定申告時の納税額も安くなる。

損益通算でマイナスが出れば、その分は最大3年間繰り越すことができる。マイナスが出てから次の年以降の投資所得から差し引ける仕組みだ。

しかし積立NISAでは損益通算も繰越もできない。ほかの投資分野で利益を出していた場合は、積立NISAの影響を受けずに利益を計算し確定申告に反映させる。積立NISAの結果がマイナスだったとしても、翌年以降のプラスから差し引けない点も厳しいだろう

積立NISAは損益の扱いが特殊なため、ルールを把握したうえで税金を計算するように心がけたい。

非課税枠が小さい

非課税枠が小さいのも積立NISAの欠点だ。通常のNISAなら年間投資額120万円分も非課税対象だが、積立NISAでは40万円分のみ非課税対象となる

40万円分の元本から得られた利益も非課税対象になるメリットがあるが、それでも規模としては通常のNISAより小さい。大きな利益を求めて投資額を増やす人は、税制面でのリスクを考えなければならない。

積立NISAを使う際は、通常のNISAよりも非課税枠の制約を受けることを忘れないようにしよう。

一般NISA向けのおすすめ証券会社

これからNISAを始める方におすすめの証券会社を5社厳選した。外国株やIPOの取扱いなど、自分の目的とあったところで口座を開設しよう。

楽天証券

NISA つみたてNISA
NISA手数料 投資信託 外国株 IPO(2020年) 取扱銘柄数 最低積立金額 積立頻度
無料 2,687本 6ヶ国 - 177本 100円 毎月/毎日

楽天証券では国内投資信託だけでなく、海外上場投資信託の買付手数料も無料、また手数料不要のノーロード投資信託も1000本以上揃え、可能な限り無駄な出費を抑えた取引ができるだろう。

まず、マーケット情報を得ることが可能で、日本経済新聞社が提供するビジネスデータサービス「日経テレコン」が利用できる。こちらでは日経新聞を読むことができ、短い移動時間でも素早くNISAや株式取引関連の幅広い情報収集ができるだろう。
また、スマートフォン用では「iSPEED」というアプリで取引が可能で、PC版では高機能取引ツール「マーケットスピード」で自分の理想な取引を展開できる。

楽天証券では、国内株式や投資信託の購入に楽天ポイントを使うことができる。普段の買い物などで貯まった楽天ポイントも使うことができるのは、楽天ユーザーには嬉しいポイントだ。
また、投資信託の積立を楽天カードで決済に設定すると、100円の買付に対して1ポイントが貯まる。
つまり、新規口座開設はもちろん、普段の投資でも各種キャンペーンを利用すれば楽天ポイントを貯めることができる

\初心者向けのスタートガイドが充実/

楽天証券のデメリット

  • ミニ株投資ができない
  • IPO取扱数がやや少ない
  • 取扱っている外国株のエリアが限定的
  • クレカ積立の還元率が一部0.2%に引き下げ

SBI証券やマネックス証券ではミニ株の取引は可能ですが、楽天証券では対応しておらずその代わりに楽天ポイントを使った少額投資が可能となります。

IPO銘柄数が他の証券会社と比較してやや少ないこともデメリットとして挙げられます。しかし、楽天証券のIPOは完全平等抽選のため申し込みをしたすべての人に当選の可能性が等しくあるのは個人投資家からしたら嬉しいことでしょう。

楽天証券で取扱っている外国株銘柄は、米国株、中国株、ASEAN(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)株となります。欧州株や豪州株など、これら以外の外国株に投資したい人は、他の証券口座を開設する必要があるでしょう。

また楽天証券は2022年の9月より、積み立て額の1%を還元していたクレジットカードによる投資信託積立の還元率を、一部の投資信託について0.2%に引き下げるとしています。クレカ積立を考えている人にとっては、このポイント還元率引き下げはデメリットでしょう。

\ポイントを活用して投資したい人向き!/

SBI証券

NISA つみたてNISA
NISA手数料 投資信託 外国株 IPO(2020年) 取扱銘柄数 最低積立金額 積立頻度
無料 2,680本 9ヶ国 85社 175本 100円 毎月/毎週/毎日

顧客満足度の高さと口座開設数の多さで、他のネット証券から一歩抜きんでているのが「SBI証券」だ。国内株式の取引手数料も無料と、NISA取引で重要なポイントをしっかりと押さえているのも心強い。

国内株式だけでなく外国株式でも、ネット証券最多の9カ国という豊富なラインナップで投資家のニーズに応えてくれるだろう。国内株式だけでなく、海外ETFの買付手数料も完全無料化されているのが嬉しい。

SBI証券では投資信託の保有残高に応じて0.1~0.2%のTポイントを付与している。
他の証券会社ではポイントが貯まらない場合も多く、他社と比較しても高還元率である。
さらに、貯まったTポイントは投資信託の購入にも使えるため、さらに投資の利益を得ることができる。
積み立てる買付金額の支払いに三井住友クレジットカード決済を設定すると、積立額の最大2.0%分のVポイントや、投信マイレージによるポイントを獲得することができる。

\主要ネット証券最多9カ国を取扱い!/

SBI証券のデメリット

  • デモ取引がない
  • 米国株日本株の取引アプリが別
  • IPOの取扱数が多いが、倍率が高い

SBI証券では仮想資金をを使って取引シミュレーションを行うデモ取引を利用できません。損失を出しても実際の資産に影響がないため、デモ取引は初心者にとって嬉しい機能でしょう。

ただしSBI証券ではデモ口座がない代わりに、数百円の1株単位から株を購入することができます。失敗しても大きな損失には繋がらないので、少額から取引を始めてみましょう。

また、SBI証券では国内株と米国株の取引アプリが分かれています。1つのアプリでまとめて取引できるわけではないのでその点は面倒に感じるかもしれません。

そしてIPOの取扱い銘柄数が多い(2021年 86社)ものの、逆に多くの投資家がSBI証券で申し込みをするため当選確率が高くないという点もデメリットの一つです。しかし、IPOで当選するためには複数の証券会社から申し込みをするのが基本路線です。SBI証券でも申し込み、他の証券会社での申し込みも行うと良いでしょう。

\25歳以下なら手数料無料!/

マネックス証券

名称未設定のデザイン (28).jpg

引用元:マネックス証券公式サイト | ネット証券(株・アメリカ株・投資信託)

NISA つみたてNISA
NISA手数料 投資信託 外国株 IPO(2020年) 取扱銘柄数 最低積立金額 積立頻度
無料 1,220本 2ヶ国 50社 151本 100円 毎月/毎日

NISA口座の全買付手数料無料の「マネックス証券」は、NISAをはじめて利用する人にも口座を乗り換える人にもおすすめできるネット証券会社だ。まず国内証券ではトップの4000本以上の米国株式を取り扱っている。
また、アップルやグーグル、フェイスブックなど注目の米国株の取引も、キャッシュバック制度を利用すれば実質手数料無料、売却時は5米ドル~と圧倒的な安さだ。配当金再投資サービス」を利用すれば、保有銘柄からの配当金を使って同じ銘柄に自動で再投資がNISA口座でも可能。

米国や中国など外国株式の取扱いが豊富なほか、高確率で値上がりするIPO銘柄の取扱いが多い点も強みだ。2021年は125社のIPOに対し65社を取り扱ったため半分以上を網羅した。さらに、取引数量に関わらずIPO抽選権が1口座に1つ付与される「完全平等抽選方式」を採用していることも、取引規模が少ない投資家にはうれしい。

日本にいると、日本の株式市場、経済情報は多く入ってくるものの外国株式情報などはアンテナを張らない限り入ってきづらいだろう。しかし、米国株、中国株に特化したマネックス証券ではマーケット情報メディア「マネクリ」で投資に必要な知識を存分に得ることができる。専門家のレポートが充実しており、投資入門者から経験者まで満足できる内容となっている。

マネックス証券では、新規口座開設等でもれなく200円相当のアマゾンギフト券をプレゼントするキャンペーンを8月31日まで開催している。

\米国株の取扱数が豊富!/

au カブコム証券

NISA つみたてNISA
NISA手数料 投資信託 外国株 IPO(2020年) 取扱銘柄数 最低積立金額 積立頻度
無料 1,432本 - 19社 157本 100円 毎月

国内株式の買付時手数料が無料の「auカブコム証券」も、魅力の多いネット証券会社の一つである。1株から購入できる「プチ株」もNISA口座で取扱いが可能で、非課税枠の120万円満額まで使わなくとも低資金で手軽に株式取引をはじめられるのも特徴的だ。

auカブコム証券では電話による相談の受付や、株主優待に関する情報提供なども対応しており、顧客目線のきめ細かいサービスが好評となっている。

\プチ株もNISAに対応!/

松井証券

NISA つみたてNISA
NISA手数料 投資信託 外国株 IPO(2020年) 取扱銘柄数 最低積立金額 積立頻度
無料 1,506本 - 18社 170本 100円 毎月

買付時も売却時も株式取引手数料が永久的に無料であるのが、松井証券ならではの魅力である。特筆すべきは、国内株式だけでなく上場投資信託や不動産投資信託などにおける手数料も無料という点だ。
NISAに限らず取引を長く続けたい人向けのメリットが多いといえるだろう。

株主優待情報から銘柄を絞り込める「QUICKリサーチネット」など様々な投資情報ツールを無料で提供している。
スマホ向けには「株アプリ」があり、シンプルな画面で操作しやすく情報収集から取引まで簡潔に行えるため、初心者でも安心して投資を始めることができるのも松井証券のおすすめポイントだ。

松井証券はサポートが手厚いことでも有名な証券会社だ。そんな松井証券の顧客サポートはHDI-Japan主催の「証券会社における問い合わせ窓口格付け」において、最高評価の「三つ星」を10年連続で獲得するほどだ。
口座開設をしたものの何から始めれば良いかわからない、ツールの使い方が難しそう。そんな時でも電話で対応してくれるので、気軽に聞いてみた方が良いだろう。このサポートの充実も100年以上続く老舗証券会社ならではでしょう。

\サポートが厚く初心者でも安心!/

NISAに関するよくある質問

結局NISAと積立NISAはどちらを始めればいいの?
NISAと積立NISAの大きな違いは非課税額と取引可能商品の2点でしょう。NISAは非課税額が年間120万円で投資信託と株式が取引できるのに対して、積立NISAは非課税額が年間40万円で投資信託のみしか取引できません。ご自分で銘柄を選んだりして投資を楽しみたい、学びたい方、利益をより望む方はNISAの方をおすすめします。一方、長期的にコツコツ資産運用をして、投資でストレスを感じたくない方は積立NISAの投資信託を活用する方が良いsでしょう。
積立NISAやNISAを始めるのに必要な書類は?
おおむねマイナンバーと本人確認書類の二つが必要になります。
ロールオーバーとは何?
非課税期間が終了した際には、NISA口座・ジュニアNISAで保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移行することができます。この移管のことを「ロールオーバー」と言います。
「つみたてNISA」で損をしない投資はできますか?
「つみたてNISA」には元本を保証する商品はないため、必ず損をしないということはありません。ですが非課税期間は最長20年間ですので、長期間運用することや少額で積立を続けることで損をするリスクを減らすことができます。
NISA口座はどのように開設する?
まずは開きたい証券会社のホームページをご覧いただき、総合口座を開きましょう。開設後、送られてきたIDとパスワードでマイページにログインしたら、「NISA口座開設請求」をクリックして手続きを進めましょう。

記事にコメントいただいた専門家

”監修者”

有限亭玉介(ゆうげんていたますけ)

日々トレードを重ねる個人投資家・ブロガー。金融情報会社フィスコのソーシャルレポーターとして、20以上のメディアに株についての記事を配信するほか、株&猫ブログ『儲かる株情報「猫旦那のお株は天井知らず」』では、独自の視点で注目した銘柄を随時紹介している。趣味は野球、落語、酒。猫旦那(飼い猫)の名前は「なつ」、含み益はもっぱら家族(嫁&娘)に献上。

公式ブログ:儲かる株情報「猫旦那のお株は天井知らず」
Twitter:@kabureport_cat